魂と表情の不思議な関係　その5

川崎、浜松の稽古まであと数日。ノートの更新もとりあえず、今日が最後となります。また、来週、続けて書き残していくつもりです。

今日は「表情の種類」というお話をします。
今、私は「表情は無限」と考えています。しかし、他人に何か伝える時、無限では伝わりません。必然的に分類分けをしていきます。
表情は感情が現れたもの、無限、と考える方が当たり前の気がしますが、ついつい、その感情も他人事になると、大雑把に分けてしまいます。

あの人、笑っている、起こっている、困っている、悲しんでいる・・・、言葉によって分類してしまいます。
もちろん、その感情は間違っていないと思いますが、近しい人ならもう少し、細かく、丁寧に心に寄り添ってもらいたいと思うはずです。

表情は土台、表情が感情を決めるもの、私はそう考えます。
笑っているから、楽しくなれる。
楽しいから、笑っている。
大抵の人は後者で考えるでしょう。また、本当に辛い事に出会った人なら、そこで笑え、と言われても無理だ、と思うかもしれません。
しかし、それでも、表情が先です。武術という命のやり取りで考えたのなら、使えるものは全部使います。

命の取り合いになったとなれば、心は怯えます。恐怖という感情が生まれ、表情が強張ります。この時、意志はまだ、残ります。その意志の力で歯を食いしばり感情を抑え込む事が出来ればいいですが、出来なければ大変です。
しかし、歯を食いしばる力は出なくても、表情を変える力ぐらいなら出るかもしれません。

反射的に顔をこわばらせるのは自然な事、それはいいんです。
その後、自分でまた、表情を変えられる、と知っていて欲しいのです。
ただ、この時、恐怖顔から笑顔に変えるのはちょっと大変かもしれません。笑顔の凄さ、大切さは知られていますが、それが唯一のゴールではないのです。

困り顔、怒り顔、どんな顔でもいいんです。困り顔であっても、その表情の中で「さらに細かく」動ければ十分、相手の隙に入り込み、崩していく事が可能になります。
感情を表す表情は一つではなく、たくさんある、そう考えておくことで、自分の表情が今、どうなっているかを観察できると思います。

以前、顔が力んできている事に気づくかどうかがカギ、とお伝えしました。
最近、腹を抱えて、涙が出てしまうほど笑った事はありますか？その時、顔はとてつもなく、動き、緩んでいるはず。
ついつい、世の中は「まぁまぁ」な程度で安定をしてしまいます。いつの間にかの「普通」の顔には力みが残ってしまうのです。

顔に力みがあれば、多少のネガティブな出来事には揺らされません。それはそれで強みになるかもしれませんが、より大きな力に負けてしまいますし、ポジティブな感情も押し殺してしまう事にもなります。

顔が動く、表情が動く、顔を抑えていた力みを水引は教えてくれます。あぁ、こんなに力みがあったのか、とわかれば、その後の全ての時間が稽古になっていきます。

顔が緩む事で、動きが生まれ、笑顔だけではなく、真顔、困り顔、怒り顔、どの表情でも、より納得のいく自分が見つかるのではないか、と思います。

スピリチュアルな知識も世に広がりました。笑顔の力は有名です。ネガティブな言葉を言えばそれがやってくる。だからこそポジティブな事を言おう、と笑顔の大切さを問われます。
もちろん、それは大切な事です。仕事など、時々しか会わない相手にならそれでうまくいくでしょう。しかし、身近な人、大切な人の前では笑顔だけではなく、もう少し、本当の自分も出していたいものです。私はそう思います。

困った時にもちゃんと相手を意識してつながってみる。相手は優しく、自分を心配してくれる人なのですから、頼ってもいい、そう思います。
この時、相手との距離を決めるもの、それが表情です。

この一連のノートのタイトルは「魂と表情の不思議な関係」です。ついつい、表情について書きすぎていますが、魂が一番最初に形となって表れてくるもの、それが「表情」です。
「情」が「表」に出てくるのですから、本当にうまく、言葉に現れています。

顔は頭にくっついているもの、表情を動かせ、と言われても胴についた頭は強く、顔は逃げ出せません。
私が表情に気づく事が出来たのは、先に「魂」に気づく事が出来ていたからだと思います。
言葉にすればどうしてもややこしくなりますが、実際に手を合わせれば、そこに触覚を通して「違い」が見つかります。

多くの場合、先生が行う技に「わかりません！」と疑問を投げかける事はタブーとされていますが、私にそのタブーはありません。
わからないならわかるまで、わからない、と言ってください。同じ動きの中に「違い」があるんだ、という事もプロの技を持っている人も案外と知らないようなのです。

自分の身体を探り、違いを楽しむ。それが出来るようになれば退屈な毎日はなくなります。自分の中に自分だけの楽しさを見つける。その楽しさが身体感覚。
身体感覚という存在がある、それを伝えさせてもらっています。

【稽古予定】参加受付中
11/27（土）川崎稽古会、新会場！
12/19（日）甲野先生の浜松稽古会
1/16（日）つくば稽古会

11/26（金）　名古屋東山
11/28（日）　浜松
12/6（月）　浜松「チャクラと魂の関係」
12/8（水）　名古屋
12/10（金）　名古屋東山（4週目の稽古の代わりです。）
12/12（日）　名古屋
12/15（水）　大垣
12/16（木）　瀬戸
12/17（金）　名古屋熱田

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