本から光が消える日 カマイメーロンの花束を最終紹介
書店に並んでいる本やネットに紹介されている電子書籍から命の光が消えるのはいつだろうとこの一年ずっと考えていた。誰かに読まれなくなった。誰からも手に取られなくなった。捨てられた。いろいろ考えて結論は出なかった。
考え始めたのはあと十数日で僕の本から命の光が消える日が来るから。
色々な人の手を借りて2020年7月15日に出版した詩集「カマイメーロンの花束を」が僕の予想よりも多くの人の手に届いて今年2023年7月15日をもって絶版になる。
絶版になったとしてもほんの内容や著作権は僕がこの世からいなくなって50年後の12月31日まではあると著作権情報センターから言われている。けれど思った、本に命があるとしたらその状態は墓石に描かれた名前のようなものなのかもしれないといったらいろいろな意見が来るのだろう。
そう考えていると絶版になって出版契約がなくなった「カマイメーロンの花束を」はもう命の光を失うのだろう。
最近文学で話題にあがるのは短歌でまだ現代詩は流れがゆるやか、だから詩集を出しても売れる自信がなかった僕にとってこの本を出したことは希望になった。たとえ売れない本だったと言われたとしても。
溜め込んだ詩を担当さんに見てもらい、校正をしてもらい、詩の順番を並べ、文字フォントから表紙のデザインを考えて形にしてもらい、思いのこもった帯をかけてもらい、印刷をしてもらい、本屋さんに並べてもらえるよう交渉してもらい、本を売ってもらいました。書いただけでも一人でするには大変なことをこんなにもいろいろな人にかかわってもらって作れたことに感謝の言葉以外浮かびません。関わってくださった皆様、よい本を作っていただきありがとうございました。
こんなにいいものを生み出してくれたのだからと僕は人伝えに頼んで宣伝をいくつかしてPVも朗読動画も出して今後につなげる一歩に挑戦することができた。
詩集「カマイメーロンの花束を」を作って気づいたのは僕は自分が思うよりも哲学的な考えを持っている人間であることでした。できることならこの詩が誰かの一歩を進む手すりや考え方を見つけるキーワード集の様なものになればいいという思いで書かれた”Psyche”、その中でも僕のオリジンになりえるものは”ユーロジーがエレジーに変わる時には”と”遺品整理”の生死にかかわること。若造が何を書いていると言われそうなことを僕は考えるのが詩の場で、元々詩という手紙を亡くなった親族に贈ったユーロジー(=弔辞)が由来でした。きっとこれが哲学になっているのかもしれない、だからこれからもこんな詩を書いているのだろう。
またこの詩集でもいろいろな人の紹介でも書かれるどことなく寂しい恋愛のことを多く書いた”Meraki”、一つ一つが短編映画であるかのようにできるだけちいさく書いた恋愛の一編を紡いでいました。恋愛を詩人が書くと自身のことを書いていると言われがちだが僕はそれがほぼなく、本当に小説を書いてその登場人物が詩を書くならという書き方をすることが多い。例えるなら対詩”鬩ぎ愛””拒み愛”の男女の思いを書いた詩から繋がっていくように互いの思いを生めるような”代用品”の三つの短い夜の詩集。そんな風景を想像できる詩を書きたい、昔登場人物の対話するような詩を書いたようにいつか望まれるならそんな詩集を書こうかと夢見ている。
そんな夢を形をするきっかけを作ってくれた詩集「カマイメーロンの花束を」は光を消していこうとしています。僕の手元には数百冊は戻ってくる約束をしていますが僕の元に戻ってきた積まれた本たちは命の光があると言えるのだろうか?そんな風に考えながらこれ以上誰かの手に渡ることはないのかもしれないち考えているがもしこの話を見て気になった方がいたらこの詩集に光を与えてくださると幸いです。
それでも残った僕の元に帰ってきた本は僕となにかしらあって知り合って興味を持ってくださった方が僕がもし新たな本を作った時に「あの時の詩集も読んでみたい」と光を当ててくれた時に差し上げることになるでしょう。
最後に花びら程度の小話を、
「カマイメーロンの花束を」
詩集の中に多くのギリシャ語があったのは文学文明に今も多く影響を与えた言語でそんな影響を一つでも波を作る石となったらと願ったからだった。
そんなギリシャ語でカモミールを使った意味は大地のリンゴを意味する花にアダムとイブが食べたリンゴを思い浮かべ、アロマや薬の一種の植物として人を癒してきたホスピタリティな存在になるような詩集であってくれたならと花束にしてあなたに届けたい。
もし詩集「カマイメーロンの花束を」受け取ったあなたにそんな波が与えていたのならと僕は願い、次の作品をいつか生み出したいと思っています。
それでは
消えていく「カマイメーロンの花束を」の光を
生み出してくださり
知っていただき
受け取っていただき
ありがとうございました。
2023.7.4 京 螢兎
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