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【詩】鬼の洗濯板

今日の海はおだやかだ
陽にさらされた 岩のおもてを
あおい波が叩いている
砂が磨く奇岩の襞で
鬼は なにを洗うのだろうか

磯は臭気に満ちている
目地にたまった満ち干の垢が
うわ澄みに 浮いて
あふれて ほとぼり立ちのぼる

見よ 無数の鬼の子たちが
喉のすき間から這い出してくる
柔らかな拳を振りかざし
声もあげずに 焙られていく

陽の炎熱に 抱きすくめられ
たまらず やすりは刃こぼれする
ほとりに滲む 膿が 蕩けて
潮の飛沫に 干されていく

©2024  Hiroshi Kasumi

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加澄ひろし|走る詩人
お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。