
あらしのよるに、問いかける
今夜はなんだか外が騒がしい。
ごうごうと風が吹いている。
屋根に叩きつける雨音が響いている。
そんなあらしのよる。
待ち遠しいような待ち遠しくなかったような
航空便の荷物が、ようやく届いた。
段ボールが3箱。
顔にかなり目立つ傷のある兄ちゃんが運んできた。
その傷はどうしたん?と気になったけれど、
もちろんそんなことは聞かない。聞けない。
でもとても気になる。
いざ、待ち望んだはずの箱を開けてみたら、
やはり本当に必要なものなんて
ほとんど入っていなかった。
大量のハンガー、冬服、水筒、弁当箱、
湯たんぽ、食器数枚、予備のマスク、
予備の歯ブラシ、コンタクトレンズ等。
何を思って、私はそれらを入れたのだろうか。
それすらも思い出せないくらい、
それらがなくて困ったことは、
この3週間で一度もなかった。
届いてよかった!と思ったものは、
娘の国語教科書(日本語補習校で使う)、
鬼滅の刃のマンガ全巻、
銭天堂(娘の好きな本)、くらいだ。
こどもたちは毎日することがなく退屈で、
ニンテンドーSwitchで"あつ森"をするか
(わが家のルールではゲームは1時間まで)、
YouTubeを見るか
(こちらもわが家ルール1時間まで)、
外に遊びに行くか
(寒いのであまり行きたがらない)、
くらいしかすることがなかったので、
マンガと本は、彼らの持て余していた時間を過ごすためには、最高のもの。
わが子たちは、一度読んだものでも、何度も読み返す方なので、これでしばらくは過ごせるだろう。
「ひまや〜YouTube見てもいい〜?」
「さっきもう見たやろ!」
「じゃあ、あつ森は〜?」
「それもさっきやったやろ!
どっちも目悪なる!」
というしょーもないやりとりを、
もうしなくてもよくなると思うと、
それだけで、ほんの少し気持ちが軽くなるのだ。
それ以外の荷物は、
あらしのよるに、
静かな戸棚にしまい込んだ。
今のわたしにとって、
本当に必要なものって、なんだろう。