歌舞伎町のストリップショーに行ってきた。
〇初めに
女性が音楽に合わせて服を脱ぐ、なんかハチャメチャ面白いエッチバージョンの見世物小屋。昭和時代には最先端だったその芸能も、今の時代では時代錯誤な風俗扱い。今は奇特な一部の昭和かぶれのサブカルオタクと競馬場で新聞片手に朽ち果ててそうな老人しか足を運ばないという謎の舞台。これがぼくのストリップショーというものに対して持ち合わせていた浅い知識。
〇経緯
東京深夜少女の作中でりあちゃんとはるピが竹虎らしいラーメン屋で話しているシーンに影響され、友人を引き連れて食べてきた。その帰り道。
歌舞伎町に行ったことのある人間なら誰しもが一度は目にしているであろう昭和の香り漂うストリップショーに行ってきた。
普段1人ならば絶対に無視するであろうぼくだが、程よい酩酊感と男集団特有のノリ、表にデカデカと掲げられた総額1500円の文字に後押しされ入店。正直中学生くらいから見かけていたお店なので地下への狭い階段を下っているときはwkwkが止まらなかった。
〇入店から待機まで
人1人ほどしか通れない狭い階段を抜けると、畳1畳ほどの通路と受付が広がっていた。赤いカーペットの敷かれた薄汚れた床と、どこからともなく香ってくる煙草の香り。あからさまにアングラな雰囲気にテンションが上がる。
入る前はどんな人間が受付をしているんだろうかと期待と不安半々だったのだが、実際そこにいたのは温厚そうな壮年の男性。人数と初めて来たことを伝えると、丁寧に概要と注意事項を説明してくれた。
このお店は盗撮犯が多いらしく、防止のためにスマホを預けなければいけないようで、盗撮犯は見つけ次第50万円の罰金を科すという張り紙がそこかしこに張りだされていた。圧を感じて若干怖い。
スマホを預け、案内されるままに暖簾を押しのけ待合室に入る。待合室とは言ってもそこは四人座れば満員になってしまうほどの狭さの縦長の部屋で、安い賃貸のキッチンくらいの広さだ。漂う煙草の香りにヤニで黄ばんだ壁紙、コンビニで売っているような廉価版コミックスが無造作に置かれた汚い本棚、その上に置かれた20インチほどのテレビには謎のコンセプトのAVが無音で流れている。そんな異様な雰囲気の部屋でひときわ目を引くのは、壁中に張られた歴代の盗撮犯の個人情報。顔写真に運転免許証や保険証。それに加えてルーズリーフに盗撮犯本人が手書きしたであろう反省文が丁寧に保護フィルムに入れられている。口をとがらせてそっぽを向いている犯人の写真と、大人になっても反省文から逃れられない大人が存在するという事実は正直面白い。日焼けして半ば読めなくなったものも多くあったが、その中でもまだましなものに目を凝らしてみると、平成17年という文字が読み取れる。ぼくが3歳のころに犯された罪、まだ許されてないんだ……。
〇ショーの始まり
待つこと15分ほど。ショーの準備が整ったらしく、待合室を出るように指示されたので、狭い通路を歩き、受付の前で待っていた。すると下着の上に黒いスケスケのキャミソールを来た女の人がやってきて1人1人を客席に誘導し始めた。突然のエッチなお姉さんの登場にてんぱってしまったぼくはあんまり顔を合わせることができなかったのだが、結構綺麗な人だったと思う、たぶん。
パーテーションとカーテンで区切られた簡易的な個室に1人1人通された。中は典型的な更衣用ロッカーほどの広さに小さな丸椅子、前方にはパソコン画面ほどの小さなマジックミラーが広がっており、ミラー椅子との間の小さなテーブルにちょこんと置かれたティッシュ箱と足元に置かれた銀のゴミ箱、ミラーの上に書かれた生パンツ2000円の文字が生々しさを醸し出している。ミラーを覗くと、中には半円状に空間が広がっており、周りを見渡せばほかの客が覗いているであろうほかのミラーが並んでいるところが見える。正直何枚も並んでいるマジックミラーを見てたらウマ娘のガチャ画面で出てくるゲートしか頭に浮かんでこなくて困った。
しばらく待っていると開幕のブザーと伊勢丹とかで流れてるような本格的なアナウンスが開幕を知らせてきた。なんでここだけやけにそれっぽいんだろう。
いよいよショーが始まると、いきなり内部の空間はピンクの薄暗いエッチな雰囲気に変化。そしていよいよ右手の扉からお姉さんが登場。さっき誘導してくれたお姉さんとは違う人だ。よくわからない洋楽に合わせて腰を振ったり胸を揺らしたりと、とにかくめちゃくちゃに動いてた。
それから一分ほどわくわくしながらミラーを眺めていると、突如自分の個室の後ろのカーテンが開いた。驚いて振り返るとさっき誘導してくれたお姉さんが立っている。
「サービス、手2200円、口4400円。どうですか?」
少しぶっきらぼうな口調でエッチなサービスを販売しに来たお姉さん。そういうこともやっている店だと知らなかったことと、そういう店に行った経験がなかったことでてんぱってしまい、とっさに
「だ、だっだだだだ大丈夫です」
と断ってしまった。するとお姉さんはさっと立ち去り、となりの個室に移動していった。横には友人たちがいたので、彼らも断るんだろうなと思っていたのだが、なにやら財布を開く音が……。ぼくは何も聞かなかったことにしてそのまま無心で眺めることにした。
〇ショーを見ながら考えていたこと
落ち着きを取り戻してからは頬杖をついてミラーを眺めていたのだが、これが単調なうえいろいろと気になることが多くてあまり集中できなかった。
以下ショー中にモニャって考えてたことまとめ。
正直、ほかにもいろいろ思うことはあるのだが、こんなに感想が出てくるだけまだ有意義な時間の過ごし方だったのではないだろうか?
20分ほどたってようやく終了。閉幕は割とあっさりしており、物足りない終わり方であった。開幕と同じく上品なアナウンスによって退場を促され、そのまま受付で預けていたスマホを受け取りに。いつまでも友人達が戻ってこないことに困惑していると、受付のおじさんが
「たぶん抜いてると思うから外で待っときな」
と促してきた。
おじさんの言葉に従って、店の前で待機してしばらく。一緒に店に入った友人たちが続々と店から出てきた。どうやらぼく以外全員女の人にお金を払ったらしい。
うち一人は童貞だったらしく、なんかよくわからないくらいに病んでいたのでドンキで買った酒を与えて放置しておいた。
酒を飲みながら余韻に浸っているとき、ひょっこりと会話に混ざってきたキャッチに教えてもらったのだが、我々が利用したお店はその狭さから「鳥かご」と呼ばれており、そこで”サービス”を受けた者は確実に運気が下がるとの噂だった。
〇まとめ
というわけで今回の体験でストリップショーに対する印象は当初思い描いていたものとはまた違った形になったのだが、結果として話のタネにはなったので一度行ってみることをおすすめする。