梅と尺八と侠客✿
まだまだ寒い二月です。
が、いよいよ梅が咲き始めましたね。
場所によってはチラホラ。
でも、もう満開の梅もあったりで、今年は長く楽しませてくれそうです。
そんな梅と尺八の浮世絵を集めてみました。
こちらは三代目豊国、歌川国貞画の布袋市右衛門。
布袋市右衛門とは、江戸時代前期の大坂出身の実在の人物です。
延宝2年(1674)生まれ。
金品を強奪し、喧嘩で大坂市中をあらしまわった5人組、雁金(かりがね)五人男のひとり。元禄15年に他の4人とともに捕らえられ、8月26日処刑された。29歳。のちこの5人は浄瑠璃、歌舞伎に侠客(きょうかく)としてとりあげられ、雁金五人男の名で伝えられた。
侠客とは…、
こちらは、そのかぶき者、大鳥一兵衛のお話です↓
こちらは梅樹に冠雪に傘。
中村福助演じる布袋市右衛門。
最近、雪がよく降りますものね。
地域によっては梅に雪が見られるのではないでしょうか。
こちらは歌川(一勇斎)国芳画。
中村歌右衛門演じる布袋市右衛門。
雪に素足で下駄!
江戸時代は、冬でも素足が粋だったそうですよ。ホントかいな。
「極印千右エ門」と「布袋市右エ門」です。
こちらは五人男。
安の平兵衛 ・雁金文七・布袋市右衛門・極印千右衛門・雷庄九郎
江戸の中期にはこうした侠客物の講談や芝居がさかんに上演されたそうですよ。
立派な梅の木ですね。
帯は赤と黒の甲子で揃いです。
ところで、この頃1600年代の侠客はホントに尺八持ってたの?という疑問がありますが、まずはその尺八の形態について、その頃の絵画や史料を見てみると、1600年代後半にようやく竹の根っこの方が使われた尺八が出てきた頃で、まだ一節切、三節切も混在していたようです。
これらは江戸時代の後半に描かれた浮世絵ですので、当時主流であった根っこのついた、管尻が太めの尺八を描いているのでしょうね。もちろん衣裳も当時のものでしょう。
では、侠客って何のために尺八を腰に差して持ち歩いてんの?という疑問がありますが、多分カッコいいからでしょう笑。
尺八研究家の神田可遊氏に、ホントに吹いたのか聞いてみましたところ、多分吹いたのではないか、との事。
『慶長見聞集』に書かれたかぶき者の大鳥一兵衛も、昔吹いたと書かれています。
よく、武器にしたという話がありますが、そのような実話、侠客が武器にしたという話は残っていないので、確証は持てません。神田氏曰く、「車でひいた」とか「果物ナイフで刺した」とか、本来の目的では無いものがたまたま武器となってしまったというようなことなのでしょう。ま、確かに武器にするならかなりの威力を発揮しそうです…。
江戸幕府に厳しく取り締められた浪人、かぶき者、侠客は、あえて武器に見えないものを持ち歩いたのかもしれませんね。
最後にコムジョ❤️
虚無僧じゃないのでコムジョではないですが…。
尺八を持ってる女子をついついコムジョとよんでしまう。
彼女は、江戸時代に上方で生まれた、なにわの女侠客ともいわれている実在の人物。大坂屈指の商家「木津屋」の娘・お雪。1748年、道頓堀豊竹座で『容競出入湊~奴の小万~』と銘打ち初春興行を行ったところ、奴髻(やっこたぶさ)に尺八を持った奴の小万の大立ち回りが大当たりしたとのこと。
波瀾万丈の人生だったそうで興味深いです。
また機会あれば、奴の小万特集でも組みたいとひそかに思っています。
梅の花は、近くを通りかかると良い香りがしていいですね。
好きな花の一つです。
ただ、梅の花の季節がやってくるということは、花粉の季節のやってくるという悲しいお知らせ…。
ま、そこは忘れて、浮世絵を楽しみたいと思います☺️❀