「国籍も年齢もこえて、仲間になれることを知った」(#高校生インタビュー)
はじめに
この高校生インタビューの連載は、NPOカタリバ Rootsプロジェクト(外国ルーツの高校生支援事業)が展開するインターンシッププログラムに参加した高校生の体験をまとめたものです。
1時間の対話で生まれるもの
今身の回りにある人間関係や社会とのつながりが一瞬でリセットされてしまったら・・・
外国ルーツの生徒たちには、学習途中で母国から日本にきたとき、まだ未来の可能性がたくさん開かれるべき時期にそのリセットが起こっています。
日本にいても社会との繋がりは学校の中にしかないことも多く、日本社会とはどういうものか、知らないまま進路を選ぶことを要されています。
まずは日本社会と出会う!そこから生まれる意欲と創造性の可能性を信じてみよう。企業のみなさまや学校の先生方、そして何より高校生たちと手探りでつくりはじめたインターンシッププログラムは、私たちの想像を超えたつながりを生んでいます。
インターンシップを終えて出てきた生徒の言葉です。
背景には、自分のチャレンジを肯定的に捉えてくれる存在と、生徒が自分の未来の可能性にワクワクできるような対話との出会いがありました。
今回は、企業の方達とのどんな会話を、どのように生徒たちが受け取り、未来につながっていったのか、インタビューを通して覗いてみてください。
インターンシップレポート
【myProduct株式会社】
インターンシップ概要
インターン先:myProduct株式会社(以下、マイプロダクトさん)
マイプロダクトさんが運営する旅する地域共創ジャーナル「CRAFTRIP」の滞在取材(茨城県かすみがうら市での撮影)にインターン生として高校2年生のIさんが参加してきました!
マイプロダクトさんによるプレスリリース
▼▼以下、参加高校生へのインタビュー内容です▼▼
ー自己紹介
都内(とない)の高校2年生です。私は日本とパキスタンのハーフ*です。
(*Rootsプロジェクトでは、生徒の選択する表現を尊重しています。)
日本で生まれて、パキスタンで10年過ごしました。2年前に日本にもどってきました。今は学校に行きながら、コンビニでアルバイトもしています。
学校の部活では今は和太鼓(わだいこ)をやっています。いろいろな新しいことを学ぶのが好きなので、来年は格闘技(かくとうぎ)をやりたいなと思っています。
私は最近はともだちといっしょにビジネスをはじめようとしています。スポーツウェアとかカジュアルな服のブランドをつくりたいなと思っています。
インターンシップをとおして、私はビジネスのことについて学びたいなと思って参加しました。特に人や場所が大切にしていることを伝えることしっかり見ながら経験したいと思います。
私の特技(とくぎ)は写真をとることや、新しいことを経験(けいけん)することです。クリエイターとして(写真や動画、作品づくりを通して)世界の美しさを発信したい、という想いがありますが、周りには相談できる人がおらず、自分だけでがんばることに限界と不安を感じていました。
ー参加しようと思ったきっかけは?
色々な不安はあるけど、参加したら面白い人と出会えるかも
実は、最初は、参加することに消極的でした。アルバイトを休まないといけないこと、行ったことがない遠い場所に行くこと、初対面の大人の方と話すことに不安がありました。
だけど、面白い人と出会えるかも、自分の将来についての不安を相談したいと思って参加しました。クリエイターとして将来を考えていくにあたって、
「何から始めていいのか分からない」不安があります。ただ、それをインターンシップで言ってもいいのかな?そんな風に、自分のモヤモヤははっきりと言葉にできない状態でインターンシップに向かいました。
ーインターンシップでIさんが感じたこと・発見はありましたか?
