最悪ともっと最悪の二択を突きつけられた、中1男子の友達の葛藤
中学生の時の大事な友達の話です
彼の紹介で同じ塾に通い
年の離れたお兄さんがいるから
完結していた『うる星やつら』を全巻貸してもらい
TM NETWORKも世代的には僕らよりちょっと上なので教えてもらいました
サブカルにそんなに強くない家に育ったから
彼との交流は良いものをたくさん与えてもらいました
できることなら、私からも彼に良いものを与えることができていたらいいなと思います
与えたものは忘れて受け取ったものだけを覚えているから
彼の友達として役割を果たしたのかと自問自答する日もあります
🥋
彼は自衛官のお子さんで、お父さんはお仕事がら留守がちでした
年の離れたお兄さんは優秀なんだけど
大学の受験失敗したらしくて、 それが元で家庭内暴力が始まり
具体的に言うとお母さんを殴る蹴るしていました
家庭内暴力は単なる暴力じゃない
ちっちゃい頃から一緒に育った
尊敬するお兄ちゃんが行うのです
かつては、その影響から
兄に憧れて空手を習い始めたこと
お兄ちゃんが勉強を教えてくれたこと
そんな背中を追いかけてきた
優しいお兄ちゃんが挫折して豹変したわけです
誰だか知らない通り魔とは異なるのです
友達は小学校の頃から空手を習っていました
お兄さんの影響もあるし
彼の家から500mくらいの場所に
地元では空手ならここと信頼されている道場があり
通い易くもありました
彼の道場の先生は 道場の外で絶対に使うなと教える先生でした
剣道とか柔道とかあるいは少林寺とか
僕の友達には何かしら習っている人はいたけれど
少しも周囲に自慢せず力を
誇示しないことを
中学1年生ながら身についていたのは
僕の友達だけです
🥋
よくできたやつで、早熟で頭が良くて
だからこそ感受性も鋭いから
お兄さんのこと、どうしたらいいんだろうと
傷ついているわけですよね
助言を求められていないから
子どもなりに踏み込まないように意識しました
彼はある日、見かねて お母さん守ろうと思い
お兄さんの暴力をやめさせる時に
殴っちゃったわけです
受験で格闘技から離れていたお兄さんと異なり
毎日トレーニングして
筋トレも型の稽古も継続し
週に何日も道場へ通っている
中一の、弟の彼の方が、もう強いわけです
正確には、空手の型をきちんと使えば
体格差があっても破壊力は出せる
お兄さん、殴られて吹っ飛びました
体そんなにまだ大きくないのです
160cm前後の子でも
技術を身につけて本気で殴れば
人は吹き飛ぶもので
🥋
お母さんを守れました
だけど、お兄さんを殴って
殴った後で、後味いいわけないですよね
自分の大好きなお兄さんだから
家庭内暴力を振るようになったことは 困るけど
それでもだからこそ大事な家族だから
お兄さん殴るなんて、温和な彼はしたくないわけです
でも お母さんに対する暴力を 誰かが止めなきゃいけなかった
お父さんがやらなきゃいけないとか
当時は平成前半だから警察呼ぶのも今と異なるし
結局、彼がやるしかなかった
「大人の不在」がありました
こんなことがあったから
余計に彼は 自分の力を意識し
道場の外でちらつかせることもしなかったです
刀で例えると、鞘がしっかりした子
🥋
僕らの人生には
最悪かもっと最悪を
選ぶことを迫られる局面があります
今の例で言えば
お兄さんを殴りたくない
かといってお母さんへの暴力は見過ごせない
止めようとしても 取り押さえるには
体格差があるから
殴るしかないわけです
殴れば体格差があっても強いわけだから
空手を使わず筋力だけで
あるいは言葉だけで
お兄さん取り押さえるのは
まだ無理なわけです
そもそも未成年の弟の彼が
大人に守られず
大人を守ろうとしている
そして、お兄さんも弟に殴られて
吹き飛べば 我に返るわけです
それは往々にして 誰かが役割を果たせていないと起きる
今の場合だったらお父さんがお仕事で忙しくても
他の大人が介入するということが 望ましいと思う
🥋
自衛する力が備わるのは良いこと
けれど、子どもが身を守るしかない状態に
追い込むことは望ましくない
お母さんは、息子さんの「甘え」と
おそらく将来を気にして
他者の介入を躊躇してしまわれたのだと思う
誰もが安心して子ども時代を過ごせるように
大人がどう協力したら予防できるのか
考えることが出来るといいですね
僕は、父方の祖父が家庭内暴力の酷い人でしたが
世代間連鎖を両親が断ち切ってくれました
暴力の連鎖は止められる
言葉で言えるようにするほど
起きにくく出来る
個人的な経験で、私にはそう思えるのです