アルツハイマー病と新薬のはなし
作成 2021/06/10
はお。
はじめに
ヘッダの写真はアロイス・アルツハイマー先生です。アルツハイマー病を詳細に研究し記載した精神科医で、当時新しい医療研究機器として導入された顕微鏡を使い、神経病理学の分野で新進気鋭の研究者として素晴らしい業績を上げました。
先日、米バイオジェンと日エーザイの共同開発による初のアルツハイマー病の治療薬が米FDAの承認を受けました。今までは進行を遅らせるなどしかできなかったため、今回の治療薬はとても素晴らしく、大きな一歩だと思います。
これらのことを取り上げている記事はたくさんありますが、専門性が高く、噛み砕いた説明をしている記事が少ないため、かき集めてできるだけわかりやすくまとめました(それでも専門用語を使わなければならないこと、ご了承ください)。
専門用語の解釈に専門用語を使わなければいけないのは、それだけ複雑な病気なのだと実感しました。
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アルツハイマー病とは
アルツハイマー病とは、脳のいたる所によくないタンパク質が付着し、細胞が繊維化、やがて消失してしまい、その結果、脳が萎縮してしまうため脳機能の低下を招き、最終的には何もできなくなってしまう不可逆的な病気です。(概略)
詳細はこちらをご覧になってください↓
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共同開発に関する記事
発表記事↓
記事にも書いてありますが、今までの治療薬は遅らせるだけで根本的な治療には繋がっっていませんでしたが、今回発表された新薬は、問題となっている アミロイドβ を排除できるというもので、治験はまだ不十分なところはあるようですが、 アミロイドβの減少が確認できている ということなので、今までとは違い治療が期待できます。
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新薬について
■名称
ADUHELM™(一般名:アデュカヌマブ)
■どういった作用をするのか
神経細胞に付着した アミロイドβタンパク質を取り除く ことができます。従来まではアミロイドβが付着した神経細胞を活性化させることで、進行を遅らせるものでしたので、アプローチの仕方が異なります。
使用中、頭痛・錯乱・めまい・視力の変化・吐き気などの症状が現れる人もいます。
■副作用
顔・唇・口・または舌の腫れとじんましん。脳の浮腫(ARIA)・頭痛と転倒があります。
■薬価・費用
アメリカでは、患者1人当たり年間5万6000ドル(約613万円)の治療費が想定されるだろうとのこと。しかし、高齢者や障害者などを対象に公的医療保険「メディケア」でカバーできると予測しているようです。
日本で正式に承認(申請中)・処方できるようになったら、薬価は高くなる可能性はありますが、アメリカと同様に保険適用内であれば、それでも高価ではありますが、手の届く範囲ではないかと思います。
■進行の詳細
⚫︎ アミロイドβタンパク質とは
作用に出てきた用語です。
40アミノ酸程度のペプチド(2つ以上のアミノ酸が結合し、鎖状になったもの)。
⚫︎ 何が起こっているのか
タンパク質の凝集構造↓
APP(アミロイド前駆体タンパク質)をセクレターゼ(分泌酵素)が切断しまくって分解されていくことで、脳が萎縮していってしまいます。
かなり強引な説明ですが、なんとなくわかっていただけたでしょうか。
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物語を通して知る
アルツハイマー病は理屈で知るには難しすぎる病気です。どのように進行していくのか、物語を通して知るのも状況と相まってわかりやすいと思います。
以下、アルツハイマー病を題材にしている小説です。
この小説は若年性アルツハイマー病を患っている高校生とその後輩の儚くも、未来への希望を持ち続け、夢を実現しようとする女の子のことが書かれています。
それがまさに目の前まで来てると思うと、とても胸が熱くなります。
📖 著者
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世界アルツハイマーデー
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おわりに
少しでも病気について知るきっかけになっていただければ幸いです。