「不安を乗り越えてチャレンジした先に、次のチャンスをつかむ勇気がわく」（＃高校生インタビュー）
はじめに
この高校生インタビューの連載は、NPOカタリバ Rootsプロジェクト（外国ルーツの高校生支援事業）が展開するRootsインターンに参加した高校生の体験をまとめたものです。
これまで2回のインターンシップを実施し、今回3回目の企業インターンでは、Fintechを扱う株式会社デジタルワレットさんにお邪魔してきました。
🌼これまでに実施したインターンシップの記事はこちら🌱
①「自分の自信がなくなる仕事は本当にしてはいけない。」
②「国籍も年齢もこえて、仲間になれることを知った」
1日の出会いがもたらすもの
今身の回りにある人間関係や社会とのつながりが一瞬でリセットされてしまったら・・・
外国ルーツの生徒たちには、学習途中で母国から日本にきたとき、まだ未来の可能性がたくさん開かれるべき時期にそのリセットが起こっています。
日本にいても社会との繋がりは学校の中にしかないことが多く、日本社会とはどういうものか、自分に日本社会での居場所はあるのか、知る機会がないまま進路を選ぶことを要されています。
まずは日本社会と出会う！その中で、自分の未来の可能性や期待してくれる人の存在を実感してほしい。
企業のみなさまや学校の先生方、そして何より高校生たちと手探りでつくりはじめたインターンプログラムは、私たちの想像を超えた高校生たちの意欲を生んでいます。
チャンスを掴まないと、次のチャンスの時も挑戦できないかもしれない
今回参加した高校生にとって、インターンの機会がようやく自分に開かれたチャンスだと感じ、貴重な体験・学びを持ち帰れたからこその言葉だと感じました。
どんな体験から出てきた言葉なのか、インタビューを通してのぞいてみてください！
Rootsインターンレポート【株式会社デジタルワレット】
インターンシップ概要
株式会社デジタルワレット（以下、デジタルワレットさん）による1DAYのインターンシッププログラムを開催しました。
5つの体験プログラムの中から、生徒たちは興味のあるもの・自分の進路と関係するものを自分で選択し、参加してきました。
すでに記事が公開されているコースはリンクからぜひ覗いてみてください🙋♀️
💡キャンペーン企画コース
🎥動画作成コース
💻Webアプリ開発コース
🎨デザインコース 🌟本記事
👀UI設計体験コース
🎨デザインコース Sさん・Kさんのインタビュー
自己紹介
🔴Sさん
東京都の高校3年生
中学校の時に家族でバングラデシュのダッカから日本へ
高校では、華道部とダンス部に所属
今年の春から専門学校でビジネスを学ぶ予定
🟠Kさん
東京都の高校3年生
中学校の時に、エチオピアから日本へ
デザイン（ファッションやインテリア）に関係した仕事を志望していて、アパレルや仕分けの仕事をアルバイトで経験
好きなことはトルコのドラマを見ること
なんでインターンに参加しようと思いましたか？
🔴Sさん
仕事をしたら、自分の時間がなくなってしまうのか、専門学校ではビジネスの学科に入ったけど、ビジネスとはどんなことか、どういう仕事があるのか知りたいです。
🟠Kさん
デザイン関係の仕事したいと思っているので、デザインについて学びたいと思ったからです。
当日はどんなことをしましたか？
🔴Sさん
さくらのお祭り（さくら前線）について、facebookやHPに載せる広告のグラフィックデザインを体験しました。
Canva（オンラインで使えるグラフィックデザインツール）を使って、見えやすい文字や色合わせを学びながら、デザインを作っていきました。
まず、文字の書き方について、どのフォント、どの太さ、どこに書いたら読みやすくなるのか、を学びました。
その後、テーマに合わせて、色合わせをしました。色のサークルの中から反対色を使うと良いなどのルールに沿って決めていきます。目立つ色をたくさん使ってしまうと綺麗にならない、ことも知りました。
🟠Kさん
