Katoshotaro

好きな小説はニューロマンサーです

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最近の記事

【宣伝】Audibleで星新一を聞こうぜ、大晦日から聞けるよ

<注意>以下はAudibleの宣伝である。</注意> というのも、星新一のボッコちゃんがAudible化するようなのだ。 * 星新一といえばいわずとしれた、本を読まない人でもなんとなく手にとるでおなじみのSF作家である。 ショートショートの名手であり、というかショートショートというと星新一しか思い浮かばない。 * 私も子どもの頃読んだ。 当時、ガキンチョ過ぎて、なんで男どもが美人のボッコちゃんに酒を奢るのかよくわからなかった。 あとは、クロレラが出てくる話があったこと

    • カツオくんは冬のドレスコードを完璧に理解している。

      寒い日だ。 朝、駅のホームで電車を待っていたら、前の人が立派な外套を着ていた。 襟が大きい。 キャプテン・ハーロックみたいだ。 かっこいいと思った。 * 襟が大きい服なら首元もあたたかろうし、そう見えるから周りも安心だ。 自分は暑がりで、真冬でも薄着だから周りから心配されることがある。 心配されるのはいやなので、あたたかくみえる方法を模索した。 それで分かったのが、首になにか巻いてあれば、冬の格好としてふさわしくなるということだ。 首さえ隠れていれば、仮に下半身がパンツ

      • 髪型からその人の生きているスピードがわかる

        私はいわゆるソフトモヒカンというのか、キューピーみたいな頭をしている。 高校生まではアタック西本みたいなスポーツ刈りだった。 正面から見た場合、二角が一角になったということになる。 今もスポーツ刈り時代を生きている父からすると、私のモヒカンは奇妙に映るようだ。 そんな鶏めいた髪型をしてどこへ行こうというのか、と定期的に質問がある。 あと20年も経ったら、アタック西本のほうがかっこいいという話になり、また世の短髪人間はスポーツ刈りとか角刈りとかいう髪型にもどっていくのではな

        • 「生成AIはミノフスキー粒子」説

          noteを検索すると、生成AIで書いた記事がたくさんヒットする。 私が読みたかった記事は見つからない。 私はこれまで、自分の検索力を信頼していたのだが、もうダメである。 周りの人を見るとみんな検索の代わりに生成AIに質問をしている。 やはり検索しても何も見つからないということが分かっているのだろう。 * インターネットというか、ネット上の情報を検索するという行為が人々の日常に根ざして30年ほどが経過した。 人々の知識をお手軽に拡張してきたわけだが、もうその命脈も絶たれそ

          今からでも遅くない、みんなでFIREをランティエと呼び替えようぜ

          今もあるのか知らんが、以前「ランティエ」という雑誌があった。 ランティエとは永井荷風みたいな人のことである。 つまり労働をせず、地代とか、配当とか、利子とかで生活している階級のことだ。 今風にいうとFIREしてる人である。 * FIREという言葉が流行ったときに、ランティエで上書きしてやろうと思って、しきりと吹聴して回ったのだけど、結局ランティエは流行らなかった。 私のインフルエンサー・パワーの不足である。 一言で人を操るような人間でありたいものだ。 * 日本に戦後

          今からでも遅くない、みんなでFIREをランティエと呼び替えようぜ

          光文社古典新訳文庫についての認識を改めた

          光文社古典新訳文庫という文庫がある。 名前は聞いたことあるけど読んだことないような翻訳小説が多数ラインナップされている。 カバーがマットな質感なのと、表紙がやたらゆるいのが特徴だ。 当該Wikipediaをご覧いただくとわかるが、この文庫は「カラマーゾフの兄弟」や「赤と黒」でやらかし、界隈に紛争を起こした。 そこで、私はよくわからないまま、光文社古典新訳文庫はダメ、漢はだまって岩波文庫と知ったかぶるようになった。 * ただ考えてみれば、翻訳の成否を議論できるのは、両方読

          光文社古典新訳文庫についての認識を改めた

          伊集院光方式の寄付で精神を安定させる

          ヴォネガットの「プレイヤー・ピアノ」に以下のようなくだりがあった。 文明が進歩していくと、モノが勝手に仕事をするようになる。 あらゆる人間がどんどん役立たずになっていく。 よって我々は今のうちに、 「人間は人間であるという理由だけで愛すべき存在である」 と考える訓練をしておいたほうがいい。 * そこで、まず自分のことを愛することにする。 しかし、ただ存在しているというだけで、自分を好きになれるかというと、ちょっと難しいかもしれない。 悩んでいたら、伊集院光がラジオで

          伊集院光方式の寄付で精神を安定させる

          Q.寒い土地に例の虫はいるのか?A.いる。ドストエフスキーもそう言ってる

          <閲覧注意:虫の話です> ゴキブリは寒いところにはいない。 そんなふうに考えていた時期が自分にもあった。 * 私は岩手で生まれた。 そのあとすぐ引っ越してしまったが、爺様婆様の家は岩手にあった。 その爺様婆様の家にはゴキブリがいない。 かわりになんというのか、真っ黒くて足が余ってるのがいた。 婆様はコオロギと呼んでいた。 ふとんのワタを食べるという。 * 母に聞いたら、やはり岩手にいる時分はゴキブリなんてほとんど見なかったという。 岩手は寒い。 それで「寒いところ

