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【クリエイティブ生活】ファンタジー背景世界の作り方〜換骨奪胎のやり方【その6】
前回の記事はこちらです。
マガジンにまとめてあります。
自らのファンタジー別世界を形作る、創造主たるcreatorの皆さん、この記事をお読みいただきありがとうございます。
今は古(いにしえ)の名作ファンタジー小説『ロードス島戦記』のアニメ版のBGMを聴きながらこの記事を書いています。
思えば私が世界の創造者になりたいと願ったのも、この素晴らしい別世界を背景に持つ小説がきっかけの一つでしたね。
当時はライトノベルレーベルから出ていましたが、今でも電子書籍でライトノベルレーベルから出されています。
『ロードス島戦記』は角川から出ていますが、その角川の一般文芸の文庫レーベルからは、有名なゲームからの派生作品である『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』シリーズが出ています。
『ロード・エルメロイ〜』はジャンル的には現代ファンタジーで、完全な別世界が舞台ではありませんが、魔術師というものが存在していて、魔術はいかにして働くのか、精密な設定がなされている作品です。
それは現代社会を舞台にしつつも、この世のモノならぬ別世界を垣間見させてくれるような、素晴らしい設定とその描写、活かし方なのです。
どうも私が聞くところによれば、現在の無料ウェブ小説界隈やライトノベルでは、背景世界や背景設定をきっちり作った上で、その中でキャラクターやストーリーを動かしていくスタイルは『過去の芸術』と成り果てたと考えられているようです。
ごく一部に残った、背景世界や背景設定を重視したスタイルのファンタジー小説は、それが古典的名作でなく新たに書かれた物ならば、今や一般文芸レーベルに、推理小説やらと共に並べられる運命のようです。しかも完全に別世界を舞台にした物は和風か中華が多いのです。
『ロードス島戦記』も今書かれたら、一般文芸レーベルに並べられると思います。ヨーロッパ風ファンタジーで一般文芸は難しいのかも知れませんが。
私としてはそれでも、今でも背景世界をきちんと自分なりに創って、その上でキャラクターやストーリーを動かすスタイルもそれなりの需要があるかと思い、そうしたスタイルのファンタジー小説をどう書けばよいか、一連の記事を書いてきました。
前置きが長くなりましたが、本題に入りたいと思います。
前回の記事で、「次は世界全体の地理や歴史を設定します」と書きました。しかしその前に、既存作品の換骨奪胎(かんこつだったい)のやり方を先にお伝えしようと思いました。
ゼロから生み出せればよいですが、大抵の小文字のcreatorにはそれはとても難しいことです。なので既存作品を改変して自作に使うのですが、最終的には原型が言われなければ分かりにくくなるくらいにまでするのが理想です。
ではどうするのでしょうか?
懐かしの『ロードス島戦記』(および『ロードス島伝説』)からアイデアを借用して、その換骨奪胎をやってみます。
呪われた島ロードスにはヴァリス聖王国なる国があります。ヴァリスは正義と秩序の神である至高神ファリスを信仰する者たちが大勢となっている国です。作中に登場するファリス信徒には大きく分けて二種類います。
真にファリスの教えに従う高潔なる神官や聖騎士と、融通が利かず教義にガチガチに縛られている、優しさや寛容さのかけらもない『腐敗した』ファリス神官や聖騎士です。
当然、主人公サイドにいるのは高潔な方です🌿
さて、これを改変してみましょう。
まずは神を女神にしてしまいましょう。性別という要素は見る者に与える印象を大きく左右します。性別を変えただけで、大きく変わったように見せられるのです。まずはこれが第一歩です。
次には、ファリス神官やその他の信徒の立場を変えてしまいましょう。
その信徒だけで一国を造れるくらいに、ロードス島戦記におけるファリス信徒の勢力は大きいです。ヴァリスの外側でも、ファリス神官となれば一定の信用や敬意を受けられることが多いのです。
ゆえにファリス神官の中には、他の神や女神に仕える者を見下す者もいます。(主人公サイドにいる、高潔な神官や聖騎士はそんなことは決してしませんが)
ここも改変して、正義の女神の信徒の側が逆に抑圧と無理解に苦しむ世界にしましょう。
『ロードス島戦記』(と『ロードス島伝説』)の世界では、高潔な神官や聖騎士は、仲間である同じファリス信徒の腐敗に心を痛め、何とか改革をしたいと望んでいます
それはそう簡単にはいきません。たとえ聖騎士団の中でも特に人望があり、強い上に見目麗しく、魔神を倒した英雄の一人だとしても、ヴァリスの国王になってさえも、です。
なぜなら、腐敗した信徒を粛清しまくるなんてことができようはずはなく、ファリスの願う真の正義にも背くからです。それは典型的な『暴走した正義』ってやつですね。
と、ロードス島の世界ではこうですが、ここも改変します。(とは言え、かなり影響は受けていますね)
私の小説内では、腐敗しているのは対立する慈愛神の信徒の方です。真の慈愛が何かを見失っています。しかし、その神に仕える者にもいろいろいます。全ての信徒が腐敗しているわけではありません。
正義の女神の信徒も、全てが心正しく生きているわけでもありません。
と、このように換骨奪胎をしてゆくのです。
要するに、敬意を払うべき既存作品の設定の中でも、「ここは外せない要素だな」と思う部分は大事にしつつも、それ以外ではむしろ正反対に変えてしまうのです。正反対にするのだから印象は大きく変わります。当然ですね?
こちらが、そうやって換骨奪胎して書いた『復讐の女神ネフィアル』です。
現在は有料販売していますが、一作目は無料で読めますので、もしよろしければどうぞ。
今回はここまでにします。
お読みくださってありがとうございました。あなたのクリエイティブ生活のヒントになれば幸いです。
続きはこちらです。
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