外国人にワクワク楽しく働いてもらう為に (6) 生理的欲求 ③「食」
このnoteでは、外国人労働者の受け入れを検討されている中小企業の皆様が、外国人労働者に働きがいを感じてもらいながら生き生き働いてもらえるような環境を作る為のお手伝いをさせて頂いています。
前回は、外国人労働者を受け入れる企業側での具体的な対策の全体像の内、生理的欲求のその②として残業・休日の適正管理について説明させて頂きました。
今回は、生理的欲求のその③として「食」についてご説明します。
食べ物は大事
言うまでもありませんが、元気に働くためにはおいしい食事は欠かせません。特に、まだ若い外国人労働者が初めて海外の土地に来た場合には、ふるさとの料理・特に実家の料理の味が懐かしくなって、それを食べられないことが一因となってホームシックや体調不良にもなりかねません。私も最初の駐在と2回目の駐在地(いずれも中東エリア)では脂っこい現地の食事になかなかなじめない中で、日本料理屋もなくて時々日本から出張で来られる日本人の方から頂くお土産の日本食材でどれだけ救われたか分かりません。
以前外地で伺ったところでは、海外での日本料理店はその都市に日本人が2000人位住んでいないと成り立たないとのことでした。それだけの人数がいない都市では、日本人会や商工会が中心になってお金を出してでも営業を維持してもらうようなケースもありました。それだけ日本料理店のある・なしが日本人の仕事に直結する大問題だと企業が認識していたということだと思います。
海外でのランチ事情
私が直近で駐在していたミャンマーでは、多くのミャンマー人の方々と一緒に働いてきましたが、彼らのランチをのぞいてみると、街角の屋台で滅茶滅茶安いけどおいしい緬料理をすするか、女子でもお米とおかずをつめた結構大きめの4段弁当箱を自宅から持参して事務所内で食べてました。いずれもお金はほとんどかかっていないので、日本に来て我々日本人と同様に外食して1000円近いランチを食べるのには相当抵抗があると思いますし、それを嫌って倹約するとランチを抜いて体を壊すようなことにもつながりかねません。
また、ご存知の通り宗教によっては、豚や牛が食べられなかったり、特別なお祈りをした調理方法によって調理されたものしか食べらないといった制約もあります。そうした場合には、日本では食べられるものが限定されてしまい、偏ったものしか食べられないといった深刻な問題にもつながりかねません。
外国人労働者に喜ばれる「食」対策
先日見たニュースでは、外国人労働者に喜ばれる福利厚生の2位に「まかない」が入っていました。それは勤務先が外食産業の場合だけなのかもしれませんが、それだけ喜ばれる理由は上記の本国でのランチ事情が影響している部分が大きいと思います。
それを考えると、特にお昼ごはんについては、職場で社員食堂があるようであれば、そこで彼らの宗教上も問題のないような食事をできれば無料で、そうでなくても外食するより安い値段で食べられるようにしてあげると本当に喜ばれると思います。本格的な調理をしなくても、今はハラールも含めて宗教上の制約にも配慮した食事のレトルトや冷凍食品がありますので、それを使うことでもかまいません。また、仕事が終わった後も、同様の対応があれば完璧ですし、そこまですれば少々の給与差で転職されることはなくなると思います(胃袋をつかむ作戦ですね)。
ただ、ここまで外国人労働者に配慮すると、日本人従業員の皆さんからクレームが出てしまうかもしれませんので、時々はその国の料理を紹介するような相互理解の為のイベントを社員食堂で行い、そうした料理を日本人従業員も同じ値段で食べられるようにしてあげると良いかもしれませんね。
また、皆さんの地域として外国から労働者を長期的安定的に受け入れようとする場合には、その地域にその国の料理の料理店を招へいする、或いは既存の料理店にお願いしてその国の料理もメニューに加えてもらったり、その国の食材をスーパーの一角にでも常設コーナーを設けていつでも買えるようにするような対応を地域の皆さんで考えてあげるべきだと思います。
群馬県大泉がその好例だと思います。「この町が好きだから給与が高くても東京には行かない」というブラジル人のインタビューが印象的でした。私も、もしこれからまた海外に働きに行くとして、同じ条件なら日本料理店さんのある都市を選びます。
外国人労働者受け入れに当たって、何か一つでも皆さんの参考になる点があれば望外の幸せです。もしご質問等あれば遠慮なくお問い合わせ下さい。
変更履歴
初版公開 2024年11月22日