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親知らずを抜いた

 親知らずを抜いてから、すこぶる体調が悪い。症状を挙げるとしたら歯ぐきから顎にかけての痛みと頭痛くらいのものであるが、それによって体全体がだるい。 術後1週間とそれなりにたって、だいぶものも噛んで食べられるようにはなったが、いかんせん何となくの痛みが続くもので、快調には程遠い。

 意外と私は痛みに弱い性質なのかもしれないと一人で納得する。いや、痛みに弱いというよりもイレギュラーな体の変化に敏感な性格といったほうが正しいか。うん、そんな感じ。

 私の右の親知らずさんは、歯茎の中にしっかりと埋まっていたので、急にメスで開かれ、ドリルで4等分されて、医者に引っこ抜かれたときは相当なストレスだったろう。私は麻酔をかけられていたので、他人事のようにキンキン響くドリルやその他機材のカチャカチャ鳴る音を聴いていた。唇から頬、頬から脳に響く振動でこれは自分に起こっている出来事なのだとうっすらと認識する。私の構成要素の一つだった右の親知らずはそのようにしてあっさりと私の身体から離れた。

そこからがひどい。蠍座の女並みに恨みをもって私の右半身をずっと痛めつけている。急に抜いたことは謝るが、もう少し勘弁してくれてもよかろうに。ずきずきと痛みは止まらず、しばらくは痛み止めがないと生活ができなかったほどだ。

 冷たい風が吹けば、連動して右のこめかみと歯茎がまた疼く。あいつを冬の直前に抜くんじゃなかった。夏のほうがまだ緊張性の痛みもなかったはずだ。

 人は単純なもので、痛みという一つの不均衡があると、それ以外何も考えられなくなって、ついには義務すらも放棄してしまう。昔の刑罰で爪を一枚一枚剥がす拷問があったらしいが、まさに人間の弱さの心理を突いた画期的な方法だ。

私は歯の痛みで食事を放棄した。おかげでますます痩せぎすになったので、必死に最近はタンパク質と大好きなドーナツと、蜂蜜たっぷりのミルクココアを飲んでいる。
いやはや、不摂生も楽じゃないな。明日はナッツ入りのチョコレートケーキを食べないと。

P.S. 貧血の診断を受けて、毎日鉄分接種してます。皆さんも気を付けてね

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