カトキチ

臨床心理士、公認心理師として、心療内科と中学校(スクールカウンセラー)で働いています。 名古屋で生まれ、福岡で育ち、北海道で学生時代を過ごし、日本縦断の旅の後、奈良で就職、現在は愛知に住んでいます。 フォーカシングのトレーナーです。 坐禅会とバスケ、子どもの試合観戦が楽しみです。

カトキチ

臨床心理士、公認心理師として、心療内科と中学校(スクールカウンセラー)で働いています。 名古屋で生まれ、福岡で育ち、北海道で学生時代を過ごし、日本縦断の旅の後、奈良で就職、現在は愛知に住んでいます。 フォーカシングのトレーナーです。 坐禅会とバスケ、子どもの試合観戦が楽しみです。

最近の記事

こころの時代『185頭と1人』がよかった

NHKの『こころの時代』は好きな番組だけど、今回のは印象的だった。 『185頭と1人 生きる意味を探して 吉沢正巳』 福島の原発事故で出荷できなくなった肉牛を飼い続けている吉沢さん。自分の牛だけでなく、周囲の牧場から頼まれた牛も一緒に飼っている。行政から殺処分を要求されても、周りから意味がないと言われても、1人で牛飼いを続けている。 基本1人なので365日休みはなく、ずっと働き続けている。全くお金にはならないし、それどころか餌代など出費が多く、国からの保証金と年金、寄付

    • 今の中学生の自由はどこに?

      NHKこころの時代「生きる根をみつめて」 シリア難民の生活を撮り続けているフォトグラファー小松由佳さんの放送を見た。 去年、初回放送の前半だけを見て、若い頃の登山の経験の凄さに驚いたとともに、素敵な人だなあと思っていた。 今回再放送で全編を見たら、やはり素敵な人だなと再認識。言葉の一つ一つがご自身の体験や実感に裏付けられていて、力強く、明確で、そして暖かい。 その中に、こんな言葉があった。 「結局、何を食べるのか、何をするのか、どこに住むのか、どこに移動するのか、そう

      • 1点の重み

        球技の世界で「1点の重み」とはよく使われる表現だ。 ただ、同じ1点でも競技によってその重みは異なる。例えば、1試合に1点しか入らないことの多いサッカーと、1試合に100点入ることも珍しくないバスケットでは、1点の重みは全く違う。単純計算で100倍の違いがあることになる。 しかし、バスケットの最終クォーター残り数秒、1点差で負けているときのフリースローの1点は、4-0で勝っているサッカーの試合で5点目の追加点を取る場合の1点よりもはるかに重い。 また、同じサッカーでも、紅

        • お寺と神社の違い(主観です)

          最近、嫁さんと神社やお寺に行く機会が増えました。先日、嫁さんが「神社の方がパワーをもらえる感じがする。お寺は何か悲しさがある。」と言ったのが印象的でした。 神社とお寺がどう違うのか、子供は大抵同じものだと思っていて、いつ頃からか違うものだと知るわけですが、何が違うのかというと、うまく説明出来ないことが多い気がします。もちろん宗教自体が違うわけで、どう違うのかはWikipediaなんかを見ればよくわかるんだと思います。ただ、実際にその場所に行ってみて、感じる違いというのは何だ

          ロシアの子供たちにとってのアノニマスの恐怖

          アノニマスというハッカー集団がロシアの国営放送の配信チャンネルをハックしたらしい。そして、ロシアで放送されてる情報は嘘で、実際はウクライナを侵攻しているんだと流した。 ウクライナにとってはプラスだし、個人的には期待してるけど、これは犯罪だと批判する人もいる。 ただ、そのことの是非は別として、これを見たロシアの子供たちにしてみたら、悪夢以外の何ものでもないだろうな。 この画像だけでも怖いけど、突然画面にこんな怖い人が出てきて、今の現実が嘘だという恐ろしい事実を話し出したら

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          「めんどくさい」をノーマライズする

          今、やらないといけない仕事が目の前にある。でも、やりたくない。めんどくさいなぁっと思ってる。 めんどくさいって何だろう?と最近よく考える。誰もが使うこの言葉、そもそもどこからきたんだろう?語源を調べてみると、「目だうな」から来てるそうで、もとは「見るのも無駄、無益なこと(もの)」という意味だったらしい。今とずいぶん違うな。 現代の「めんどくさい」の意味を自分なりに説明すると「何かを実行に移すだけのエネルギーが十分ではないときに感じる主観的な感覚」というところかな。 こん

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          大瀧詠一さんは、僕の中では今のところまだ生きてることになってます

          最近、大瀧詠一さんにはまっている。40年前に出た不朽の名盤「A LONG VACATION」(通称ロンバケ)がテレビで取り上げられていて、サブスクで聴けるようになっていたので、試しに聴いてみたら、そこから大好きになってしまった。 大瀧詠一といえば、中高生の頃、「EACH TIME」をカセットテープにダビングしてよく聴いてたけど、ロンバケはちゃんと聴いたことがなかった。 特に一曲目の「君は天然色」がほんといい曲で、CMでも繰り返し使われてるから聴いたことはもちろんあったけど

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          「差別」って何だろう?

          先日、息子のサッカーのチームメイトが体調を崩し、念のため、PCR検査を受けることになった。 息子はその子と一緒に練習しており、近くで話したりもしたらしい。 それを聞いた僕は「悪いけど、検査の結果が出るまでは、家の中でもマスクしてくれんか?」と息子に言った。 息子はしぶしぶマスクをしたが、しばらくすると、外していた。何でしないのか聞くと、 「そんなん医療従事者を差別するのと一緒やん。」とキレ気味に答えた。 いや、それは違う、と思って反論したが、息子はさらに反発して、「部

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          モモ効果

          学会やワークショップに出ると、なぜかその後、相手の話がよく聴けたり、カウンセリングがうまくなったような気がしたりする。僕と同僚は勝手に「学会効果」と呼んでいる。 ただ、その効果は大体1週間前後でなくなる。効果が消えた後は、また元の状態に戻るのか、あるいは何かが身に付いて、意識しなくてもカウンセラーとしての力がアップしてるのか、それは分からない。後者だといいけど、確認のしようがない。 で、話は変わるけど、最近、『モモ』を読み返している。ミヒャエル・エンデの有名な童話だ。読み

          対話についての親子の対話

          ※実際の会話をもとに脚色したものです。 息子「今日、学校でディベートやった。面白かったあ。オレ、あえて少数派の方に回って意見言いまくってやった。」 父「へえ、今はそんなのやるんや。面白そうやな。まあ、これからはディベートよりダイアローグの時代だけどな。対話。」 息子「ダイアローグ?何それ」 父「ディベートはお互いに相手を言い負かそうとするやろ。勝つことが目的だけど、対話は違う。お互いの立場、ものの見方、感じ方が違うことを前提にして、それでもわかり合おうとして話し合うプ

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          31年ぶりに読んだ「ひつじが丘」

          19のときに読んだ小説を31年ぶりに読み返した。 三浦綾子の『ひつじが丘』 その春、北海道大学を受験して不合格だった僕は、代々木ゼミナール博多校に通い、もう1度北大を受験しようか迷っていた。そんなとき、予備校内に併設されていた書店「代ゼミライブラリー」で『ひつじが丘』というタイトルの文庫本を目にした。 北海道の羊ヶ丘には"Boys, be ambitious."のクラーク博士が右手を伸ばして立つ銅像があると聞いていたので、何となくタイトルだけで手に取ってみた。 中身は

          31年ぶりに読んだ「ひつじが丘」