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知らなかったことを知る体験は、まるでファンタジーのようでした(#高校生レポート)

はじめに
このインターンシップレポートは、NPOカタリバ Rootsプロジェクト(外国ルーツの高校生支援事業)が展開するRootsインターンに参加した高校生の体験をまとめたものです。

日本社会での進路を自分ごとに
「外国の人」ときくと、海外から来る外国人(旅行者や留学生等)を想像する方が多いかもしれませんが、今、日本の子どもたちとともに育つ外国ルーツの子どもたち(両親、またはそのどちらか一方が外国出身)が増えています。親の事情で来日した子がほとんどですが、環境の変化に前向きに、そしてしなやかに向き合っています。
多様な教育背景をもつ子どもたちの日本でのキャリア形成は、まだまだ事例が多くはありません。彼・彼女たちの目線で日本はどう見えているのか、そして今まさに越境を体験している高校生から、これからの未来について、この記事を読んでくださっているみなさまとも学んでいけたら幸いです。

インターン概要
豊橋市内の路線バス、高速バス、貸切バスなどの事業を行っている豊鉄バス株式会社(以下、豊鉄バス)の職員の方々にインタビューさせていただきました。キャリアにおけるターニングポイント、仕事で大切にしていることとその理由について、高校生がお伺いしました。

▼▼以下、高校生によるレポートです▼▼


SKさんのレポート 「お客さんと職員が互いに信頼することが重要」

自己紹介
中国出身です。4年くらい前に日本に来ました。趣味はロードバイクに乗ることとゲームをやることです。ロードバイクの部品などについて調べることがとても面白いです。今は、将来やりたい工業系の仕事に向けて頑張っています。

取材相手について
【村上 広樹さん(運輸部)】
会社では、バス運転士を担当しています。

日本で働く大人へのインタビュー

Q1. キャリアにおけるターニングポイントは何ですか?
村上さんの答え:キャリアのターニングポイントは、運転手、ダイヤ改正、事務などいろんな仕事をやることで、これから見つけていく。

Q2. 自分の担当している仕事で大切にしていることは何ですか?
村上さんの答え:バスを運転する時に一番大事なのは、事故を起こさないこと。お客様に対して責任を持つことが大切。

【SKさんオリジナル質問】
Q3. お客さんがお金を忘れた場合はどうしますか?
村上さんの答え:メモをして、次に乗る時に出してもらうようにお願いする。まずはお客さんを信じる。

感想
(村上さんのお客さんとのコミュニケーションのお話から、)この仕事では、お客さんと職員が互いに信頼することが重要だと実感しました。

【SKさんオリジナル質問】
Q4. 人間関係はどうすればよくできますか?

村上さんの答え:相手が話したことをしっかり聞くこと。

感想
人間同士がつながる上で大切なことだと思いました。これを知って自分の生活は大きく変わると思います。

取材をしての学び、いちばん心にのこっていること

  • (事前プログラムの際に見た)インターネット上の情報しか知らなかったので、どんな会社なのか気になっていましたが、実際に会社に行って自分の目で見てとても良い会社だと感じました。

  • 日本語でのインタビューを通じて、自分自身の成長を感じることができました。

  • バスの中身を見せてもらって、エンジンや機械の動き方などが自分の好きな分野(ロードバイク)に共通している知識かもと思いました。

  • 10個の鏡で全体を把握することや、空気でドアを動かすことなど、知らなかったことを知る体験は、まるでファンタジーのようでした。

バスの運転席で説明を受けている

DLさんのレポート 「免許を取るまでの間、いろんな仕事をするのは冒険みたい」

自己紹介
高校2年生です。好きなことは冒険することで、さまざまなスキルを身につけたり、いろいろな場所や国に行くのが好きです。将来の夢や仕事も、この「冒険」をキーワードにして探して行きたいなと思っています。今、気になっているお仕事は、クルーズ船で働くことです。

取材相手について
【河合 龍也さん(運輸部)】
会社では、バス運転士を担当しています。

日本で働く大人へのインタビュー

Q1. キャリアにおけるターニングポイントは何ですか?
河合さんの答え:小さい頃からバスが好きで、中学の頃にバスの運転士になることを決めた。豊鉄バスに就職してから3年間、会社の中でさまざまな仕事を経験しながら良い運転士になるための勉強をしていた。

