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兄のもの、弟のもの

歳が近い兄弟を持つ親なら、
誰しも知っていることは、
兄と弟には同じものを与えることだ。

違うものを与えてしまうと、
たいていは喧嘩の種になる。

僕はあっちがいい、
僕はこっちがいい。
という感じだ。

特におもちゃは深刻だ。
たまに「サービスです」と、
親切におもちゃをくれるお店が
あるのだが、兄弟別々の物を渡す。

不安どおり、家に帰ってから
おもちゃをめぐって喧嘩が始まる。
たいては、兄が勝ち、
弟は負けて泣いて終わり。

俺のものは俺のもの 
お前のものも俺のもの。

かのジャイアンの名言を思い出す。



ただ、お菓子を買うときなどは、
好きなものがいいだろうと、
子どもに好きなものを選ばせると、
兄弟別々のものを選んでしまう。

このときは、
自分で選んだということもあり、
喧嘩にならず、
自分のお菓子だけを食べていく。
お互いのお菓子を牽制し合いながら。



おや、弟のお皿には
まだクッキーが1つ残っているようだ。

「どうしたの? ごちそうさま?」

「ううん、お兄ちゃんに1個あげる」

横から無言で手を伸ばし
弟のクッキーを食べる兄。

兄弟仲良く、
今後も分け合っていってほしい。
そんな束の間の瞬間だった。




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