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COSMOS たましいの楽園  大天使ミカエルとの10年間の記録 1992年~2002年 14歳~24歳 ⑨

セリカルの実像を求めて

私は中学生の終わりごろから、夢の中で「セリカル」という名の男性と出会い、恋をし、会話を始めた。

「セリカル」は、自分自身が生み出した理想の男性像で、安定しない私の心を変えてくれて、私のすべてを包み込んでくれる深い愛をもった人だった。

たまに空想の世界に入って「セリカル」と恋に落ちていく自分の姿を幸せな気分で眺めたりした。

私にとって「セリカル」は文句ない理想の男性だった。自分がこうなりたいと願う目標でもあった。

道で通り過ぎる人の中に「セリカル」がいるかもしれない。

けれど強い想いとは裏腹に、ただ夢を見ているだけの自分、弱い自分を認めてあげられない自分、悲しくて寂しい気持ちを癒してほしくて「セリカル」を利用している自分がいた。

それでも私は「セリカル」と私はもっと深いところで結びついていて、世界中のどこにいても分かり合えると思えた。

また実際に出会えていなくても、いつか本当に出会えると信じられた時、本当に幸せな気持ちになった。



限りなく意識から遠い、ある人に出会うための空間が存在する。

それを野生の勘よりも荒々しく、ある匂いのタイミングで移動する波をください。


気がつくとカレンは温かくて大きな胸の中にいた。カレンの瞳からはなぜか涙があふれていた。

カレンは懐かしいような、切ないような、胸がしめつけられるような気持ちを味わっていた。

この世に存在するあらゆるものを包み込んでしまうような大きな手は、カレンの透き通る髪をそい、その体は生まれたばかりの赤ん坊を抱くように、大切に、壊れないように、カレンを温めていた。

カレンはそっと目を開けてその体を確かめた。

2人はお互いの確かな何かを守るように、体をかがめ、うずくまるようにして抱き合っていた。

2人の瞳が合った瞬間、瞳の奥にある隠された秘密を分かち合った。

「セリカルだよ。会いたかった」その瞳はカレンに向けてそう伝えた。

「カレン、せめて夢の中だけでもいいから、君に伝えたいものがあったんだ」

カレンはそんなメッセージを受け止めた瞬間、自分を取り囲んでいた一切の憂鬱をかき消してしまいたい衝動にかられた。

セリカル、カレン・・・。

カレンは新しく買ってもらったワンピースを家の近くのあの川に投げ捨ててしまいと感じていた、遠く淡い、幼い頃の風景を思い出していた。

カレンは自分の体の中で何かが鋭く引き裂かれ、ばらばらになった自分を繋ぎとめる綱さえ切れてしまう不安を嗅ぎとった。

「このままでいたら破裂してしまう」とカレンは思った。

「お願い、私をこのままどこかへ連れて行って」それがカレンの思考の限界だった。

カレンは狂ったように、その大きな胸にしがみついた。


砂漠のように永遠に存在する表面。

2人は場所の名前や考えられるすべての色彩をふまえて立ち向かっても、到底たちうちできない次元にいた。

カレンは深い眠りのまどろみの中で無邪気に微笑んでいるあの感覚を誰かに説明するほうが、どんなに今の状態を伝えるより楽かと思っていた。


2人は肉体であることを停止した。

半分に割れてしまったクリスタルは、再び唯一その複雑な表面を持つ相手と一致するとき、クリスタルは宝石であることを停止し、どんな宝石よりも純粋な輝きを放って透明な液体に変化する。

そしてその聖なる液体は、完全な宇宙を支配して、DNAの根本を包容して、あらゆる空間の一点に集中した。

カレンは愛おしい、と感じた。

身の回りのもの一つ一つに触れて「愛しているよ」と言いたかった。


セリカルは言った。

「ここにいても、ここにいなくても、何もなくても、何かがあっても、僕らは宇宙であることをあきらめたりはしない。僕らがここにいるのは、宇宙を宇宙だと声に出してみたいからなんだ。それを投げやりに、ある、とか、ない、とか思ってはだめだ。宇宙はここにあるものを声に出して認めたりしない。だからこそ僕らがここにいて、声に出して認められるんだ。それをこの聖なる液体に記憶させよう」

その瞬間、カレンの頭上で突然雷が落ちたような爆発音とともに光が放たれ、その電流がカレンの体を貫いた。

カレンの聖なる記憶は具体化され、言葉を発することを知った。



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