読書「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」 渡辺一史
「ノーマライゼーション」という言葉がある。
障害者も、健常者と同様の生活が出来る様に支援するべき、
という考え方である。
今と比べると、障害者が在宅で自立して過ごすということは考えられなかった1990年代。
当時、人工呼吸器を着けて、
しかも、親の介助を受けず独居生活を送るということは当時の日本ではありえない!!
と言われるほどのチャレンジであった。
筋ジストロフィーという難病を患っていた鹿野靖明。
人工呼吸器を着けても、自宅で自立した生活を送りたい…と、
多くのボランティアの介助を頼りに在宅生活を送る。
ボランティアとの繋がりや支え合いの話ではあるが、
優しさとか思いやりとか…
そんなキラキラとしたものではない。
エゴとエゴのぶつかり合い。
障害者、いや、人間として支え合いながら生きていくとはどういうことなんだろう…
普通とはどういうことなんだろう…
文章では表せないような思いが込み上げてくる
ノンフィクション作品。
かすみそら
映画「こんな夜更けにバナナかよ」の作品の元となった、一人のフリーライターが約2年半、実際に介助ボランティアにも携わり、取材をして書かれたノンフィクション作品です。いろんな問題にぶち当たり、考えさせられた作品です。今までの読書感想の中で、どう書いたらよいか分からなくなった一冊でもありました。