1人で頑張る限界を感じていたことに、気づいた
インターンシップに参加した1日、
自分が「やりたい」と口にしたことを、この日は1回も否定されませんでした。いつもは、(Iさんがやりたいと口にしたことに対して)日本語ができないのに、どうしてできると思うのか、と言われてしまうことが多いです。
でも、今日話した大人の方たちには、「どうやったらもっとできるようになるか」をたくさん教えてもらえました。
普段、周りにいる人たちからネガティブなことを感じると、ネガティブな波に流されそうになります。自分をがんばって律してきたけど、1人で頑張る限界を感じていたことに、気づきました。
「仲間」の枠は自分で広げられる
これまで、自分の仲間は、自分と同じようにハーフとか高校生とか、
自分の身近にいる人たちや自分の似たルーツを持つ人だけだと思っていました。
今日たくさんの大人の方と話して、
自分のチャレンジを応援してくれる言葉をもらって、
自分が思っていたよりも、もっと色々な場所に仲間がいて、
もっと色んな可能性があることがわかりました。
そして、日本ではいつも行く場所しか見たことがなかったけれど、いつか見てみたいと思っていた新しい景色をみることもできました。
もちろん、自分の作品づくりについても学びがありました。
僕は今までに、自分のカメラで写真や動画を撮っていましたが、誰かにアドバイスを貰う機会はありませんでした。
今回のインターンシップで、撮影技術の専門的な部分を教えてもらい、自分の作品に対して、プロの方にアドバイスをもらえたことで、
今後、自分の作品をより良くするために、具体的に取り組むことが明らかになりました。
ー不安を感じていた将来に対して、考え方に変化はありましたか?
間違えても大丈夫、と思えるようになった
自分のキャリアの選択肢が、前は1つだけしか見えていませんでした。
だけど、それは自分が情報を知らなかっただけだとわかりました。
インターンシップに参加して、選択肢が増えました。チャンスが見えてきて、考えが広がりました。
僕は、母国にいた頃、サッカー強化選手としてサッカーに一生懸命でした。
今も一生懸命になれるものは、自分にとってチャレンジのあるものにしたいです。失敗するかもしれないけれど、挑戦してみたい、と思えるものに自分の力を注ぎたい。
ただ、学校では失敗しないように、今の自分ができる範囲の選択肢しか話せない雰囲気がある気がします。その周りの雰囲気に自分の挑戦しようとする心が押し潰されそうになる時があります。
今日のインターンシップでは、自分ができるか、できないか、ではなく、
やってみたらいいって言ってくれる大人に出会いました。
そして難しいかも、失敗するかも、でもやってみたい、と感じることに「間違えても大丈夫」チャレンジしてみようと感じました。
◆企業の方からのメッセージ
越境により人間関係がリセットされた高校生に、新たなつながりを届けたい
多感な思春期に移住し、これまで積み重ねてきた学びの力や友人関係がリセットされてしまった外国にルーツを持つ高校生に、社会との新たなつながりを届けることを目指し企画しました。本プログラムを通じて、外国にルーツを持つ高校生の新たな興味関心を喚起し、日本でのキャリアを醸成するためのきっかけとなることを期待しています。
👬社内調整を担当してくださった社員さんより
・今回のインターンを、高校生が楽しんでくれて、彼の人生にとって意味のあるものになるのかとても不安でしたが、笑顔や前のめりな姿勢で参加してくれたのでうれしくなりました
・師匠に弟子入りという形であれば、定期的に開催できるイメージをもてました
🧑🏫当日担当してくださった師匠(カメラマンとディレクター)
・高校生のアイディアや発想に刺激をもらいました
・自分の仕事を説明する過程で、自分の仕事が社会と循環するような感覚を得ました
・いつでも現場に遊びにきてほしいし、クリエイター同士つながろう
さいごに、参加した生徒の体験要素を分解してみました
Iさんの言葉から、インターンシップでの体験が、どのように生徒たちの未来に繋がっていくのか、私たちなりに分解をしてみました。
Rootsプロジェクトでは、インターンシップという新たな大人(日本社会)との出会いによって、生徒・大人にとっても未来につながる仕組みを持続させていけるよう模索している最中です。
今回のインターンシップに協力くださったmyProduct株式会社のみなさま、茨城県かすみがうら市のみなさま、本当にありがとうございました!
▼インターンシップを通しての生徒の作品はこちら▼
以上、第二回インターンシップレポートでした🌈
みなさん、本当にありがとうございました!
◆◆◆
Rootsプロジェクトでは、これからも高校生のチャレンジを応援していきます。次回のチャレンジも、お楽しみに!
▽これまでの活動の様子をさらに知りたい方はこちら