トイレの自立はトレーニングでなく"ラーニング"~モンテッソーリ流で自然に学ぶ!敏感期!
子育て中陥りやすい" Treadmill syndrome "「ランニングマシーン現象」に気を付けて!
30年以上、様々な保育園や教育関係の施設に努め、
幼児教育に携わり、子育ての援助をしております。
現在も0~6歳の幼児から小学生の子ども達と関わっており、
各年齢の発達段階の面白さ、楽しさ、
難しさも感じながら
まだまだ未知の世界が広がっており
いろいろな道筋も見つかり
毎日新しい発見で
とてもやりがいのある仕事です。
その発見の中から
様々なTipsが得られました。
そして、その中で
思うのは、
子育ては、「これがベスト!」
というものは
ありません。
というか、
ベストな方法がいつも変わるのです。
その時、状態、状況により…
そして子どもにより…
みんなそれぞれの個性があって、
特徴があって、良さがあって、
性格も違う。
みんな同じでは決してありません。
この前、この方法がうまくいったからといって
今日も同じようにうまくいく
とは限りません。
同じ子どもでも
日によって違うのですから、
他の子どもでは尚更です。
みんなに同じことを
当てはめようとしたり
させようとしたりすると
もうそこで、
理想と現実のGapに悩まされ、
どんどん逆効果。
”上手くいかない” という
ランニングマシーン(Treadmill)に乗っかって、
スピードアップすればするほど
ただ疲れるだけで、
全く前には進めない。
そういう現象が起きるのです。
まるで
" Treadmill syndrome "
「ランニングマシーン現象」
と勝手にそう呼んでみました。
そして、
子育て中で
最初に起きやすい
" Treadmill syndrome "
ランニングマシーン現象が
「トイレットラーニング」
" Toilet learning "
巷では、通常
「トイレットトレーニング」
" Toilet Training "
「トレーニング」
と言っていますね。
しかし、
モンテッソーリ教育では、
トレーニングではなく、
ラーニング Learning と言います。
トレーニング Training の意味を調べてみると
「訓練、鍛錬、調教、養成」などと言う意味です。
ラーニング Learning は、
「学ぶこと、学習」
です。
トレーニングと考えると
「教えなきゃ!!」
という上から目線の見方、考え方
が強くなってしまいます。
しかし、
ラーニングと考えれば、
「学び」です。
子どもの学び、学習のイメージが膨らみ
子ども目線になること
ができるのではないでしょうか。
まず、
意識を「上から目線」
ではなく
「子ども目線」
の意識にして考えること。
これが、第1のTip です。
そして、次にお伝えすることは、
よく勘違いが起きやすいことで、
これは、
たくさんの育児書を読んで、
勉強会にも参加されたりなどして
とても熱心な親御様が陥りやすいことでもあります。
また、新人の保育園の先生も
たくさんの研修に行かれて
その研修の内容に感銘を受けた時にも
陥りやすいことでもあります。
それは全ての子どもを
「同じ教育論や方法、及び発達段階の目安に当てはめようとすること」
教育論や方法、発達段階の目安は、
あくまでも、ただの目安です。
モンテッソーリ教育にも
発達段階の目安があります。
それぞれの教具にも
適応年齢というものがあります。
真面目な方は、
その通りに、完璧に行おうとしがちです。
年齢よりも大切で重要な目安とは・・・
本来、モンテッソーリ教育には
年齢よりも大切で重要な目安があります。
それが、全てにおいて
キーポイント Key point なのですが
年齢の発達段階のマニュアルへの意識から
なかなか抜け出せない大人は少なくありません。
また、研修などで学んだことを
全ての子どもに当てはめようとする
先生もけっこういらっしゃいます。
研修での学び、
そして感銘されたことは
もちろん素晴らしいことですが
もっと
幅広い視野、多面的な観点で
分析する力を持つことも必要です。
それで
トイレの自立にも
年齢の発達段階のマニュアルを
当てはめて考える人も
同じく少なくありません。
「トイレットラーニング(トレーニング)の適応年齢は
2歳って研修で言ってたから、
育児書で読んだから
さあ!2歳になったので始めましょう!!」
といきなり始める方
けっこういらっしゃいますが
そこが ”落とし穴 Trap” です。
さて
2歳と言えば…
秩序の敏感期
早い子は2歳前からピークです。
「秩序」とは
毎日同じ習慣
同じ場所、もの
同じ順番、etc.
