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「自分の自信がなくなる仕事は本当にしてはいけない。」(#高校生レポート)
はじめに
この記事は、NPOカタリバ Rootsプロジェクト(外国ルーツの高校生支援事業)が展開するインターンシッププログラムに参加した高校生が作成したものです。
外国ルーツの若者のキャリア形成において「言語の壁」は氷山の一角にすぎず、「社会と繋がるハードルの高さ」や「将来を肯定的に捉える機会の少なさ」が活躍のボトルネックになっています。学びの機会からの排除は労働の排除につながり、それは地域課題となって表出します。ともに社会をつくる仲間として、今、若者と社会をつなげることが急務だと考え、私たちは活動してきました。
「たった1時間の対話で、何が変わるのでしょうか」
ともに活動する企業の方からの言葉です。
「日本に来て何もがんばれていないと思っていたけど、そんなことなかった」「外国人じゃなくて、”私”としてみてもらえた」
「かけてもらう言葉が、心に溜まるのを感じた」
自分に期待してくれる人からの言葉は、関わる時間に関係なく彼らの未来を応援し続けます。子ども若者の可能性を家庭や学校に丸投げするのではなく、社会とともに彼らの活躍を後押しする仕組みの構築を目指し、賛同企業のみなさんとともにRootsインターンシップに取り組んでいます。
この記事に目を通してくださるみなさんとも、これからの未来についていっしょに考えていけましたら幸いです。
Rootsプロジェクト 宮城(みやぎ)
インターンシップ概要
組織・人材開発研修、コンサルティングを提供するインパクトジャパン株式会社さんによる、高校生向けのプロボノ研修の取材を行いました。プロボノ研修研修を統括していらっしゃる社員さんや参加者へのインタビュー、研修の様子を見学・撮影させていただきました。
▼▼以下、高校生によるレポートです▼▼
インターンシップレポート【インパクトジャパン株式会社】
自己紹介
都内(とない)の高校3年生です。
私は中学2年生の時に、中国から日本に来て学習しています。
私からみた日本は、成績だけではなくて、個人の個性が尊重されていると感じました。文化祭や体育祭などの学校行事で。一方で、空気を読める、ことを大切にしている文化があって疲れやすい、とも感じることがあります。
日本に来て5年、成長したと感じます。家族みんな、日本語を学んだばかりなので、私も一緒に引っ越し・銀行・役所の手続きをやりました。日本語を学んだばかりなのに、手続きの時は、担当の方が親切でやさしい日本語で説明してくれました。日本は生活しやすい社会だな、と思いました。
私は現在、大学進学を考えています。大学では、中国と日本の共通課題である少子高齢化社会において、高齢者が楽しく健康に過ごせるためのサービスに取り組みたいです。(新しくビジネスをはじめるときに)具体的にどうサービスを構築しているのかお話をききたいと思って参加しました。
研修の流れ
①プログラム
・自分の強みを発見する
・ 人と人との違いを学び合う
↓
自分に合ったコミュニケーションを知るワーク
②社員さんと交流
社員一人と生徒一人のペアで、お互いのことやこれからのことを話す。
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研修に参加していた高校生のみんなに感想を聞いてみました!
学校では、みんなは自分のことをやっていて交流の機会が少ない。今日は、色んな人と意見を交換することが楽しかった。
最初はすごく緊張していたけど、スタッフさんが優しく説明してくれて、だんだんリラックスできた。
自分のことをもっと理解して、自信が増えた。
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私から見たみんなのこと
各々の高校生が発表した後の、社員さんの情熱や反響が印象的でした。私は、日本語が上手ではない、とか、言うことがちゃんと相手に伝わるのか、言ってることが馬鹿に見られるのではないか、と心配して、言いたいことを発表できなくなることがあります。でも今日は、一人が発表したら、みんなが拍手してくれて、コメントをしてくれて、気まずさを感じずに、発表をできる空間でした。
◆◆◆
企業の方にインタビュー
インパクト・ジャパンの社員の方3名にお話を聞きました。
Q1:なぜ、高校生のためのプログラムを実施しているのか?
・せっかく(研修や人材開発の)ノウハウがあるので、これから未来がある人たちに、リーダーシップやコミュニケーションを身につけてほしい。
・褒められたら嬉しい、とか、人間としては、大人も子供も変わらないところがある。
・大人向けにやってきたことは、中学生・高校生・大学生などもっと若い人たちにも役に立つのでは?と始めた。
お話をきいての感想
高校生もこのような知識を身につけたいけど、機会がありません。学校では学べないけど、将来、リーダーシップやコミュニケーションは基本的なことだから、早めに触れたい、と思うから、こういう機会があるのはよいと思います。
Q2:みなさんは、なぜ、今この仕事をしていますか?