Q2. 自分の担当している仕事で大切にしていることは何ですか?
河合さんの答え:安全。お客さんが怪我をしないように、安全運転を心がけている。また、いろんな部署の人がいることで仕事が成り立っているので、自分だけではできないという意識も大切にしている。

インタビューやバスの運転席に座ってみての感想:
バスと普通の車の違うところに気づいた。ハンドルの長さとか回転半径(turning radius)が全然違うことを感じた。

取材をしての学び、いちばん心にのこっていること

  • 「どうやってその仕事についたのか」や「なんでその仕事にしたのか」、会話するのはとても面白かったです。インターンは初めてだったけど、またあったら、参加したいです。

  • バスに乗って、バスの中のことを聞けて面白かった。バスの免許を取るまでの間、窓口、事務、駅員など多様な仕事を体験できると聞いて、「この仕事やってみたい」と思いました。

  • 運転する時や免許をとるまでの勉強の話は大変そうだったけど、自分は「冒険」というキーワードを大切にしているから、面白そうだと思いました。

いつものバスの風景がインタビューの現場に

RTさんのレポート 「仕事を選ぶ軸は、一番目は興味。」

自己紹介
中国から来ました。今、がんばっていることは部活と勉強です。テニス、バレー、ゲームなど趣味がたくさんあります。学校で友達と話したり、笑ったりすることが好きです。生物を学びながら教員の免許を取れたらいいなと思っています。  

取材相手について
【大野 公靖さん(経営管理部)】
会社では、総務を担当しています。
【河合 龍也さん(運輸部)】
会社では、バス運転士を担当しています。

日本で働く大人へのインタビュー

Q1. キャリアにおけるターニングポイントは何ですか?
大野さんの答え:大学生の時の旅行のクラブ合宿。電車が好きなので。
河合さんの答え:小さい頃からバスが好きで、バス運転士に憧れを持った。

感想
(社員さんたちが)自分の「好き」を趣味というだけでなく、仕事にされていることが印象に残りました。

Q2. 自分の担当している仕事で大切にしていることは何ですか?
大野さんの答え:協力すること。自分だけではできないことが多いので、いろんな部門が協力をすることで安全に仕事ができる。
河合さんの答え:安全と快適さ。人が乗っているから、お客さんを怪我させないようにすることが大切。

感想
仕事の内容(や役職)によって、気をつける物事の比重が違ったりすることに気づきました。

【RTさんオリジナル質問】
Q3. :仕事のモチベーションを維持するためにどんなことをしますか?

聞けたアイディア:

  • 目標を立てて頑張ること。その目標に対して、やれることをやる。

  • 仕事で起こる先のことを、事前にやってしまうようにすること。

  • 甘いものを食べたり、お茶などを飲んで休憩を取ったり、目を覚ますことを積極的にすること。

取材をしての学び、いちばん心にのこっていること

  • 実際に行ってみると長時間運転することはすごく大変だなということがわかりました。

  • 運転に限らず働くということは強い意志がないとやっていけないと思います。

  • 仕事を選ぶ軸は、一番目は興味、二番目は給料。興味がないと長く続かないと気づきました。

バスの中で、インタビュー後の報告

豊鉄バスのみなさん、本当にありがとうございました!

カタリバメンターのつぶやき
生徒たちが日常生活で利用する身近な乗り物、豊鉄バスさんでのインターンを通して、職員の方々の仕事に対する姿勢を知り、自分自身の価値観に出会い、仕事のリアルを知ることができました。

これからも行動することを大切にして、なぜ興味があるのか?なぜ興味が持てないのか?を深掘りすることで自己理解を深めていき、自ら将来への選択ができるようになってほしいと願っています。

Rootsインターンの報告会では、発表前は自信がなさそうだった生徒たちも、メッセージカードを多くの関係者の方々からいただき、とても嬉しそうな表情で、生徒同士でシェアし合う姿が印象的でした。

また、関係者の方々と生徒で対話を行いましたが
彼らが語ってくれた夢に大人たちも耳を傾け、生徒の夢を叶えたいと、熱いエールを送ってくださいました。

関係者の方々のあたたかいまなざしに
豊橋という街が外国ルーツの子どもたちと共生する街になる可能性を感じました。


Rootsインターンについて🌱

📣興味を持った高校生、周りにお薦めしたい高校生がいる方、
年に2回(夏:7-9月、冬:12-2月)インターンシップを開催しています!
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