虚の世界は隙を手掛かりに
今日の世界についての続きです。
剣が振り下ろされる状況を手掛かりに見つけた事です。
剣が振り下ろされた瞬間、身体は固まります。これ、武術になじみがなければ緊張は起きない場合もありますが、その時にだってちゃんと剣は頭に当たります。
もちろん、これではダメ。心の緊張を手放し事は十分目的になりますが、心だけがそれを手に入れて、身体を置き去りにしては元も子もありません。
ちゃんと身体も望むところへと動いて行ける、それを考えなくてはなりません。
とにかく、危機となれば身体は固まるのです。
この時、身体が先か、心が先か、どちらかが先に緊張し、身動きを止めます。
私が手掛かりにしているのは身体。いつも言っている事です。
そして、多くの場合、「触覚」的な身体が頼りです。
体術であれば触覚でもなんとかなります。そもそも、「手を上げたい」という願いで始まった稽古です。剣への対応は私の中では二の次でした。
剣への対応を考え始めてわかるのは、触覚では間に合わない、という事です。
仙骨を浮かせ、腰椎も浮かす。さらに身体を震わせエネルギー化して、まっすぐではなく、左右に蛇行しながら進む。これが触覚的身体の行きついたところでした。
これまでよりは明らかに動きはよくなり、楽しかったのですが、欲望はここで終わらず、もっと滑らかに、気持ちよく動き、過ごしたい、と溢れ出てきます。
昨年末に「ニヤリ」の術理として、口内に動きを作る事で首下の意識を手放せる事に気づきました。
胴体と頭が離れた事で、頭についている顔、つまり、五感に主導権が移りました。
この事で「視覚」の働きが強くなったのではないか、と思います。
振り下ろされる剣を見ていくと、そこに「隙」があるのがわかりました。
気づくのは大変でしたが、わかってみれば、なぜそれが見えなかったのだろう、と思うほど、「単純」なものでした。
剣を上から下に降ろす時、そこに「扇形」が生まれます。振りかぶり、振り下ろす。そこに剣の移動があり、その軌跡が扇形になります。
この扇形の中こそ、隙であり、虚の世界でした。
振り下ろす前、剣は動かず、相手に集中します。外から何かがやってくれば、ちゃんとそれに対応します。
また、剣が届く場所、そこはしっかりと力を入れなくてはいけない場所です。
相手の頭めがけて打っていく。しっかりと狙いをつけて、そこへ剣を届かせます。こちらも意識を集中し、打ちます。
ただ、その「間」は無防備になり、結果的に隙になります。
何かをしようとする前、何かが終わる時、それはちゃんと考えます。
しかし、その間は身体任せ、どういう動きで結果が得られるかは考えにくいものです。
もちろん、この問題は多くの人が考えていました。
だからこそ、隙の無い動きが考えられ、型のようになっていきます。
実際、剣を振り上げ、振り下ろす時、剣の扱いを学んでいる人なら、そこに隙を見つけるのは難しくなります。重力などの力も使い、自然と隙の出ない動きになっています。
ただ、これを「いつの間にか」やれてしまうからこそ、問題だと感じます。
結果的に隙の無い動きが得られることがあります。これ、実力がある、という事です。
自分がやろうと思う事がちゃんと出来る。これ、嬉しいですよね。ただ、出来てしまうからこそ、問題点が出てきません。
私はずっと、「出来ない側」です。
剣を振り下ろすのだって、その道の人からすればダメです。
ただ、だからこそ、決まりのない稽古になり、それは「雑」に見えますが、反対側から見れば何に気づくかわからないという、可能性あふれる稽古となります。
そして、見つかってしまったのが、虚の世界だったのです。出来なかったからこそ、見つかったのです。
雑な剣の振り下ろしによって、そこに隙がある事がわかりました。
剣をかわしたい気持ちが強くありましたが、それ以上に、「隙をつきたい」という風に目的が変わってきました。
剣を交わすのは大変です。身体は緊張し、足が止まります。相手の剣はただ降りて来るだけ、でも、こちらは足指に力を入れてしまい、動けない。これは大変です。
しかし、「隙に飛び込む」と決めたならば、働く感覚は「視覚」へと移ります。
視覚は進むべき場所を示してくれます。
打たれたとしても、それは隙を見つけられなかったから。悔しい思いはすぐに、ちゃんと隙を見つけよう、と感度を上げる事ができます。
これが実戦であれば一太刀で命が終わるので追求できませんが、稽古なら、何度も死んで、何度も学べるのです。
最初に言っておきます。
これ、難しくありません。ただ、こうして言葉にしていくと、どこまでも細かく書けるので、つい、難しく見えるかもしれませんが、実際に剣の振り下ろしを扇型を手掛かりに見つめてみれば、ちゃんとわかります。
5分、10分で、「隙はある」というのはわかります。
後は、その隙を見つけた私と、生身の私が協力をして、ちょっとだけ動ければ出来上がりです。
もうちょっと虚の世界の話は続けます。
不定期稽古
3月、つくば、東京稽古が決まりました。下記のとおりです。
よろしければご参加ください。
私の稽古はどこの稽古も、覚える基本もなければ、技もありません。
体力的な問題もありません。身体がある、という事を経験し、楽しんでもらい、日常生活を観察と共に過ごしてもらう事をしてくれたらなぁ、と思っています。
「つくば稽古」
日時:2024/3/3(日)13:00-20:00
参加費:10000円(当日払い)
会場:つくばカピオ リフレッシュルーム
住所:茨城県つくば市竹園1-10-1
「東京ロングヒーリング」
日時:2024/3/5(火)10:00-17:00
参加費:24,000円(当日払い) 最大人数6名
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
「東京夜稽古」
日時:2024/3/5(火)18:00-21:00
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
参加費:参加費10000円(当日払い)
同日10-17時にある「東京ロングヒーリング」に参加の方は5000円
共に詳細、申し込みはウェブサイトから。
http://www.karadalab.com/