・個人的に役に立ちたいと思っていることとこの会社がやっていることが近いから。高校生の時は自分のことばかりだったけど、大人になって、もっと人の役に立ちたいと思った。
・人の能力開発、いろんな会社・組織が良くなっていくこと、が面白いと思っている。元々、ITをやっていた。20年前だから、社会にとって新しいことだった。ITの仕事は人をいっぱい募集していて、入りやすかった。ITも大事だけど、会社で色んな人とコラボレーションして働くこと、自分がどんなふうにリーダーシップを発揮していくか、の方が面白い。機械より、人に関わりたい。20代の時には、今の仕事をやりたい、と思っていなかった。
・ブラック企業と言われる場所で働いていた。もっとチームワークが良ければ、ブラックではなくなるのに。だったら、チームワークを良くする仕事をしたいと思った。
お話をきいての感想
自分のやりたいことがわかっていて、その目標をちゃんと目指している。自分が欲しいものをわかっているんだな。自分もそうなりたい。すごいなと、とても高いところにいる人に見えました。
Q3:新しいサービスをつくるときに、大切にしていることは何ですか?
社員Sさんから答え
お客様の声を聞くこと。
どうやったら聞けると思う?
私の答え
会社とお客さんとの距離を縮める
社員Sさんから質問
どうやって縮める?
私の答え
・・・アンケートとか?
社員Sさんからの答え
距離を縮めるためには、丁寧に接すること・興味を持ってもらう・いい仕事をする。サービスは、個人向けのものor会社向けの2種類がある。個人向けの場合、スタバではアンケート等の方法がある。アンケート、たとえば、答えてくれたらAmazonのギフト券あげるよ、みたいな。お客さんの声を聞きたいなら、お客さんにとっても利益を還元する、企業への信頼を作る。インパクトのサービスは、会社向けのサービスで、会社としてどういう目的を持っているかを聞く。
お話をきいての感想
ビジネスっぽいなあ
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Q4:たくさんのお金を稼ぐ仕事と、お金は稼げないけど意義がある仕事、どっちが良いと思いますか?
お金を稼ぐ仕事、意義のある仕事、どちらかを選ばなくていいと思う。
お金を稼げるけどやってはいけない仕事は、あなたが悲しくなったり、自分の自信がなくなるような仕事はやめたほうがいい。あなた自身が、誇りを持ってできる仕事をしたほうがいい。
意義のある仕事でもお金は稼げるかもしれない、と思えた。最初はお金を稼げないかも知れないけど、でも頑張れば周りの人がみて、賛同してくれると思う。今は、お金持ちになりたい、と思っていないから、意義のある仕事でやっていける。もし子供を持っていたりしたら、もっとお金が稼げる仕事をしたいと思うかもしれない。
↑の話を聞いて最後の質問です!
Q5.社員の方が話す『意義』とは、社会にとって意義のある仕事?自分にとって意義のある仕事?
社会にとって意義のある仕事をやっていると、自分にとって意義のある仕事になる。楽しい方を選んだほうがいいのかな。仲間になってくれたり、仕事を紹介してくれたりする。
インターンシップを通しての学び
さいごの質問を聞きたかったのは、(出身国である)中国では、ある貧しい地域で教育をやる人は、お金を稼げないし保護者も理解してくれない。その仕事は、社会にとって意義があるが、やるべきなのか、諦めるべきなのか。
自分にとって意義のある仕事、楽しい仕事を選んだほうがいい。もしたくさんのお金を稼げるけど、自分が悲しくなったり、自分に自信がなくなったら、やめた方がいい。
自分の自信がなくなる仕事は本当にしてはいけない。
どっちがいい、と選べる訳ではなく、自分の欲求による。
以上、第一回インターンシップレポートでした🌈
みなさん、本当にありがとうございました!
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企業メンターの方からのメッセージ
今回は、インターンシッププロジェクトをご一緒出来てとてもとても楽しかったです。
日本で頑張る高校生が、自分の国を外側から客観的に捉えて日本の文化やサービスと比較し、中国のお年寄りの幸せな未来のためにビジネスを作りたいというお話を聞いて、とても刺激を受けました。そして、アドバイスをしたり質問に一生懸命答えたりしているうちに時間があっという間に過ぎてしまいました。時間があっという間に経つのは、私たち社員も夢中になっていた証拠。インターンシップからは、提供する側も、自分の仕事や生き方について沢山考える機会を頂きます。ありがとう!そして、頑張れ!
これからの人生、思い切り謳歌(おうか)して行ってくださいね。社員一同応援しています。
◆◆◆
Rootsプロジェクトでは、これからも高校生のチャレンジを応援していきます。次回のチャレンジも、お楽しみに!
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