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創作における潜在意識の働きについて

 ウェブ小説投稿サイトに小説を投下している人たちの間では「小説は、こう書くと良い」とするいわゆる創作論が語られることが多い。

 そのあたりの考え方は人それぞれで、ともすれば論争の元になることもある。

 私個人がよく聞いたのは
「好きに書いてはいけない」
「ウェブ小説の主流派の読者の好みに合わせなくてはいけない」
「先に決めたプロットの通りに書かなくてはいけない」であった。

 それは人それぞれやり方が違うので、誰にでも当てはまる正解はない。

 ただ一つ気になったのは、どうもこの界隈では「創作における潜在意識の作用」を知らないか、知っていても無視している人が多いのではないか、である。

 最終的に創作物として出力されたならばその段階では、何が売りで、ストーリーラインはこうで、登場人物はこうである、などど明確に言語化できているほうが良いと私も思うのだが。

 問題はその前の状態である。

 先に対象読者を決め、プロットもきっちり作り、もちろんマーケティングもやって。

 そうやって何もかも明確にした上で書き始めたり、作り始めるものだと思っている人が多いように見えた。

 別にそれが駄目とは言わないが、そうではないやり方もある、とは言っておきたい。

 潜在意識にゆだねるのである。まあ、私が好きに書くのにこだわっていたのはこれが理由だ。

 これまでの人生経験やインプットしていた物、感じてきたこと、考えたことなど、それらは皆、潜在意識の中に残っている。普段は意識していない事でも残っているのである。

 そう、潜在意識にある物は普段は意識していない物も多い。ゆえに、潜在意識にゆだねてアイデア出しをしたり、小説を書いたり、動画やノベルゲームを作る時に、最初から明確にこうすると言語化はできない。

 できる部分もあるが。さすがに大まかな方向性くらいはないと、何も始められないので。

 でも細部は実際にやってみないと分からないし、ストーリー展開もやってみないと分からない。

 そんな感じに私は創作している。

 で、これが駄目だと言う人がいたわけですよ。

 はい、DFの登場である。

 自分なりのゴールに向かうのを邪魔する、サッカーにおけるディフェンダーのような存在を、今ではかわせるようになったのだが、4年ほど前にはそうではなかった。

 自己啓発書やビジネス書を読む人は、ドリームキラーなる言葉を聞いたことがあると思う。私が出くわしたのは、それとは少し違う。

 まあ少なくとも、本にあったような「小説なんか書いてもカネにならんぞ。止めてもっとまともな職を探せ」などとストレートに言うような、テンプレ的なドリームキラーにはついぞ会ったことがない。

 だいたいそんなのは昭和か平成初期の頑固オヤジのノリだ。今は令和である。ドリームキラーもアップデートされているのである。

 「小説書いて仕事にしようとするのはいいけど、俺の言う通りにしなければできないよ」である。

 ね? 割と巧妙でしょう?

 先に言っておくと、私は別に小説だけを仕事にするつもりはない。

 で、最初の約3ヶ月ほどは苦戦して、うかつにも、当時カクヨムに投下していた小説を全消ししてしまったのである。

 その後、そのうちの1作と1シリーズだけは再度書き直したが、ネットの虚空に消えた物も多い。

 多少うぬぼれていいなら、そこまで質は悪くなかったはずである。ただ、ウェブ小説の流行というか主流ではないというだけで、駄目出しをされまくっただけである。

 さてさて、話を元に戻そう。

 潜在意識にゆだねて書くのは、ある程度は精密な作業で、横からああしろこうしろと言われると上手く書けなくなるのだ。

 そしてゆずれる点と、どうしてもゆずれない点が出てくる。

 ゆずれない点は、何がどうしてもゆずれないのである。

 ところが、このゆずれない創作のコアは、創作した物だけではなく、単にアイデアとして、あるいはアドバイスや注文として言っただけでも出現するのである。

 私は、相手が言った事は、単にウェブ小説の主流に合わせるためのマーケティング論に過ぎないと思っていたのだが。

 どうやら、そうじゃなかったらしい。

 で、以前書いたこれである。


 まあ、あなたが本当に良い事を言っていたのだとしても、それを受け入れるかどうかは相手次第である。

 もしもアドバイスするのなら、どちらが正しかろうと、間違っていようと、拒絶される危険性だけは頭に置いておいたほうがいいと思う。

 仮に正しかったとしても受け入れられるとは限らないので。

 あとは、潜在意識にゆだねるやり方は、どうもできる人とできない人がいるらしい。

 できない人のほうが、自分のこだわりがないから、楽に相手の要望、あるいは市場の要求に合わせられる強みもあるのだが。

 どうも聞くところによれば、そうしたスキルは、今後はAIに取って代わられるか、格安で買われるスキルになってしまうらしい。

 私自身、ChatGPT無料版を使って、ざっくり小説の筋書きを書いてもらったが、なかなか良いのが3つはできた。

 ChatGPTには承認欲求がない。

 何度書き直させても文句を言わない。

 3.5バージョンなら無料で使える。

 ChatGPTの中には、膨大な情報量がある。もちろん、幻想文学だって知っている。

 それに私としては、人に分かるように指示するよりはChatGPTに分かるように指示するほうが楽である。
 
 どうも潜在意識から来るこだわりを貫くのを、単なるクリエイターのわがままだと思う人もいるようだが、実はこれこそが強みだったのですな。

 ただ、こだわりが今の市場に合わなかったらどうするのか?

 そう、潜在意識にゆだねるやり方は、そうしたリスクもある。

 個人的には、合うところに(どこかにはある)行くしかないと考えているが、人によっては、それ以外の部分を合わせると言う人もいる。ウェブ小説なら、こだわりの部分以外は主流に合わせると。

 それ以外の部分を合わせるメリットがあれば良いが、私にはあるようには思えない。だから市場自体を移動することにしたのである。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。また次回の記事もよろしくお願いします。

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片桐 秋
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