見出し画像

今日の本 31

新潮文庫

おめでとう
作:川上弘美
¥440(税抜¥400)



なんとなく表紙の絵が不思議な感じだし、題名も「おめでとう」では、なかなか検索にも引っかからないんだろうなあとか思いながら本棚を眺めていて、やっと本日読むという行為にたどり着きました。(誰が買ってマイハウスに持ち込んだのかは謎)

川上さんの本は初めてなので、初めは慣れるのにチョビットだけおどおどしましたが、とても面白い、興味深い本でした。
友達にこの文章の様な表現の仕方をするヒトがいるのです。文章のようなというか、登場人物の様な、というか。

画像1

(透ける「おめでとう」がイイ感じ)

<あらすじ>
短編恋愛物語の集合体book。12の物語それぞれにその人たちの世界を見ることができる。男女であったり、相手が幽霊だったり、同性だったり。
(あらすじでもなんでもない、解説の細かい部分をゴリゴリ削った何かになってしまった。)

よく映画館の予告とかでみる愛がとか恋がとか、爆発的なそういうものではなくて、淡々とその人生を受け入れて愛やら恋やらを踏んで行っているという感じです。イメージでは、人のいない、動物の剥製が展示されている大きな博物館の閑静さと、ふっるいボロアパートの畳とその上にあるちゃぶたいと一升瓶のハーフみたいな感じです。あとあったかい色の白熱電球。…クッ…凄まじい例え…(と思ったけれど、ちゃぶだいとあったかい色はほぼ表紙の表現と同じだった!)

人の名前がカタカナだったり、とても外周からせめていくけれど正確で的確な表現を使っていたりする感じが、初めて出会ったのですがしっくりすっとり来ました。例えば、「カチンとくる」じゃなくて「こちんとくる」とか。これは本当に一部でして、その他本当に色々あるのです。
ワタクシ自身もそういう表現をうまく出来る様になりたいなあと強く思うので、とてつもなく素晴らしいと感じました。(チョット影響されて、しっくりの後にすっとりって入れてみた。本当にそういう感覚)

画像2

本の中に出てくる人の生活を川上さんのが表現することで、日常が淡々としているけれど、それに挟まって色々な人の感情があるということがわかるフィルターがかかっているように感じました。
憧れるから寄せてみようと思っても、ただただ回りくどいだけになってしまう自分がいる…
自分にとって普通の毎日も、的確な表現を見つめれば、ちょっと違う印象になるのかもしれないと思いました。

本当に本を読むと発見しかなくて凄まじく楽しいです。

イェイイェイ!!



今日の本、第31号、おめでとう

これにて。


いいなと思ったら応援しよう!