省エネしたい脳との闘い
前回は、頭の重さについて書いたのですが
今回はその中身、脳について。
人間の脳の重さは、体重の約2%。
なのに、エネルギー消費量は他の臓器よりも多く、
全エネルギーのうち20%をも消費するのだとか。
だから脳は、特に何も考えなくてもできることは”習慣”として自動化して、できるだけエネルギーをセーブしようとするらしい。
なんと私たちの日常の行動の約45%が習慣で成り立っているのだと。
確かに、朝起きてから寝るまでの行動を思い浮かべてみても、いちいち「右手を開いて少し動かし、布団の端を持って上に持ち上げ布団をめくる」とか「右手を前に出しドアノブを持って握ったまま右に手首を回転させ、腕を手前に引く」とか、考えて行動している人はあまりいないだろう。
さて、ティーンエージャーに片足をつっこんだ長男に、事あるごとにアレクサンダー・テクニックのショートレッスンをしているのだが、ちゃんと伝わっているはずなのに、実践できてないというか実用化できていないというか。
こんなにも毎回毎回同じことを言われ続け、言われてる内容も、なんで言われているのかの理由も頭で分かっているはずなのに、、、なぜ、できない?
その答えに、レッスンを続けられる生徒さんと続けられない生徒さんがいる理由があるのではないかと、ずーっと考え続けている。
長男曰く「分かってるんだけど、考え続けるのが難しい」とのこと。
これはひょっとすると、脳の省エネ活動と関係があるのかもしれない。
以前、生徒さんに
「レッスン2回目の時、言われていることは頭で分かっているのだけれど、
できなくて、ほんと辛くて辛くて。なんでこんなこと私はしてるんだろう、って思ったんですけど、5回続けた後、腰痛がなくなっていて、レッスン以外のことはしていなかったので、間違いなくアレクサンダー・テクニックが効いたんだなって思ったので、お友達には、経験した苦しさは言わずに(笑)アレクサンダー・テクニックいいわよってすすめています」
と言われ、忍耐強くレッスン続けて効果を感じ、ご自身で考え実践できるとこまでたどりついてくれたことがとても嬉しかったのと同時に、「やっぱ辛いんだ、、、レッスン」と、自分がアレクサンダー・テクニックを始めたころのことを思い出しました。
どっかで一度書いた気もするけど、訓練生時代、先生に毎日毎日同じこと言われ続け、分かってるけど身体が反応しなくて。
生徒さんと同じように「なんでこんなことしてるんだろう。こんなことしなくても生きていけるし、、、」と、学校行くのやだなあって何度も思ったことがありました。
でも結局行くと、新しい発見があり、どんどんそれが一つの線につながっていって。
そのうち「もう同じこと言われるの嫌だから、意地でも朝起きてから寝るまでずっと考え続けてよう。その方が結果楽かも」と思うようになり。
今じゃ、自分の身体をかなり思うようにコントロールできるようになっていることへの満たされ感が半端ありません。
楽しくて仕方ない。
アレクサンダー・テクニックは、自分の脳との闘い。
レッスンで”身体の癖に気付き”という説明を受けることがあると思うけど、身体を操作してるのは脳だし、結局は脳の癖との闘いでもある。
脳は「今のままでいいじゃん、別に無理して考えなくてもさ。大丈夫だよ、このままで」って言ってきがちなので、レッスン中は、まさに省エネモード脳との壮絶バトルが行われてる感じなんだろうな。
レッスンの時以外でも、しっかりこの省エネモードと闘っていただいてはじめてアレクサンダー・テクニックをツールとしてお家に持って帰ってもらっていることになるので、生徒さんにはいつも「しっかり考え続けてください」と言ってレッスンをしめくくっております。
とはいえ、自分の脳と闘うのってほんと疲れるんですよね。
でも省エネ活動がために癖づいてしまった身体の使い方が、自分へのストレスになってしまっていたら、それはただの悪循環になるに過ぎない。
闘い抜いたその暁には、前回にも書いた”自分で自分の身体を思い通りにコントロールできる満たされ感、安定&安心感”が待っています。