“地球が太陽の周りを1周して1年”
“地球の自転が24時間”
これも秩序です。
赤ちゃんが
生れてからずっとオムツをつけて
オムツ交換の時、
ただオムツを取り換えるだけだった…
”おまるに座ったことがない”
”トイレに座るという習慣がない”
このような毎日の習慣
Routine ルーティン
秩序
が2年間続いて
さあ、2歳です。
さて、
どんな現象が起きるでしょう?
「あなたはもう2歳。
これからはトイレで
おしっこ、うんちしましょうね」
と突然目の前に
見たことも触れたこともない
おまるを突き出されても
子どもにとっては、
2年間培ってきた大事な大事な
「秩序」がただ乱されるだけなのです。
子どもがコツコツと築き上げてきた
大事な”Routine ルーティン”
“秩序”
“社会性”の中には
”おまる” ”トイレ”の存在は
“ない” のです。
その為
「いやだ~!!」
と大騒ぎ。
大泣きして暴れます。
秩序が乱れると
もう心は不安でいっぱい
パニック状態になります。
「さあ、
今日から1日は25時間となります。
25時間のタイムテーブルで過ごしましょう!」
といきなり制度が変わるようなものです。
もう大パニックですよね。
しかし親御様は
「どうしてうちの子はトイレが嫌いなの?」
と悩んでしまい、
「トイレに10数えるまで座ったら〇〇あげるから」
など、ご褒美制度を取り入れたり
好きなキャラクターの絵を貼ったり、
おもちゃを持たせてトイレに座らせたり
トイレに座って絵本を見せたりなど…
試行錯誤の連続で
心身共に疲れ果ててしまうのです。
そして
とうとう
「トイレトレーニングは嫌だ。もう大変!」
という精神状態になり
イライラ…
子どもも同じく
「トイレは嫌だ!嫌なところだ~!!」
と泣いて逃げまくる。
前進できず、イライラが募るばかり
とうとう
親子共々ランニングマシーンに乗っかってしまうのです。
こうなってしまったら、
もう頭の中を1度真っ白にして、
一旦今までの考え方を
過去の履歴的なフォルダに入れて
リセットしましょう。
そして、
もう1度基本に戻ります。
モンテッソーリ教育を行う上で
欠かせない最も重要な概念が
「敏感期」
です。
「敏感期 Sensitive period」とは、
子どもが自ら自分を成長させるために
一定期間現れる特別な感受性、
強い興味を示す時期のことです。
「敏感期 Sensitive period」について…こちらをご覧ください>>>
「敏感期の時に
その時期にあった適切な環境があることで
子ども自身が最大限の可能性を自ら伸ばそうとする」
という考え方が
モンテッソーリ教育です。
子どもが自ら成長しようとすることを妨げず、環境を整えて援助すること。
これが大人の役目です。
敏感期には、
いろいろな敏感期があります。
その中で、2歳前後と言えば
「秩序の敏感期」真っ只中です。
秩序は、
毎日のルーティン Routine、
様々な順番や約束事。
秩序の習得は、
いずれ
社会性の育ちに繋がります。
社会には、「秩序」
Routine ルーティン、
Rule ルール があり
その中で我々は平和に暮らしています。
秩序が乱れると、
反乱がおき平和に暮らせませんね。
赤ちゃんは、
誕生してからずっと同じ人からお世話をしてもらい
同じ時間にミルク、食事、お風呂、散歩など
毎日同じスケジュールで
同じ場所、同じ人と一緒に暮らしています。
毎日の繰り返し~
繰り返しの行動で安心して生活できます。
こどもは、秩序があることが大好き!
こどもは、秩序があることが大好きで、
そこに強いこだわりを見せ、
それを乱されると心も乱れ
不安になってしまいます。
巷では、
「イヤイヤ期」と言われたりしますが
これは、まさに
「秩序の敏感期」の現れです。
とても大切な時期です。
トイレの自立は、秩序の敏感期を利用しよう!
