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#143 【英語史クイズ】昔の英語で、Januaryは何と呼んだ?

問題レベル★★☆☆☆(高校生初級レベル)
クリスマスに関連する問題をいくつか出題したが、そろそろ新年も近いので、新年に関する問題もいくつか出題していきたい。

問題

What was the Old English term for “January”?
1月を意味する古英語の単語は次のどれ?
(a) Niwe ġēar
(b) Fyrmestmōnaþ
(c) Æfterra Gēola
(d) Ēosturmōnaþ

問題のねらい

古英語の月名は、だいぶ今の月名とは異なる。例えば、6月はÆrra Līþa(earlier Litha)という名称である。また文字やその読み方も現在と少し異なる。なので、なかなかに古英語でなんと呼ばれていたか考えるのも難しい。ということで(?)、正月のある1月の古英語における名称をクイズとした。

解説

(a) Niwe ġēar
古英語でNew Yearという意味だが、残念ながら1月の意味として古英語では用いられていない。ġēarとあるとおり、gは半母音の/j/の音をも担っており、現在のyearにつながっている。gの音価については、堀田先生のブログ#168や#169に詳しい。

(b) Fyrmestmōnaþ

Fyrmestがfirstで、mōnaþがmonthなので、現在の英語に直すと(the) first monthだが、1月を文字通り現在の英語に訳したもので、古英語ではこう呼ばなかった。fyrmestはforeの最上級のformaの最上級とされている。うん?と思うが、大丈夫。筆者も毎回うん?と思っている。

古英語の最上級については、堀田先生のブログ#5502を参照(と言って、逃げる)。

(c) Æfterra Gēola
そして、じゃーん。これが答えである。現在英語に直すと、After Yuleだが、yがgになっているのは、(a)のyearがġēarになっているのと同じである。Yuleが冬至(祭)を意味する。12月がearlier Yuleで、Ærra Gēola、そして1月がÆfterra Gēolaとなる。発音については、次のYoutubeの2:42ぐらいを見ると良い。

(d) Ēosturmōnaþ
現在の英語に直すとeaster month. 古代ゲルマン神話に登場する春の女神「Eoster(エオストレ)」に由来する月である。イースターは、春分の日の後の初めの満月の次の日曜日とされているので、だいたい4月である。この語も実際に4月を意味する。

まとめ

古英語で1月を意味するのは、(c) Æfterra Gēola(after Yule)「あと冬至」だった。12月がÆrra Gēolaで、12月、1月と同じGēolaを使って連続していいのかと感じるかもしれないが、昔は年の始まりは3月と考えられることも多かった。草木が生え始め、農業が始まる時期である。

ちなみに今回は出していないが、個人的には古英語で5月を意味するÞrimilcemōnaþも割と気に入っている。これは現在の英語にすると、three milk monthで、「牛乳が3度絞れる月」を意味する。春もいよいよ深まりぬ、という感じがして、なかなかに趣深い。

と、今日はこんなところです。良いお年を!

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