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ドラマ・映画感想文(57)『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』

公式サイト:https://www.culture-pub.jp/goldfinger/index.html

キネマ旬報レビュー:https://www.kinejun.com/criticreview/detail?id=100767

満足度:7点(/10点)

※ほぼネタバレなし

日本では昨年春に公開された『無名』(感想)に続く、トニー・レオン主演作。前作では黒ずくめでビシッと決めた佇まいに柔和な笑みを湛えた紳士風の男だったが、今作では一転して軽佻浮薄で胡散臭い成金野郎。そんな一見野暮なキャラクターにもかかわらず、ところどころで、見ていて吸い込まれそうになる甘美な瞳と田村正和的微笑が繰り出され、眼福だった。

そんなトニー・レオンを見ていて、「どのシーンもほとんど瞬きをしていないのでは?」と思ったが、考え過ぎだろうか。一般的に、顔のどアップや怒りの場面で瞬きを抑えることはよくあると思うけど、むしろ瞬きしないことをデフォルトにしているかのように見えた。対して、感情に乱れが生じているシーンでは、意図的に瞬きをしているような。もしかしてタイミングや回数まで計算している?

それが気になってトニー・レオンの目を凝視し始めたら字幕が追えなくなってしまったので、作品に集中するよう切り替えたが、いつか配信でも始まれば改めて確認してみたい。

「目」つながりで言うと、作品の途中でかかる「君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)」は、当該シーンにはぴったりだったが、エンドロールには合っていなかった気がする。

トニー・レオンはとにかく良かったし、『インファナル・アフェア』以来20年ぶりの共演となったアンディ・ラウもスーツが似合って見目麗しかったものの、作品自体はぐちゃぐちゃだった。キネマ旬報の篠儀直子さん・菅付雅信さんのレビューが的確だと思う。詐欺師(トニー・レオン)の手練手管とダークヒーローぶりを描きたいのか、捜査官(アンディ・ラウ)の正義漢ぶりを押し出して勧善懲悪の痛快さを演出したいのか、焦点がボヤけているような。史実をもとにしているらしいが、その史実を過不足なく表そうとするあまり、ノンフィクション再現VTRに堕している感も。予告編が秀逸だっただけに、ちょっと肩透かしだった。

ところで、トニー・レオンの出演する2027年公開映画が北海道で撮影されるとニュースになっており、今から楽しみ。

*「ドラマ・映画 感想文」シリーズ*

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