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採用担当という仕事の何が面白いのか② 内定出しはプロポーズ

昨日に引き続き、今日も私が採用という仕事のどこに面白さを感じていたか考えてみる。

私は面接で様々な人の経歴や、異なる業界や職種の話を聞くのが好きだった。採用担当として5年間の経験の中で、1,500名くらいの方と面接をさせて頂いた。面接官としては不適切な発言かもしれないけれど、人それぞれに物語があって、リアルなドラマを見ているようで面白かった。
#今だから言える面接官の本音の話的な。

そんな面接と同じくらい、或いはそれ以上に楽しさを感じていたのは、内定出しの瞬間だ。

私が主に担当していた中途採用は、新卒採用と異なり、内定者一人ひとりにオファーする条件が異なる。
中途採用とは、すなわち経験者採用なので、過去にどのような経験を積んでいるか、どれだけのスキルを身に着けているか、それが自社でどの程度貴重なものかというようなことを踏まえて、給与条件を設定する。

場合によっては、現職(前職)より高い金額でオファーをすることもあれば、低い金額となる場合もある。

これは、その人の能力に対する評価に基づいた金額設定であると同時に、自社内での給与水準を加味した設定でもある。

同じような職種、職位の方だとしても、極端に給与水準が高い企業から同程度の職位で転職する場合には、給与が下がることは割とよくある。

雇用契約書に記される給与金額は、内定を承諾するかどうかの大きなポイントになるので、採用担当者としては、出来るだけ高い金額でオファーをしたい。しかしながら、既存社員とのバランスなども鑑みる必要があるため、毎回理想通りの金額でオファーできないことは難しい。

また、金額だけではなく会社の考え方、雰囲気、仕事内容など、意思決定するかどうかを判断するためのポイントはたくさんある。

最も大きなポイントの一つとして挙げるられる要素は「人」だろう。
説明会や面接を通じて接した社員の印象を基に、企業全体の雰囲気を判断する候補者は多い。採用担当が企業の顔と言われることがあるのは、そういう背景だろう。


内定出しの位置づけ

「内定出し」というのは、採用プロセスの最後に当たる。
広告を出して、母集団を形成して、選考して、採否判断をして、、、と、多くのプロセスを経て、様々な社内メンバーがつないできたバトンをゴールに届けるような位置づけと言える。

ここでゴールに届けられなければ(辞退されてしまえば)、採用活動はイチからやり直しとなってしまう。

本音を言うと、内定を出すときには、候補者側である程度気持ちは決まっている。というのも、内定を出すタイミングで綺麗な顔して取り繕ったとしても、選考途中の印象が割るければ、それを払拭することはできないからだ。

けれど、内定出しのコミュニケーションに失敗すると、迷っている候補者を取り逃がしてしまうリスクはある。

野球で言うならば、1点差ゲームの9回裏のマウンドに上がるクローザーのようなイメージだろうか。


「内定出し」の時に必ず伝えることは、処遇内容だ。雇用契約書を提示し、どのような給与条件で、勤務形態で、職位でオファーをするのかを改めてイチから説明する。

しかし、それは最低限度の内容であって、事務的にその条件を読み上げるだけでは、足りない。

なぜ、そのような条件になっているのか。選考を通じて、候補者の何を評価していたのか。入社後にどのようなことを期待しているのか。逆に改善してほしいことはどのようなところなのか。

誰でも、試験の結果のフィードバックを期待しているし、将来に前向きなイメージを持ちたい。

しかし、厳しいフィードバックをたくさんもらった方が「より成長出来る」と感じる人もいれば、たくさん褒められた方が「自分をしっかり認めてくれる」と感じる人もいる。

目の前にいる候補者がどのようなタイプなのか。面接を通じて浮かび上がってきた候補者像から、推測して、ストーリーを準備する。

そして、実際に内定提示しながら、相手の反応見て、事前に準備をしたストーリーをその場で編集していく。

大切なことは、前向きな気持ちで入社し、入社後にしっかりと活躍してもらうことだ。
だから、決して嘘をついてはいけない。それは評価に関することもそうだし、仕事のことや社内環境のこともそうだ。候補者からどんな厳しい質問をもらっても、それには正直に伝えることがとても大事だ。

私は、採用担当時に500名を超える方の入社をお手伝いさせてもらった。


内定を伝える時は、いつもドキドキした。

でも、そのドキドキがまるで自分の存在理由のように感じられて、大きなやりがいに感じられていた。真剣勝負であり、プレゼンであり、そしてプロポーズのようなものだと思う。

採用担当の皆さん、分かりますよね??




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カトウシンイチロウ / 人生を開拓するキャリアパートナー
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