40年前のピクニック
1980年代、昭和のありふれた家族の一瞬でした。私は生まれて初めて大学のキャンパスを目にしました。まだ小学校に上がる前か幼稚園が終わる頃でしょう。年下のきょうだいは、ベビーカーで来ています。まだ覚えていません。
父はいくつかの大学で勤めていましたが、所属する大学が新しくキャンパスを作った時、関係者向けの見学会に連れて行ってもらいました。これは私にとって父の職場の近くを見た最初で最後の機会となりました。外国の街のように見えたのですが、まだ語彙も概念も知らなくて、非日常と、若い両親が少し嬉しそうに見えて、そうか、これは良いことなのかと思ったものでした。
父は理系の研究者で、家では書斎にこもっていたり、居間でTVを見ながら考え事をしていることが多かったです。生協のキャラメルポップコーンが好きで、ご飯を食べずそればかり食べていました。ポリポリとキャラメルポップコーンを食べる姿は、どことなく小動物っぽさがあります。可愛くは無いです。
その後、いろいろなことが起きました。幼い頃の記憶と、その後のことをどう解釈しバランスをとればいいのか、コントラストが強すぎて困ったこともありました。
別のこととして置いておくのもいいかなと、今は思っています。両方の異なる出来事を、無理に関連づけなくても、片方は片方、もう片方は片方みたいに、どちらも大事にしていい。こう考えられるようになるまでに30年必要でした。
年を取るのも悪くないと思わせてくれるのは、自分の内面がちょっとずつマシになっていると、確認できる時です。
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