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  • 短編集「砂糖の楼閣」

    オリジナルの短編小説をまとめています。 無料で公開していたものがある日突然有料の中に仕舞い込まれることもあるのでご了承ください。

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水泡/気の抜けるあまりに短い話/ゆめゆめわすれることなかれ

水泡 僕が彼女に出会ったのは、夏祭りの夜のことだった。僕は屋台の灯りの熱に焼かれながら、ぼんやりと空を眺めていた。あまりの蒸し暑さに、全身真っ赤になっているのではと思ったほどだ。突然、息が詰まるのを感じたと同時に、浮遊感に襲われる。遠くでわあわあと僕の仲間が騒いでいるのが聞こえた。それらは一瞬で収まったが、急激に変わっていく視界に何が起きているか理解する間もなく、広々とした部屋に連れてこられた。ここで、ようやく彼女を認識した。僕は彼女の姿をすべて目にした瞬間、ぴしゃりと雷にう

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    • 星の王子さまは太陽系外生まれ

      小学生の頃、星の王子さまを取り扱った国語の授業がありました。 内容はあまり覚えていませんが、星の王子さまを読んで考えたことを連絡帳の日記欄に書きました。 当時は日記が本当に苦手で、書くことがないときには捏造したりもしていました。 2、3回ほど。 星の王子さまって、7番目に地球に訪れるんです。 太陽系が水金地火木土天海冥で、冥王星から数えると7番目が地球なんですね。 だから「きっと星の王子さまは太陽系の外から来たんだ!」と考えて、それを連絡帳に書いたんです。 星の王子さまは

      • 尊死亡診断書 リニューアル版配布

        以前、「推しが尊いオタクのための尊死亡診断書」という記事を書きました。 しかしあまりにも使いづらかった。 使いづらすぎて自分でも使っていなかった。 というわけで、リニューアルしました。 「尊死亡診断書」改め、「尊死ート」です。 サイズはB5です。 以前の反省点を書いてあるので、興味が無い方は目次から 「PDFで入手」 「pngで入手」 「ネットプリントで入手」 の項目へ飛んでください。 なぜ使いづらかったのか?まず、参考が間違っていた。 元々「尊死」というワードを見かけ

        • 推しが尊いオタクの尊死亡診断書

          Twitterなどで、尊さのあまり死んでいる人を見かけたことがあるのではないだろうか。 そう、オタクは推しが尊いと死ぬのである。 というわけで死亡診断書を作ってみることにした。 オタク尊死亡診断書のメリット・溢れてやまない尊みをぶつけられる ・同じものにハマっている同志を見つけられる ・見返したときにいつ何にハマっていたかわかる ・さりげなく布教もできる プロトタイプまず参考にしたのは実際の死亡診断書。WikiにPDFのリンクがあるので誰でも閲覧できる。 死亡診断書 -

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        • 短編集「砂糖の楼閣」
          5本

        記事

          タバコ風パッケージデザイン

          今回、タバコ風のパッケージデザインを作りました。 広告風の画像はTwitterにもInstagramにも載せているのですが、細かいところを写していなかったので詳しく解説していきたいと思います。 ジョークシガレット「E.D.M」ターゲット:音楽とお酒好きの愛煙家   テーマ:クラブ   制作物:タバコ本体、箱 元になったタバコはラッキーストライクです。箱の中央に丸があるデザインがしたいな、と思ったのが制作のきっかけです。 個人的なクラブのイメージは、暗闇に音楽と派手なライ

          タバコ風パッケージデザイン

          日溜まり

           私の家の屋根は青かった。  夜中の静かな海よりも深く、嵐の次の日の空よりも鮮やかで、山奥の誰も知らない小さな池よりも澄んでいた。私は何かしら青を見るたび、家の青のほうが綺麗だ、と思うのだ。  あの青は、今はない。  雨風の轟音で自分の声さえも聞こえないほどの夜、私は家にいなかった。今思えば、それで良かったのかも知れない。あの綺麗な青色がくすんだ灰色に混じって吹き飛ばされてゆくのを、見ずに済んだのだから。  決まって毎日することなど、せいぜい食べることと寝ることくらいで、あ

          日溜まり

          花とボールペン/焦げ跡

          花とボールペン道を挟んだ真向かいに小さな一軒家がある。 古民家と言えば聞こえはいいが、ただの古びた小さい家屋だ。庭がある点は魅力的ではあるけど。 その家に、少し前から人が住んでいる。それに気づいたのは2ヶ月ほど前のことだった。通勤時にその家の前を通ると、小さい郵便受けから新聞が盛大に道側にはみ出していた。 帰り際にもう一度郵便受けを見ると、新聞はなくなっていた。 先週の休日にその家の住民と出会った。 この2ヶ月、一度も顔を見ることがなかったのだ。多分生活リズムが全く違うのだ

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          街灯

          カーテンの隙間から街灯を眺めていた。 輪郭さえもわからなくなるくらいの暗闇の中、青白い光だけが目を奪う。小さい子のバースデーケーキみたいに光が等間隔に立ち並ぶ。 か細い声で「何見てるの?」と彼女が聞いてきた。 「外を」 見ている。 言葉尻は掠れて声にならなかった。 彼女もやっぱり聞き取れなかったようで、頬が触れそうなほどに寄り添ってきた。 後ろに伸びる影は、一つの塊になっているだろう。 「誰もいないね」 横を見ずとも、彼女が笑ったのがわかった。 「世界に私たちしかいないみ

          夜並べて

           隣の男に、恋をしている。  私はしがないフリーターで、いくつかのアルバイトを掛け持ちしながら生活している。そのうちの一つが、コンビニエンスストアの深夜アルバイトだ。  深夜ということでお客も少ない。必然的に、同僚との会話が増える。 「今日なんか客多くないっすか」  私より低い声が、高い位置から降ってくる。  そうですね、と当たり障りのない返事を返す。この人と話すと、会話が下手になる。いつだって後悔するのだ、あと一言だけでも言葉が出たなら。 「よくこんな時間まで起きてられ

          夜並べて