「いつか風が運ぶまで」
失恋をすると香水を買うようにしています
なんとなく、なんとなく。5年前から決めていること
浪人している時から香水が欲しくて
大学生になったら香水を買おうと決めていました
花言葉、カクテル言葉などなど、そういった恣意的に決められた言葉が大好きなもので、香水もその一つ
正直いいにおいだな〜としか言葉は出てこないけれど、その裏には多くの願いがあり、きっとその何倍もの呪いがある
そしてもう一つ。私が香水を好きな理由
元々は儀式のようで好きでした、鎧を纏うように、ここぞというときに纏ってドアノブを回す。そうやって迎える世界にはちょっとだけ強気でいられる気がする、ような
失恋がオリンピックよりはだいぶ身近な行事になってから、香水は変身ベルトのようになりました。ゾッとするほど脆い自分を隠すための、強く見せかける一つの手段
いつだって
大好きな人と過ごした日々は宝物で。大好きな人。大好きな人に愛された自分。ただ夜帰る場所があった、目を瞑るのが何も辛くなかった。吐く言葉の全てに相手がいた、なんと幸福か
だから失ったなら、どんな形であろうと、変わらないといけない。もちろん前に、私が前を向けている保証はないのだけれど
一番怖いのは、止まってしまうこと。この先。少なくとも大学生活であと一度でも止まってしまえば、もう走れないだろうなと思うから
だから新しい匂いを纏うことにしています
走って、感情が全部消えるまで筋トレで自分を追い込んで、潰れそうになってイヤホンだけつけて歩いて、当てもなく車を走らせて。パソコンに向かって、一文字も書けなくて。でも、新しい自分になりたい。それがどんな自分かなんて、何もわからないけれど。スーパーに行くだけでも香水をつけてドアノブを回す。そんな馬鹿げてるけど
酒を飲むだけの私よりはかっこいいはず。だから
先は見えない。でも、明日には筋肉痛が治ってまた鍛えられる。来週は新しい居酒屋に行く。漬け込んでいるウイスキーはもうそろそろ飲み頃か。クリスマスはアルバイトに入れたら、終わったあとセブンでおでん買いたいな。M-1も近づいてきた。格好良くなりたい、今よりずっともっと。今日を超えて、そして。「あなた」に会いたい