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読書のこと:なんで本を読むの?

 私は今年の初めごろからとにかく一生懸命に、読書に勤しんでいます。読書家の方々なんかからしたら、それくらい普通と思われるかも分かりませんが、これまでの私からすると最近は本当に’勤しむ’という言葉の通り、読書に”熱心につとめ励んで”います。



 具体的にどのくらいの量を読んでいるのかというと、大体ひと月に10冊かくらいのペースで読んでいます。元々昔から本を読むのは好きな方ではありましたが、自分のこれまでの人生を振り返ってみても、これほどひたすら本を読む、という経験は初めてのように思います。



 本を読む理由はひとそれぞれだと思います。小説の世界観に没頭したいひと、自己啓発に取り組むひと、’読書している自分’が好きなひと、課題や仕事のために仕方が無いから読むひと、世界をもっと広げたいひと、読書は実はそんなに好きではないけれどしかし歳も歳だしやっておいた方が良い気がして今年の目標に’読書’の文字を加えてしまったひと、などなど…



 私がこのごろ急に読書に勤しむようになった理由はとてもシンプルで、単に”時間がたくさんできたから”でした。理由なんてそんなもんだよね。まぁ、白状すると、今年の目標に”月に1冊は本を読む”というのを加えたのも事実です。(目標を立てた当初はまさかその10倍も読んでいるとは予想もしていなかったけれど。)



 今年の始め頃の私のように、時間がたくさんある、というのは毎日がとにかく忙しなく進んでいく現代社会を生きているものにとって、非常にありがたいことだと思う。だけど、どんなものでもあり過ぎるというのは、それはそれで問題になるんだよね。

 例えば、”あれ?私ってなんのために生きているんだっけ?”などという純粋で、それでいて核心を突いた答えのない問いが頭を占領したりしてしまうからです。こういう問いというのは、私たちがそれぞれの人生を生きていくうえでとても重要だとは思うが今はそんな哲学な問題を考えたい時ではない。ので。あ、なんか余計な考え事をしてしまいそう…というができるとそそくさと本を読み始めることにしたのです。



 さて、私は元々本が好きな方ではあったのですが、振り返ってみればここ数年の間は物語や文章を楽しむというよりも、読めばそれが直ちに自分の人生に役立つような知識や、教養を、’学ぶこと’を目的とした読書というのが大半であったように思います。(大学院生という立場も影響していたと思う。)

 そしてそれはどちらかというと読書を楽しむというよりは、学習といった感覚であったように思う。もちろんそういう気持ちでしていた読書にも価値があったと思うし当時の自分に必要なことだったと思うけれど、今思い返してみると少し、心の余裕が足りなかったんじゃないかな、とも感じます。



 私は今読書を心から楽しんでいると感じています。そして楽しみながら、学ぶことも本当にたくさんあります。ちょっと大げさにいえば、もしかしたら学習のための読書をしていた時よりも今の方が、深い学びが多いようなそんな気もします。それは、昔の自分に比べたら少しだけ冷静になって、色々な感情を素直に受け止められるようになった今の自分が、ひとつひとつの作品を心の深いところで味わえるようになったからじゃないかな、とか。



 最近の私が読んでいる本というのは、ジャンルもとっても幅広くなっています。最近よく読むようになったミステリ小説をはじめ、随筆やエッセイ心理学や言語学社会学関連のもの、教養書やビジネス書まで、本当にいろんなものを読みます。ビジネス書や教養書などを読めばもちろんたくさんの学びがありますが、小説やエッセイなどを読んでいても学びが本当にたくさんあるということに、恥ずかしながら最近ようやく気付いたんですよね。



 たとえば小説で、感嘆のため息が出るほどよく表現された人間の感情に触れることで、それまで深く考えてみなかったひとの欲望や人間社会の構造について、深く考え悩んでみるきっかけとなったり。( 傲慢と善良 (朝日文庫) [ 辻村深月 ] )

 
 はたまた就活生たちが巻き起こしたとある事件が描かれたミステリを読んで、書類や面接を通して一人の人間を把握することの難しさはもちろん、そもそもひとを理解しどういう人間か判断することの難しさを突き付けられたりとか。( 六人の嘘つきな大学生 (角川文庫) [ 浅倉 秋成 ] )


 そして私はこれらのいろいろな分野の読み物を、同時に何冊も並行して読んだりします。この、いろいろな分野のものを同時読みする、というのは人によって好き嫌いが分かれると思うのですが、私にはそれらを同時に読むことで、本来なんの繋がりもなさそうな本たちに見えない繋がりを発見したり、人間や社会の本質に迫るための材料になったりするような、そういう感覚がとっても楽しくて私は同時読みを好んでしています。



 あとは単純に、幅広くいろいろ読んでいると大体の人と会話の幅が広がるので便利です。本が好き、読書が好きと言ってもビジネス書しか読まないひと、小説しか読まないひとなど様々ですから、いろいろ読んでいると、より多くのひとたちと、いろいろな考えを共有できる気がして、好きなんですよね。世界が広がります。



 つらつらと書きましたが最近(?)の私の読書事情について、せっかくなので忘れないように記録しておこうと思いまとめてみました。

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