書くことは生きること その6
私には何の才能もない。ただこれまで何かを書くことでピンチをすり抜け、生きてきた。誰にでもできる書くという作業が私にとっては生きることなのだ。『書くことは生きること』の実体験を連載する。
増刷を重ねるヒットに
せっかく出版した一冊目だが、私の離婚により名字が変わったために、初版完売の直後にリニューアル発売することになった。
より具体的な仕事の内容と、確定申告の方法なども取り入れた。装丁もより豪華になり、書店に平積みにして販売された。
それがこの本。
🔶『パソコン在宅ワーク術リニューアル版』双葉社(1999/05/25発売)
初日から反響があった。誰もが知る有名書店『紀伊国屋書店』より電話をいただいたのだ。専門のコーナーを作りたいとのこと。喜んで承諾した。
この本は重版を繰り返し、毎月のように印税をいただいた。日本というのは不思議な国で、出版しただけでサインを求められ、『先生』と呼ばれる。
高卒の私でも大学に出向いて講師になる。全国各地の講演会にも呼ばれるようになった。
パート2、3もヒットする
出版社からのすすめでパート2を書くことになった。全国各地から毎日のように電話やメールで相談が来ていた。その問答集をまとめた本である。
その本がこちら。
🔶『パソコン在宅ワーク術2』双葉社(1998/7/1)
この本も初版はすぐに完売。すぐに増刷となった。講演会もさらに増えていった。
最初は原稿を棒読みしていた私も、すっかり慣れてしまい、何も見ずに1時間半、おもしろおかしく話せるようになっていった。
本が売れ、出版社がとても喜ぶ状況になったらしく、神楽坂の料亭にしばしば連れて行ってもらった。いわゆる接待をしてくださったのだ。不景気な今、そんな待遇をしてくれる出版社はないだろう。
調子に乗って出した3冊目がこちら。
🔶『パソコン在宅ワーク術3』双葉社(2000/10/1)
在宅ワークで稼ぐには自分で営業するしかない。簡単な方法から、私のように大企業に営業するという大胆なものまで列挙した『営業活動編』だ。
これも重版を重ねた。
出版の仕組み
これから出版を希望される方に私の経験を書いてみる。
一冊の書籍を出版するには約一千万円のコストがかかる。
それを超えると判断された企画のみが出版というゴールを迎える。今は減少しているというが私の場合は初版八千部。一冊1400円だから全部売り切れば利益が出る。
重版が決まると二千部~三千部の増刷がかかる。初版のおよそ100万にプラスして、重版が繰り返されると50万円くらいが、その都度入金されるという仕組みだ。
人気の小説家先生、漫画家先生ともなると初版の数から増刷の回数もものすごい数となる。
ビジネス本の類では、大ヒットと言われる冊数を販売することができた。感謝してもしきれないのは、時代の流れを読み取り、理解してくれた双葉社の編集者である。
会社を経営しながら、夜は本を書くというハードワークはまだまだ続く。
その7へつづく