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【感想】映画 ルックバック/藤本タツキ

観ようと思ったきっかけ

私は、映画は、年に1~2回しか見ない。
最後に観た映画は、昨年の3月くらいに観たスラムダンクが最後だったと思う。

映画館で観ること自体は好きなのだが、最寄りの映画館までは家から車で40分かかる田舎に住んでいるため、よほど観たい映画でなければ、わざわざ観に行こうと思わない。

そんな私がルックバックを観ようと思った理由は3つある。

  • チェンソーマンで藤本タツキさんを元々認知していたこと

  • 知人に勧められ、漫画版は既に読んでいたこと

  • Amazon Primeで配信されたこと

というわけで、Amazon Primeでルックバックを観ることにした。

※本記事は、映画 ルックバックのネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。


感想

観終わってまず、映画館で観たかったという後悔が押し寄せてきた。

漫画で読んだときも面白かったが、漫画ではサラッと読んであまり印象に残らなかったシーンが、映画では音と動きで強烈なインパクトがあった。

冒頭の4コマ漫画が、藤野の脳内ではアニメのようになっているシーンや、京本の4コマ漫画を見て、ピアノの音で藤野の絶望感を表現しているシーンとか。


周囲から褒められ、自分が一番絵が上手いと思い上がり、大きな態度をとっている藤野が、京本が描いた4コマ漫画を見て自分が井の中の蛙であることを知り、絶望するシーンは、心理描写も含めてリアルで苦しくなった。

誰しも一度はそういう経験があると思う。
特に今は、インターネットを通じて、自分より上はいくらでもいる現実を、容赦なく何度も見せつけられるから。

そこで挫けずに猛勉強を始めて、家族や友達からの評判が悪くなってもなお、絵に没頭できた藤野はすごいと思う。
結局、1年くらい勉強しても差が縮まった気がしなくて一時期は辞めてしまうわけだが。
ここまで打ち込めるものがあるというのは、羨ましくもある。


京本に卒業証書を渡しに行くシーンが一番好きだ。
学校に通っている藤野と、ずっと家にいる京本では、絵にかけられる時間が違いすぎた。スケッチブックの量の差が画力の差。

天才と呼ばれる人たちも、必ず裏でものすごい努力してるみたいな。
天才なんてただのレッテルだ。
そんな天才から先生と呼ばれて、嬉しくなって漫画の賞を狙ってるなんて嘘をついちゃうところとか。

帰り道、嬉しさのあまり、雨にもかかわらず傘もささずにヘンテコなスキップをして、水たまりに飛び込むのも気にせず、家の中までビショビショにして。


その後、中学生コンビが漫画を完成させて、ジャンプに持っていってコンテストで賞を取るシーンは、「バクマン。」を彷彿とさせる内容だった。その後の連載や、掲載順位の描写もなんかもそうだ。


京本が美大で刺されて死んでしまうシーンは、京アニの事件が背景にあると書かれていることが多いが、私は「君の膵臓を食べたい」が脳内をよぎった。予想外の角度からの突然の死という意味で。

作中では、自分が部屋から連れ出したから京本が刺されて死んだと、藤野が自身を責めているシーンがあるが、それは京本が藤野の中で大事な存在となっていたからこそ、自責思考になったのだろう。
方向性の違いで別々の道に進んだことが、余計にそうさせているのかもしれない。


最後、京本が描いた4コマ漫画「背中を見て」を机の前の窓に貼り、藤野が漫画を描くエンドロールは、とても綺麗だった。時間が経過するにつれ、日が暮れていく描写も良かった。

タイトルの「ルックバック」の意味や、創作の過酷さ、様々なテーマや思いが見え隠れした。


漫画家や、何かを目指している人にとって、すごくやる気や勇気をもらえる作品だと思った。

漫画ではないが、私も少しだけ文章を書いてるので、この2人みたいになりたいなと思ったり。

それと、漫画や小説も良いけど、映画も良いな、他に何か観てみようかなと思えた。


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