マガジンのカバー画像

その他

974
運営しているクリエイター

2021年10月の記事一覧

サントリー美術館開館60周年記念「もののふの心」展を見て

サントリー美術館開館60周年記念「もののふの心」展を見て

サントリー美術館開館60周年記念として開かれたのが今回9/15~10/31で開催されている「もののふの心」展。
という事で昨日見に行ってきました。

平日でしたがもの凄い人でゆっくり鑑賞できる雰囲気ではありませんでしたが、日本刀というものを多角的な視点から見つめる事の出来る素晴らしい展示でした。
因みに展示品の写真撮影は全てNGです。

①刀を多角的に見つめる事の出来る展示構成今回刀剣の展示は名品

もっとみる
隠し鏨・隠し銘

隠し鏨・隠し銘

日本刀は偽物との戦いなのは買う側だけではなく、刀匠もまた偽物との戦いがある。
本人の作である事が分かるようにこっそりと目立たない場所に「隠し鏨」と呼ばれるサインを残す刀工がいるので紹介します。

①井上真改(新刀)井上真改の茎尻部分には以下のような隠し鏨があるものがあるそうです。
しかし正真物でも打っていない物もあるらしく、現在ではこれだけを見て真贋を判定する事は出来ないようです。

(画像出典:

もっとみる
値段や銘表記の無い刀の展示即売会

値段や銘表記の無い刀の展示即売会

値段や銘、重要刀剣といった表記の無い刀の展示即売会があったら行ってみたい。
別に自分に良い刀が見極められる自信があるとかそういう事では無くて、刀を見る時に例えば「重要刀剣 長光」と書いてあったら手に取って見る前から「この刀は凄そう」というバイアスが否が応でも掛かってしまう。

長光=名工なのは間違い無いが、状態や出来がそうでもない物も沢山あるだろう。
そんな状態の長光と、例えばその弟子の長元という

もっとみる
なぜ刀には「凹」形状の棟が無いのか考えてみる

なぜ刀には「凹」形状の棟が無いのか考えてみる

日本刀の棟に以下のように色々な形がある。
しかしなぜ棟には「凹」の形は無いのでしょうか?
樋に加えて更に軽量化も出来そうなものですが。
自分なりに考えて見ます。

(画像出典:「新日本刀の鑑定入門 著:広井雄一・飯田一雄」)

①なぜ棟をわざわざひと手間かけて作るのか棟を作る時は以前注文打ちの際に金田國真さんに頂いた写真を見ると、以下のように素延べでまず区(まち)を出してから、

以下のように火造

もっとみる
想像と違う大太刀の似合う一休さん

想像と違う大太刀の似合う一休さん

「すきすきすきすきすきっすき〜いっきゅう〜さん♪」
というオープニングでお馴染みの一休さん。
アニメの印象を強く持たれている方も多いのでは無いでしょうか。
しかし実は刀を所持している絵が残っているんです…!

(画像転載元:wiki 一休さんテレビアニメ)

それがこちら。

(画像出典:奈良国立博物館 収蔵品データベース)

いや、長い…。

…長すぎる。

室町時代の臨済宗の僧、一休宗純(一休

もっとみる
刀鑑賞時に意外にも悪口に捉えられてしまう一言

刀鑑賞時に意外にも悪口に捉えられてしまう一言

刀の鑑賞時など、初めて刀を見た人は感動して色々な言葉が出てくる事も多いと思います。
しかし私もそうでしたが、良かれと思って言った言葉が実はその刀を否定しているように取られるケースがありました。
これは今になって気がつくわけですが、言葉選びを気を付けないと意図しない所で相手の刀を否定してしまう事があるのでいくつか紹介します。

①この刀軽くて良いですね!昔私が確か2尺5寸程度の太刀を持たせて頂いた時

もっとみる
ネットオークションは刀剣界において、無くてはならない存在だと思う理由

ネットオークションは刀剣界において、無くてはならない存在だと思う理由

刀には残念ながら偽物などが沢山作られた歴史がある。
美術品以前に元は人を殺傷する為の武器でもあるので、長い歴史の中で使われた事のある刀剣も多い。
なので正真でも何度も研がれて薄くなった刀もあれば、錆や傷でボロボロな刀も沢山ある。

ネットオークションは素性を明かさずに出品出来るが故に偽銘や致命的な疵を持ったと疑われるような怪しい刀が多く並ぶ。
価格の釣り上げ(出品者やその仲間が価格を釣り上げる為に

もっとみる
大刀剣市2021 デシタルカタログを見て

大刀剣市2021 デシタルカタログを見て

大刀剣市2021はコロナの影響で中止となってしまいましたが、デジタルカタログが全刀商のHPで公開されました!
各お店の名品の数々がまとまったカタログなのでこれは必読です!

(画像出典:大刀剣市2021カタログ)

・個人的に気になったものというわけで個人的に気になった刀について自分自身の記録として書いていきます。(掲載順)

※注意
あくまで個人的な好みを書いているだけですので、ここに挙げたもの

もっとみる
新しいハバキと古いハバキの見分け方?

新しいハバキと古いハバキの見分け方?

刀身についたハバキ(鎺)を見て、「これは古いハバキだね~」とか「新しいハバキだね~」なんて言っている方を見て、なぜそんな事が分かるのだろう?と不思議に思っていました。
どうやらハバキにもトレンド?があるらしいです。

①呑込みのトレンドそれが「呑込み」といわれる凹になった部分。

以下のように青い線同士がくっつく所までハバキが上がります。

装着後はこのように刀身をハバキが包み込むような形になりま

もっとみる
「週刊日本刀 no119」で、スマホによる刀の写真方法についてご紹介頂きました!

「週刊日本刀 no119」で、スマホによる刀の写真方法についてご紹介頂きました!

ご報告が遅くなりましたが、2021/9/21発売の「週刊日本刀no119」にて当ブログの記事の内容が一部紹介されました!

スマホで日本刀を撮影する、というコラムになります。

出典(週刊日本刀・発行)

以前美術館などに展示されている刀の写真を綺麗に撮影、加工する方法について書きましたが、そのブログをご紹介下さっています。

「特に刃文をより美しく見せたい場合、加工方法を試してみるのがおすすめだ

もっとみる