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かすみを食べて生きる92:多分友人だった。
脳梗塞 発症2か月と29日目:リハビリ病院3か月目⑧
・食事:脳梗塞(ワレンベルグ症候群)の後遺症のため、嚥下ができなくなり訓練中。食事形態はミキサー食からみじん食を経て、先週3食常食(普通食)にたどり着いた。首を左に向けると飲める。
・状態:歩けるようになってきた。終日、館内フリー歩行自立。きょろきょろすると少しめまいがする。
私の退院目前に、明日向かいのベッドの門田さん(仮)が退院する。
めっちゃさみしい。
退院まであと3日。
『かすみを食べて生きる 序文と目次』
<発症2か月と28日目:リハビリ病院3か月目⑦
発症2か月と30日目:リハビリ病院3か月目⑨>
目次
あぶないあいつ:朝ごはん#35
![](https://assets.st-note.com/img/1718377429875-sjJaQGzrS9.jpg?width=1200)
病院食、結構攻めてると思う。
献立はこちら。
タコのマスタード風味サラダ
ジョア
食パン
ジャム&マーガリン
キウイとパイナップル
アイソカル100
朝から、危険を感じる。
タコのマスタード風味サラダ。
![](https://assets.st-note.com/img/1718377663274-3HHZOYyqLz.jpg)
こんなにも高齢者の多い場所で、朝からタコ。
嚥下障害のある者にとっても、危険度Sランク食材ではなかろうか。
しかも粒マスタードがのどにくっつくと厄介。
でもこれを食べることができれば、たこ焼きもなんとかなりそう。
食べてみると、噛んでも、噛んでもかみきれない。
発症前にどの程度まで噛んで飲みこんでいたか思い出せない。
多分私、神妙な顔で延々ともぐもぐしている人になっている思う。
ホルモンを食べた時と同じ気持ち。
いつまで噛めばいいんやろ。
意を決して飲みこむと、飲みこめないことはなかった。
これは大きさが重要。
このサイズより大きなものは喉にひっかかる恐れがある。
5㎜幅程度に切ってあれば飲みこむことはできそう。
飾り包丁の入ったイカの方が食べやすいかな。
所要時間は53分。
タコと向き合ったにしては頑張ったと思う。
お昼ごはん#48
![](https://assets.st-note.com/img/1718378385002-qcj4kYTQlX.jpg?width=1200)
見た目がとっても和食。
献立はこちら。
酌魚
ほうれん草の和え物
茶碗蒸し
軟飯
茶碗蒸し、ミキサー食でも何度か出てきた。
はじめてここで会ったときは緑色のミキサー食だった。
![](https://assets.st-note.com/img/1718378538238-NLauKTzeep.jpg?width=1200)
なるほど。今日のように三つ葉がしっかり入った茶碗蒸しをミキサーにかけると、緑色になるのかな。
二度目に出てきたときは卵色だった。
![](https://assets.st-note.com/img/1718378556184-MSUENbNbLX.jpg?width=1200)
その時はミキサー食なのに、層になっていて、卵色の下に他の色のミキサー食があって感動したものだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1718378837854-sLVRCsubv1.jpg?width=1200)
ミキサー食から食べてきた料理を、常食でもいただけるのは感慨深い。
ミキサー食は飲みこむ練習用だったので硬いものはなかったけど、常食になると具材のしめじや三つ葉に気をつけて食べなければならない。
今思えばミキサー食、楽だった。
それにしても酌魚って何だろう。
Googleに聞いても読み方も出てこない。
魚の名前なのか、調理の仕方の名前なのか。
これまで魚が出る時は献立に魚の名前と料理名両方をのせてくれていたのに、ここにきて酌魚。
食べてみると肉厚で食べ応えがあって、鯛よりも魚の味がしっかりしている。
白身魚なので、しっかり噛めば飲みこみはしやすい。
でもあまり食べ馴染みがない感じがする。
なんだろう、気になる。
