ドラマ・映画感想文(18)『蛇の道』
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個人的評価:6点(/10点)
公開年月:2024年6月
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※結末について具体的には記しませんが、読めば想像できてしまうかもしれませんので、鑑賞前の方はご注意ください。
黒沢清監督の98年公開同名作品のリメイク版。98年版を観ていないので詳しいことは分からないが、登場人物や舞台設定が大きく変わっているらしい。
娘を殺害された男(ダミアン・ボナール)が、精神科医(柴咲コウ)の助けを借りながら、犯人を追求していくサスペンスもの。
柴咲コウさんのサイコスリラー的な演技がハマっていた。私の中では『Dr.コトー診療所』で止まっていたが(最近制作された映画は未鑑賞)、20代や30代の頃より美しくなっている気がする。そんな個人的嗜好はさておき、劇中ではほとんどフランス語を話しており、鼻濁音のような独特の発音を聴く限り、流暢にしゃべれているのではないかと思ったが、素人なので分からない。
わずかに日本語が使われるのは、患者(西島秀俊)の診察時と、日本で暮らす夫(青木崇高)とのビデオ会話のシーンだけ。ちなみに、非常に短い。個人的にこの2人の出番も楽しみだっただけに、残念。ネームバリュー以外に、起用した理由が見当たらなかった。
さて、物語の軸は「娘を殺したのは誰か」であるとともに、「精神科医(柴咲コウ)の目的は何か」という問題も途中から浮上してくるのだが、それらが判明する結末は意外性に欠ける内容だった。「まぁ、そりゃそうだろうね」と。
フランスの街並や森は美しいし、それと対照をなす暴力シーンも手を抜いていないなど、良い要素は沢山あり、終盤まで惹き付けられながら観たが、竜頭蛇尾。何か社会的な問題提起でもあればいいのだが、それも特になかったように思う。
観て損というほどではなく、前述のとおり柴咲コウさんだけでも見る価値はあるが、何度も観たくなるような一本ではなかった。強くおすすめはできない。