生まれる前に、誰かに「今度はあの家族のところへ行け」と言われた記憶

私の人生、最初の記憶は上の方の暗い空間で、こんこんと眠っていたことろから始まる。なんとなく憂鬱な気分で。

眠りながら、たくさんの夢を見ていた。それは白黒で、自分が生まれるより少し前の、親の田舎の風景。7歳年上の姉が縁側で赤ちゃんを抱いていた。あれは私じゃないかと思うのだけど、よくわからない。

夢の中で、今の家族の様子を俯瞰で見ていた。

赤ちゃんの姿もあった。

そのうち、上の方から声がした。

「今度はあの家に行け」と。「あの家族の次女になるのだ」と。

それから声は、どんな家族で、親や姉はどんなで、環境はどんなで、と説明し、おまえはこんな性格の次女になるのだ、と言った。

私は「え〜、行きたくない、もうあそこへ(地球?この世?)は行きたくない」と眠りながら心で訴えたが、声はまったく容赦ない。

私はただひたすら憂鬱だったし、この家族も陰気でかわいそうな雰囲気で、貧乏だし、まったく楽しくなさそうだったから、本当に嫌だった。

私はここで眠っていたい、悲しい心のまま、ここで丸まっていたいと思っていた。

でも、声が「1,2,3、ハイ!」と言った次の瞬間、私は赤ちゃんの中にいた。

それからずっと、意識はここにある。記憶もある。

だから、私は1歳数ヶ月から記憶があって、外で母におむつ替えされてる時などは「恥ずかしいな!でもみんなからみたら赤ちゃんなんだから、ま、いいか!」と思っていた。

大人の言葉はほぼ理解できていて、生きるのに毎日疲れていた。

”早く帰りたい、帰りたい”と思っていた。

どこに? 

”おうちに” 

おうちってどこ?

自問自答するけど、それは自分でもわからない。宇宙まではわかるけど、宇宙のどこなのか、いくら考えても詳細が浮かばない。本当のお母さんやお父さんや家族がいるのではないかと思うのだけれど、思い出せない。

ただただ、帰りたくて、悲しかった。

忘れもしないのは7歳の除夜の鐘を聞いたとき。遊びにきていたおばちゃんが「みいちゃんはいいね、まだ7歳でしょう。これまでに聞いた除夜の鐘を10回繰り返すくらい、たくさん聞けるよ」と言ったのだ。

”ゲッ、そんなに長く生きるのか!”と深く絶望したことを覚えている。

それから20歳くらいまで、死にたくて?帰りたくて?仕方なかったが、働きはじめたら目の前のことに忙しくて、その気持ちも忘れてきた。

今の年になると、先に進めばもう寿命だから、帰りたいとは思わなくなった。

過去と未来を比べた時に、未来の方が短くなった。

いったい何のために、この世に下ろされたのか、いまだに分からない。これといったことも成し遂げていないし。親やまわりの人も幸せにできていない。

何かやらなければならないことがあったはずと思うと、ちょっとあせる。


しかし。

この生まれる前の記憶はただの夢なのだろうか。

ある日突然、意識がつながっただけなのだろうか。

そもそも、すでに生まれている赤ちゃんに憑依する?魂の生まれ方?ってあるんだろうか?


同じような体験をしたことがある方、いらっしゃいますか?ドキドキ。