あとで管理栄養士の竹中さん(仮)に聞こう。
ほうれん草の和え物は繊維がいっぱいシリーズ。
しっかり噛むしかない。
ミキサー食に思いを馳せたり、なぞのお魚に翻弄されたりしつつも所要時間は45分。
いい調子。
あれもこれも食べとこう:カロリーを求めて#9
病院にいるうちに、食事以外にもいろいろなものを食べる練習をしている。
病院にいるのもあと3日。
売店で買えるもので、今後食べそうなものは試しておきたい。
![](https://assets.st-note.com/img/1718381108055-0Sn7y0rfkv.jpg?width=1200)
言語聴覚士の下浦さん(仮)から難易度が高めと聞いているシュークリーム。
試しておきたい。
売店に小さいものがなかったので、大きなツインシュークリーム。
これは問題はシュー。
比較的しっとりしているのでクリームと一緒によく噛んで食べれば大丈夫。
パリパリシューとかクロワッサンとかは皮がのどに飛んで張りつくと盛大にむせそう。
乾き具合は要チェック。
それにしても大きい。
![](https://assets.st-note.com/img/1718381377722-ixMPjYGNjy.jpg?width=1200)
リハビリをはさんでもう一つ。
売店にあるもので、たまに食べるお菓子。
コアラのマーチ。
子どもとおやつに食べる時は、コアラを一つずつ互いに見せ合いながら食べる。
![](https://assets.st-note.com/img/1718381580813-IuPf9FBKdG.jpg?width=1200)
サクサクビスケットの中にチョコレート。
これはしっかり噛んで飲みこむもチョコレートのドロドロ感が少しのどに残る。
牛乳や紅茶など水分をしっかり合わせながら飲みこむ必要がありそう。
チョコレート、気をつけた方がよさそう。
シュークリームが1個で322kcal。
コアラのマーチがひと箱266kcal。
合わせて588kcal。
ここまで食べたら、食事に追加のアイソカル(栄養剤200kcal)はいらないのではなかろうか。
夕ごはん#28
![](https://assets.st-note.com/img/1718382239565-K1OTbjBsvM.jpg?width=1200)
おやつを食べ過ぎてしまっているけど、夕食にお残しの選択肢はない。
献立はこちら。
鶏のから揚げ、チンゲン菜ソテー添え
大根とひろうすの含め煮
サラダ
味噌汁
軟飯
気をつけるべきはチンゲン菜のソテーかな。
から揚げももも肉なので噛み応えがある。
ひろうすはもさもさするので一口量に気をつけていただく。
所要時間は1時間。
今日はどう考えても食べ過ぎた。
おなかがいっぱい。
門田さん(仮)への手紙
明日、向かいのベッドの門田さん(仮)が退院する。
入院のタイミングが近く、リハビリ期間もほぼ同じ。
門田さん(仮)、入院初日の明け方転倒をしたり、見守りが必要な時期に一人でトイレに行ったりするので、私が勝手に心配した時期もあった。
少しわがままに見える言動も話を聞けば筋が通っていて、自分をしっかり持っているかっこいい方だった。
おしゃべりをしたり、折り紙を教えてもらったりした。
年齢は私の母と同じくらいだけど、互いに病気やけがを抱えてどちらかがどちらかを頼る関係ではない私たちは、多分友人だった。
夕食後、紫色の夕焼けが描かれたポストカードにメッセージを書いて渡した。
門田さん(仮)はとても喜んでくれた。
退院は明日朝10時。
リハビリ時間が重なると見送りはできないかもしれない。
まだ明日だけど、もうさみしい。
ーー振り返って
お昼のなぞのお魚、酌魚。
この日は管理栄養士の竹中さん(仮)に会えず、結局聞けずじまいでした。
数年の時を変て、今またもやもやしています。
![](https://assets.st-note.com/img/1718383509277-4m4LFO2GPE.jpg)
Googleで検索をかけると「マゴチ」が出てきて、「こち」の由来が神主の持つ「しゃく(笏)」からという説もあるという記載はあるのですが、「酌魚」という記載は見当たりません。
気になります。
明日は門田さん(仮)とお別れです。
門田さん(仮)がいない病室なんて、さみしくて耐えられないと本気で思っていました。