短歌 7月【正義】【自由詠】

第186回「短歌ください」に送った短歌10首です。


【正義】

ヒーローは遅れるために日頃からあえて各駅停車を使う

坂道で立ち漕ぎしてる野球部を電動チャリで抜き去るおばさん

しりとりで「正義」に対し「牛スジ」と返され俺は「慈愛」と返す

コンビニのラーメン棚に「この夏はシーフードだ」と書かれたポップ

物件を選ぶ際には駅近や日当たりなんかよりも静けさ


【自由詠】

尻文字で「引退」と書き翌日の一面飾る尻の残像

手に帽子 向かいの風を追い風に変換させて逃げようとする

公園の小さいリスの銅像に手を置き夏の厳しさを知る

電車とは為す術もなく高速で横移動する羞恥を孕む

満足と言えないような瞬間を引き伸ばされて看板になる


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