トイレの学びは
この「秩序の敏感期」を利用することで
子どもは自ら、自然と自立していきます。
トイレットラーニングを始める前にしておきたいことは・・・
” おまる・トイレに座る習慣を身に着ける。”
最初からおしっこが出ることを目指さず、
まずは、
「トイレに座る、おまるに座る」ということを
生活のリズム、スケジュールの中に
自然な流れで組み込んでいきます。
大好きな秩序の中に、おまるとトイレを存在させよう!
例えば、
朝起きてオムツ交換をするときにおまるに座る。
出掛ける前にオムツ交換とおまる。
食事の前にオムツ交換とおまる。
帰宅してオムツ交換とおまる。
お風呂の前におまる。
寝る前にオムツ交換とおまる。
など、このような生活リズム。
長い時間座る必要はありません。
1~2秒でも十分です。
これを本来、
もうお座りが出来るようになったらやっておけば
2歳の秩序の敏感期のピークの時には、
おまるやトイレに自然と座るので、
トイレットラーニングを嫌がりません。
嫌がるどころか、
トイレに座る習慣が
”秩序”として
身についているので
喜んで座ります。
トイレットラーニングは、0歳から始まっている!
実は、
トイレットラーニングは、
もう0歳から始まっています!
排尿、排便したら
オムツを取り替えて綺麗にしてあげることで
子どもは不快と快適、気持ち悪さと気持ちよさを知ります。
それはもうトイレットラーニングの導入、始まりです。
「紙おむつだから、まだあと数回大丈夫!」
という紙オムツ会社のキャッチフレーズに騙されないで!
それは全く持って大人の都合です。
子どもの学びを邪魔しないようにしましょう!
トイレットラーニングの
最大のTip は、
「秩序」です。
「トイレに行く、おまるに座る」
という習慣を
0歳のお座りが出来るようになったころから
続けていくこと。
この頃は、
オムツ交換の時に
1~2秒座らせてあげるだけで十分です。
もし喜んでいたら
喜んでいる間座らせてあげましょう。
歩行が安定したら
子どもがどのくらい座りたいか
自分で決めるようになるでしょう。
立ちあがったら終わりでよいのです。
そうすれば、
自然といつの間にか
オムツが必要なくなります。
2歳前後、
排泄器官が育ってくると
膀胱回りの筋肉、腹筋が強くなってきて
膀胱にたっぷり尿を貯めること
ができるようになります。
そして
意識的に
その筋肉を使えるようになってくると
今まで垂れ流し状態だった尿を
垂れ流しにならないように
膀胱内に止めたり
トイレでは逆に
膀胱回りの筋肉を緩め
尿を出すこと出来るようになります。
排泄の自立の為の身体が整えば
最初は偶然
トイレでおしっこが出るかもしれませんが
その時の快感、気持ちよさを実感して
トイレで排泄したほうが快適、
気持ちよいということを本人が知ります。
さらに
トイレでおしっこ・うんちをすると
周りの人、大好きなママ、パパが喜んでくれる。
みんなが笑顔になって
幸せになる。
それがますますモチベーションとなり
あっという間に
オムツとは”さよなら”です。
トイレットラーニングは
「敏感期」の概念で考えて行うと
とっても楽ですよ。
トイレットラーニングの為の良い環境を整えよう!
トイレットラーニングの為の良い環境としては、
子どもが座りやすい、
排泄しやすいおまるやトイレ
ステップ台などを用意することが大切ですね!
排泄の自立後、子どもは大変身!自己肯定感UP!
オムツが外れて、
トイレで排泄できるようになると
子どもは大きく成長し、
大変身します。
自分を信頼できるようになり、
自信がついて、積極的になります。
そして、自己肯定感も高まります。
排泄の自立は
様々な自立に繋がります。
子どもの、自らを伸ばそうとする心と身体を邪魔せず
必要な環境の用意と手助けをしてあげましょうね。
年齢や発達段階のマニュアルよりも重要な
子育てのキーポイント"Key point" は、
「敏感期」を知ること。
「敏感期」を知ると、子どもも大人もHappy!!
「今、どんな敏感期の中にいるのかな?」
これを意識して工夫することで
子どもも大人も幸せになれます。
そして、大人への道の第一関門、
トイレットラーニングも、
もうこれで楽しく突破です!
Ciao ♡