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水泡/気の抜けるあまりに短い話/ゆめゆめわすれることなかれ
水泡 僕が彼女に出会ったのは、夏祭りの夜のことだった。僕は屋台の灯りの熱に焼かれながら、ぼんやりと空を眺めていた。あまりの蒸し暑さに、全身真っ赤になっているのではと思ったほどだ。突然、息が詰まるのを感じたと同時に、浮遊感に襲われる。遠くでわあわあと僕の仲間が騒いでいるのが聞こえた。それらは一瞬で収まったが、急激に変わっていく視界に何が起きているか理解する間もなく、広々とした部屋に連れてこられた。こ
もっとみる花とボールペン/焦げ跡
花とボールペン道を挟んだ真向かいに小さな一軒家がある。
古民家と言えば聞こえはいいが、ただの古びた小さい家屋だ。庭がある点は魅力的ではあるけど。
その家に、少し前から人が住んでいる。それに気づいたのは2ヶ月ほど前のことだった。通勤時にその家の前を通ると、小さい郵便受けから新聞が盛大に道側にはみ出していた。
帰り際にもう一度郵便受けを見ると、新聞はなくなっていた。
先週の休日にその家の住民と出会っ