水泡/気の抜けるあまりに短い話/ゆめゆめわすれることなかれ
水泡 僕が彼女に出会ったのは、夏祭りの夜のことだった。僕は屋台の灯りの熱に焼かれながら、ぼんやりと空を眺めていた。あまりの蒸し暑さに、全身真っ赤になっているのではと思ったほどだ。突然、息が詰まるのを感じたと同時に、浮遊感に襲われる。遠くでわあわあと僕の仲間が騒いでいるのが聞こえた。それらは一瞬で収まったが、急激に変わっていく視界に何が起きているか理解する間もなく、広々とした部屋に連れてこられた。ここで、ようやく彼女を認識した。僕は彼女の姿をすべて目にした瞬間、ぴしゃりと雷にう