今年が終わるにあたって
2021年も今日で終わりを迎えます。まずは一年お疲れさまでした。もういち早く来年の抱負や計画を既にまとめている人も、いったんその手をとめて21年を振り返ってみませんか。
今年は様々な年代の人が変化を迎えた年の気がします。仕事や学校で大学が変わった人はもちろんですが、それ以上にやはり例のウイルスが少しずつ、本当に少しずつ、私たちの日常に溶け込み、私たちが受容していったのが大きかったと思います。
春になって恐る恐るマスクをかけて出ていった人々は、秋には二回のワクチン接種を済ませ、クリスマスを楽しみました。
冬から旅行を楽しんだ人々はテレビのスイッチを消して夏の東京にも関心を示さずに、対岸から白けた視線を送っていました。
緊急事態宣言が本来の意味をなくしてからも、民主主義を信頼し、忠実にシステムを守った人々のもとにはつかの間の休息がもたらされた一年でした。
人々がそれぞれの主義を明確に持ち、小さな思想のコミュニティが複数生まれ、日本人という集団の中に色がもたらされました。人々はこのような変化に戸惑ったことでしょう。
私達だれもが、段々孤独になってゆきます。国境が閉ざされ、店のドアは締まり、玄関には閂がさしこまれました。連日同じ報道をするラジオやテレビに嫌気がさした人間は、外部との連携を完全に断ち切ったり、ネットワークの海におぼれていきました。この渦中においての孤独の中ではそれぞれの選択がまさに自分自身によってなされたのです。これは驚くべきことです。その選択がいいものであれ、悪いものであれ、自意識が生まれました。
同時に私たちは人とのつながりの尊さも学びました。仕事を失った人は、様々なつてを頼りながら就職し、取引先をアンオフィシャルに見つけていきました。
新しい友人ではなく、古くからの友人に会うことが増えました。他者への警戒心が増える代わりに近しい人間への愛が深まりました。
愛と信頼は民主主義においての前提ですが、私たちはこのことを無意識ながらも理解していました。少なくとも2021年は、前の年よりも人の温かさが身近に感じられたのではないでしょうか。それは人が自立した一人の人間として行動をした結果であり、あなたが成長した証拠でもあります。
私に関して言えば、間違いなく今年は孤独と成長の年でした。新しいキャリアの挑戦、凝り固まった思考の昇華、人との出会い、別れ…。
すべての出会いと発見が愛おしく、魅力的で、苦しく、のどを掻き切りたいほどの絶望も味わいました。21年は、情熱の年でした。
22年はますます孤独になるでしょう。孤独と向き合いながら、自立して、愛を受け取り渡せる人間に成長していくのが来たる22年をなんとか生き抜ける鍵な気がします。
22年の抱負はまた今度、22年が来てからすることにしましょう。焦らずに、あと数時間の21年を楽しむことが私にできる最高の年の越し方です。