色の使い方を学びました。デザインというと、ファッションなどをイメージしていたけど、今回 「デジタルデザイン」という分野に初めて出会いました。文字の書き方、色の合わせ方など、デジタルデザイン特有のルールがあることを知りました。
難しかったことはありましたか？
🔴Sさん
パソコンを初めてちゃんと使ったので最初は難しかったです。学校でもあまり使っていないから。だけど、一緒に教えてくれた先生（社員さん）が「覚えるの早いね」と言ってくれました。
決まったテーマに合わせてデザインを考えることは、難しかったけど、出来上がった作品を社員さんが「すごい」と褒めてくれ、楽しい、と思いました。
▼Sさんの完成品
地図をコピーして白く塗ってから、それを重ねるとボーダーになることを教えてもらいました。
イメージしたことが形になることが楽しかったです。（Sさんコメントより）
🟠Kさん
デジタルデザインそのものが初めて触れるものだったから、やってみるということが新鮮で面白かったです。デジタルデザインを作るときの基本的なルールなど、勉強してみないと分からないことがたくさんあると気づきました。
▼Kさんの完成品
自然な雰囲気にできるよう工夫してデザインしました。
（Kさんコメント）
自分が進みたい進路について、気づきはありましたか？
🔴Sさん
社員さんに、外国にルーツを持つ人がどんな会社で働いたらいいと思うか？と聞いたら、日本よりも海外の方が働きやすいと言っている人もいました。私も学校を卒業したら、他の国に行く選択肢もあるのかもしれないと思いました。だけど、日本に住んで時間がたてば日本語を今よりもっと理解できるようになって、日本で働きたいと思うかもしれないとも思います。
インターンで行った会社はオフィスがとてもきれいで、（会社についてと日本で働くというの２点について）イメージと違っていました。働いている人たちの目の前を通って、外国ルーツの人も沢山働いていて、私も頑張れば日本でも働けるかもと思いました。
だから今のところ、学校を卒業した後に一度は日本で就職して、それから他の国に行くか考えたいと思っています。日本と他の国の架け橋になりたいです。
🟠Kさん
キャリアの積み上げ方は、勉強だけではなくて経験という入り口もあることを知りました。一人の先生（担当してくれた社員さん）は、デザインの勉強を学校でしたのではなく、自分でYoutubeで学んだりする中で経験を積んでいった結果として、今仕事になっていると話していました。
デザインを仕事にするには、大学で勉強してデザインコースを卒業することが絶対だと思っていたけど、経験が大事だということを学びました。
インターンを通して感じたことは何ですか？
🔴Sさん
初めて、インターンに参加しました。最初は心配だったけど、やってみないと分からないな、と思いました。前は知らなかったCanvaというツールを知って綺麗なデザインを自分でも作れることが分かったし、不安があっても一度参加してみた方がいいって思いました。（その時に訪れた）チャンスを掴まないと、次のチャンスの時も挑戦できないかもしれないから、一回挑戦した方がいいと思います。
🟠Kさん
今回体験した分野は私にとって全く新しい分野でした。新しいことにチャレンジできたことが良い経験だったと思います。
あとがき
話をきく中で、新しい体験を自分のチャンスと捉えられることは、２人がもともと持っていて、かつ国を移動するという越境体験を経て高めてきた力なのだろうと感じました。
２人にとって、生まれ育った国ではない場所の "会社" という未知の場所に行くこと自体、不安でハードルが高いこと。その不安を乗り越えて参加した先の実りある出会いが、生徒が「自分でこのチャンスを掴んだんだ」と思える一瞬につながっていました。これからも、自分のチャンスを見つけて掴んでいくだろうと信じています。
自分の経験をもとにフラットに生徒とお話してくださり、学び形にしていく楽しさを伝えてくださったデザインコースの担当者の方々、本当にありがとうございました！
次回は、UI設計体験コースを紹介していくので、次回の生徒の挑戦もぜひ覗いてください🤖
▽これまでの活動の様子をさらに知りたい方はこちら