カッシー伯爵の絶チル感想〜4巻〜
賢木修二、登場!
今回は賢木の初登場巻で、薫と皆本と兵部の関係の土台が出来上がった巻でもある。
薫は女王になる気配を見せ、兵部少佐を京介と呼ぶようになり仲間意識を見せた。皆本は未来に向き合う覚悟をすると同時に、女王を女性として見てしまった。
……そして、兵部少佐は皆本を敵として認識した。
『ハート・ブレイカー』
後で任務だったと分かるけど、合コンに行く皆本を出すことで彼も普通の20歳な面もあることが分かる。
それでも彼はチルドレンの保護者であろうとしているのがカッコいい。
3巻感想でも書いたけど、その利他の精神が過去の自分を救うことになってるのも素敵。
この回では人形を操る九具津が敵なのもメタファー的。人形の中に隠れていた薫が飛び出して「こんな人形に、『ザ・チルドレン』が負けるはずないんだよ!!」
少女たちは意思のない人形ではなく、意思を持った人間。みんな同じ顔の人形と、みんな違うけど助け合えるエスパーたちという対比。
この回では仲間について掘り下げられている。
皆本がチルドレンを保護対象としてだけではなく仲間として見るきっかけになった回。賢木の応急処置でチルドレン以外のエスパーたちの団結が描かれた。
薫たちが撃たれた賢木に気付くシーンも見所で、元々の能力とは違う女王としての本能が初めて描写された。
『サイコ・ダイバーズ』
黒巻の能力で皆本が予知の未来を夢でシュミレートさせられる話。
皆本はついに予知を主観として見てしまった。
料理を手伝う今と未来の薫の対比で関係の変化を見せてくれる演出が素敵。
あと、薫に甘い兵部少佐が素敵。取るに足らないノーマルと思っていた皆本に対抗意識を持ったのも良い。
皆本を助けに夢の中にダイブした薫が、皆本が抜け出せなかった夢から彼を連れて脱出できたのは、効きが弱かったのもあるけど、"子供だから"だと思う。
子供が持ってる爆発力というか……皆本もそれに心が救われたし、「この子たちとなら未来を変えれるかもしれない」って思えたんじゃないかな?
「だって 今のあたし———10歳の時より10倍も、皆本のこと好きなんだもん‼︎」
「皆本にはあたしは小さい薫のままでしかないの…!?」
「大丈夫。現実の世界でも僕は君が大人になるまでそばにいる。必ずだ。」
「だからその答えは…本物の君に会えた時に言うよ。」
「約束だよ…‼︎」
最高…!
賢木修二という男
4巻時点では中学生編以降の大人の男感よりチャラ男っぽさが強い印象。また、精神感応(超度6)と生体操作を持ち医師でもある賢木は天才中の天才。
メタ的には、大人組にも軽いノリのキャラが加わってテンポが良くなり、ESP医術のおかげで他キャラが無理できるようになった。
その他感想
①ESP研究の技術
ECMに続いて透視プロテクターが登場したことで、ノーマル側の技術も発展していて、エスパーがなんでも出来る世界でないことがわかる。
だからこそ、絶チルは「既にエスパーが当たり前の世界」を描いたSFとしても面白い。
その上でSF設定ではなく子供の成長をメインに置いてるのも好き!
②合成能力
3巻感想で書き忘れたけど、合成能力は面白い設定だと思う。斬新な能力への「そんなのアリ?」というツッコミに「これとこれの組み合わせだよ」と理屈で説明出来る。
キーワードになる概念以外の形では発現出来ないというのも幅が広がり過ぎなくて良い。