製作している刀展示ケースのラインナップと価格について
何気に今まで製作している刀展示ケースにどういう物があるかの一覧説明みたいなものを書いていなかったので、現在の状況も兼ねてまとめようと思います。
1.コンセプトについて
「刀とくらす」というコンセプトで製作しています。
私は刀の展示ケースを作るというよりも、刀を日々目にするところに飾れるものを作る事で、刀が絵のように生活の一部になるような「刀とくらす」
生活を提供できるような人になりたいと思いながら活動しています。
昔から刀は刀箪笥や金庫に入れている人が大半で、手入れする際は安全面からか子供や家族が見ていない時に一人でこっそりとする人は多いです。
所有者が存命の時には問題ないのですが、これが問題になるのは手入れする人が亡くなった時です。
家族は殆ど刀を手に取って見たりする機会が無かったので「刀は怖いもの」という認識を持つようになり、更に触ろうとしません。
その結果所有者亡き後は誰も手入れせずに錆びてしまいます。
酷い場合には存在すら忘れられて蔵にずっと入りっぱなしという事もあります。
それに対し、日頃から刀が家に飾ってあれば家族や友人など身近な人が少なくとも刀の存在を認知してくれるはずです。
何度も見れば人は親近感が沸くものです。
例えば部屋に刀が飾られているのを見て育った子供は小さい頃から刀を見続ける事になるので、大人になってから刀を身近に感じると思います。
身近に感じてもらえる事が出来れば、所有者が亡くなった後もその刀を大切にしていこうという気持ちになりそうではないですか?
「世代を跨いで継いでいく」事は私の中でも一つ課題にしています。
刀の美しさは見た時に初めて分かりますが、その美しさをより多くの人に知って貰い、後世に伝えていく一つの方法ではないかと考えています。
前置きが長くなりましたが、私が製作している展示ケースを順にご紹介します。価格は全て税込です。
2.刀箱シリーズ
現在私が製作している展示ケースの中で一番高い物です。
外装は鋼板を曲げて作り、その後に塗装、焼き付けを行っているので、頑丈かつ高級感があります。重量は刀無しで40㎏位。
ライトは美術館でも使用されている高演色(Ra95)の物を使用。
コンセントに繋ぐだけで部屋の環境に左右されずに刀を美術館のように展示する事が可能です。
壁掛けはテレビ用の壁掛け機材を使用して取付けます。
鑑定書や登録証、白鞘などの付属品もケース内に一元管理出来るようになっています。
言わずもがなですが、ケースは施錠出来るので、子供がいたずらで刀に触る事は出来ないので安心です。
他にも刃文を見るのに特化したスポットライトと地鉄を見るのに特化したライトとの切り替えが出来るなど、マニアックな機能も付いています。この機能は刀箱シリーズのみとなります。
このようにライトの切り替えで刀の見え方が変わります。
他にも反射防止フィルムが付いています。
これにより明るい部屋でも反射を気にせずに刀鑑賞が楽しめます。(以下の丸く空いているように見える所が反射防止フィルムを貼った所になります)
その他の機能は以下をご覧ください。
(上記写真は短刀用の写真ですが、刀用も同様です)
機能説明は以下動画にもまとめています。
種類としては、刀下の土台部に壁紙を貼った物と、漆を使った物の2種類があり値段が違います。
機能はどちらも同じです。
・刀箱(壁紙仕様) 140万円
土台に壁紙を貼った物です。以下は過去に製作したものです。
壁紙はメーカー取り扱い終了などしている可能性もありますのでその場合は別途好みの色味や刀の雰囲気に合わせて提案させて頂きます。
・刀箱 漆 170万円
こちらは今年12月1日に「OMOTENASHI Selection 2020」に選ばれました。
土台に箔と漆をあしらった豪華版です。
土台の漆の柄は10種類から選んで頂けます。アクリルに箔を貼り、その上から漆を塗っています。
部屋や刀により合う合わないがあるので、部屋や刀の写真などを送って頂ければそれに合いそうな柄を提案させて頂く事も可能です。
因みに上記写真の漆は①になります。
スポットライトの光を当てると見え方がかなり変わります。
拡大画像は以下です。
3.短刀箱シリーズ
「刀箱の短刀版」とお考え下さい。