          Q.寒い土地に例の虫はいるのか?A.いる。ドストエフスキーもそう言ってる

          個性的なくじ

          夏目漱石の「行人」を読んでいたら、運勢早見という占いの本が出てきた。 主人公の二郎くんが、胃弱で入院した友達をお見舞いする。 お見舞い中、ひまになって、美人の看護婦さんからこの運勢早見を借りるのだ。 目をつぶったまま赤石と黒石を適当に並べる。 早見表があって、できた石の並び順ごとにページが指定されている。 そのページをめくると運勢が書いてある。 「明暗」にも、小型おみくじ箱を持ち歩いている娘が出てくる。 箱の中のおみくじは、なんと象牙製だ。 気合が入っている。 *

          個性的なくじ

          LINE本社を爆破することにした過去

          私は以前婚活をしていたのだけど、そのとき一番たいへんだったのはLINEだった。 どうやら、LINEというのはひっきりなしにかわすものらしいのだが、相手から来る奇妙なメッセージに、なんと返したらいいかわからない。 * 相手に相談というか交渉すると、長い苦労のはてに、たいてい、 「じゃああなた(男)から話をスタートしてくれたら、それでいいから」 みたいな話で決着する。 相手にとっては、最大限の譲歩のようである。 そしてこれもまた難題で、今度は何を送ればいいかわからない。

          LINE本社を爆破することにした過去

          あなたの風邪はどこから?僕は上唇から

          ツイッターで、 「自分すごいって主張してるときは調子が悪いと、又吉が言ってた」 というつぶやきを発見した。 そのとおりだと思う。 自分も大いに「俺すごい」を連呼して日々を過ごしてきたが、あれは調子が悪かったのだ。 さっさと帰って、温かいものを食べて風呂に入って寝るべきであった。 やはり又吉はすごい。 又吉の主張をキャッチしたつぶやき主もすごい。 * 又吉の話は精神上の健康の話だと思うが、物質的健康も大切だ。 自分の場合、体の具合の悪さは上唇で判定できる。 上唇が

          あなたの風邪はどこから?僕は上唇から

          「語りの主語を考えたほうがいい」論

          自分でもまだあまり分かっていないのだが、この世の哲学とか思想というものは、どうやら主語が大切のようである。 * たとえば「働かざるもの食うべからず」という考えがある。 主語が「私」であれば、己を律する規則として有益だ。 だが「誰か」が主語になると、がぜん剣呑になる。 働いてない他人は餓死してもよいということになる。 「誰か」といっても、それが顔の見える家族あたりであれば、働いていなくても脅かすだけで、最後にはちゃんとメシを食わせる。 だが顔の見えない知らん人まで拡大す

          「語りの主語を考えたほうがいい」論

          ソ連人民のアイス生活を顧みて、己の業を反省する

          アイス好きにはどうしても避けて通れない国がある。 ソ連である。 この記事を読んでいただけたら、ソ連はアイスの国であることが一目瞭然なのだが、一点、気になる記述を見つけた。 * ソ連人民が強制的にアイスを食わせられていた風なのは、まあ翻訳の問題だろう。 たぶん、人口×5キロの生産がアイス会社のノルマになっていたということだと思う。 1人5キロのアイスというと、とんでもなく多い気もするが、実際のところどうなのかよくわからない。 * 私の好きな雪見だいふくに換算してみよ

          ソ連人民のアイス生活を顧みて、己の業を反省する

          三千世界の苔を滅ぼし、一人で安眠を貪りたい

          RCサクセションが「宝くじは買わない」と歌っていたので、自分も宝くじを買わないのだけど、もし宝くじが当たったらやりたいことはたくさんある。 以前は家の前の道が苔だらけだったので、抜本的改良工事を施し、苔の入る余地のないようにしたいと思っていた。 * 自分は潔癖のきらいがあって、人工物に苔が生えているのが許せない。 独裁者になったら、国家予算の20%は市街地における苔の防除に費やすつもりだ。 あるいは、自然物に苔が生えているのは許せるので、すべての人工物を破壊するしかな

          三千世界の苔を滅ぼし、一人で安眠を貪りたい

          手ぬぐいライフハック

          手ぬぐいを使っている。 布巾にも雑巾にもタオルにもハンカチにも弁当包みにもなる。 洗ったらすぐ乾くし、しまうとき場所をとらない。 欠点はひとに理解されないということだ。 手ぬぐいは一人暮らしだから利用可能である。 * 昔の人は手ぬぐいを頭巾にしたりマフラーにしていたと聞く。 自分は頭や首がひとより大きくできているので、既製品だと長さが足りない。 金田一耕助シリーズで、家紋が入った長い布を用意しておいて、適宜切り出して手ぬぐいにしていた家があった。 本陣殺人事件だったか

          手ぬぐいライフハック

          三四郎くん、本郷界隈を歩き回る。自分、拘置所界隈を歩き回る。

          夏目漱石の「三四郎」は、上京ほやほやの三四郎くんがなんとなく成長する話だった。 三四郎くんは東大生なので、本郷のまわりが舞台である。 三四郎くんはそんなにお金を持っていないし、100年以上前の人だから、そこらを歩いて回る。 特に、団子坂を上がったり下がったりしていた。 自分はむかし団子坂のそばをうろうろしていたので、あそこを三四郎が通ったし、三四郎が通ったということは夏目漱石も通ったんだなあと思ったら誇らしくなった。 団子坂は、江戸川乱歩のデビュー小説の舞台でもあるし、

          三四郎くん、本郷界隈を歩き回る。自分、拘置所界隈を歩き回る。