刀箱に比べてサイズが小さくなっています。重量は刀無しで18㎏位。
壁掛けはテレビ用の壁掛け機材を使用して取付けます。
機能は以下をご覧ください。
刀箱と同様に、土台が壁紙か、漆かで2種類あります。
・短刀箱(壁紙仕様) 102万円
壁紙については刀箱同様です。以下は過去に製作したものです。
壁紙はメーカー取り扱い終了などしている可能性もありますのでその場合は別途好みの色味や刀の雰囲気に合わせて提案させて頂きます。
・短刀箱 漆 112万円
漆柄は10タイプから選べます。
柄の詳細は「2.刀箱」の項目をご覧ください。
以下画像は⑩の漆柄です。
4.卓上刀箱 16.9万円
卓上と言いながら、壁にも掛けられます。
石膏ボードでも専用のネジを使う事で固定が可能です。
壁に直接ネジを打ち込んで固定します。フロントのパネルを鍵で外さない限りこのネジにアクセスできないので、箱ごと盗難される心配がありません。
背景と土台の壁紙の色は青か黒か選べます。
外装は刀箱同様に鋼板を曲げて作り、その後に塗装、焼き付けを行っているので、頑丈かつ高級感があります。重量は刀無しで7㎏位。
こちらのケースは用途を限定する事で、極力機能を省きよりコンパクトにしたものになります。
例えば証書や白鞘を保管するような収納スペースを取り除いていますが、錆などから刀身を保護する為に調湿材は入っています。
また刀箱シリーズのように刀剣鑑賞に特化したライトは内臓されていませんが、地鉄は美しく鑑賞できるライトが内臓されています。
刃文も展示ケース外部からスポットライトなどで光を当てれば、綺麗に鑑賞する事が可能です。(美術館でもよくケース外部から光を当てていますが、それと考え方は同様です)
例えばこのスタンドライトを使うと以下のように見えます。
以下のように部屋にダクトレールを取り付けてスポットライトを天井に取り付ける方法もお勧めです。
5.卓上短刀ケース 10.8万円
こちらは卓上刀ケースの短刀版(サイズ縮小版)とお考え下さい。
機能は卓上刀ケースと同様です。重量は刀無しで4kg位。
大変光栄な事に、刀剣乱舞プロデューサー兼ニトロプラス代表の「でじたろう」さんにもお使い頂けています。
6.刀展示ケースmoku 90万円
よりモダンな部屋や、神社やお寺に合うように、桧をふんだんに使ってデザインしました。
刀は反りやのたれ刃と言った曲線が美しいと個人的に思っていますが、それに背面の桧の曲線を合わせています。
光を当てる事で陰影がはっきり出るようにし、刀をよりアートとして楽しめないかという視点で作ってみました。
また、桧には調湿効果や防虫効果があります。
例えば調湿効果で言えば、背面に入れている桧板は約850mlの水を吸湿出来ます。ケースも密閉性を上げているので、刀箪笥に入れている状態が再現出来ています。桧の匂いで部屋が包まれるので刀鑑賞時にとてもリラックス出来るという効果も。
美術館でも使用されるライトや、反射防止が施されており、明るい部屋でもまるでアクリルの存在を忘れ鑑賞する事が出来ます。
ライトはスマホやリモコンでの調光や、手動で配光角も変えれます。
(上の刀は綾小路)
扉はソフトクロージング機構を採用しているので、扉がゆっくり閉まります。(ガシャンと閉まり刀身に振動が伝わる事がありません)
7.終わりに
今回紹介した刀展示ケースは全て手作りで製作しています。
こんな感じです。
注文頂いてからお納めさせて頂くまで、刀箱や短刀箱だと3~4ヵ月、卓上シリーズだと1~2ヵ月、mokuだと2~3ヵ月程お時間を頂きます。
使う人の刀ライフがより良いものになる事を願って作っていますので、気長にお待ち頂けると嬉しいです。
注文は以下から受け付けております。
(サイト内は税込価格で表示されています)
カタログもあります。
欲しい方はDMなどで住所を教えて頂ければ送付させて頂きます。
私については以下をご覧ください。
今回も読んで下さりありがとうございました!
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それでは皆様良き御刀ライフを~!
↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)