芸能事務所のリアルな話し。
はいさい。かおしです。
現在、某芸能プロダクションにて色々お仕事をしている中のひとつで、
タレント・アーティスト・アスリートのマネジメントをしてます。
まだまだ未熟者ではありながらも、
今後の芸能プロダクション(事務所)としての在り方について書いていきたいと思います。
キングコング西野さん退所の理由から紐解く
直近のこちらの件からまずふれてみます。
キングコング西野さんの吉本興業退所について。
理由は大きく以下2つと綴られてますね。
・所属事務所のスタッフさんの対応の悪さ
・マネージャーが半年〜1年スパンで変わる
もちろんそれ以外にも諸々積み重なっての電撃退所だとは思うんですが。
まずこのふたつについて、現在タレントマネジメントをしている私から。
■所属事務所のスタッフさんの対応の悪さ
これはもう、スタッフさんのいつもの悪い言動が出てしまった
どうしようもないパターンですね・・
それにカッとなる西野さんは、自分が外部に対しての対応をちゃんと意識しているからこそなんだと思いました。
フタッフ一番の大切さは、
タレントと同じくらい「このスタッフさんともまた一緒に仕事をしたい」と思われるくらいじゃないとですよね。
どれだけタレントが売れっ子だろうと、マネージャーの頭がキレてても、結局は一緒に仕事をするテレビ局・媒体・イベンターの方々含めて生身の人間を扱っている業界で、所属タレントの顔の代わりになる職種。
何があったとしても、人間としての信頼を壊してしまうようは言動・発言は一瞬にして信頼を失う。これはでもどこの業界も一緒ですよね。。
会社によってこれを丁寧に教育されるかされないか、はたまた本人次第だとは思いますが・・。うちの会社ではこれをかなり教育されてると思います。
■マネージャーが半年〜1年スパンで変わる件
実際、私が勤務している事務所も1年スパンで変わることは多いです。
というのも、大手事務所ほど、社員の数が多くて代謝をあげていかなきゃいけないというところで、若手の現場マネージャーを育成しようという体制になってたりしてます。
※逆に小さい事務所は10年以上担当が変わらないこともあります。
あとは、常に若い人を入れることで最近のトレンドとかに敏感なので、純粋にバズを作るためのプランを考えたりできるっていうビジネス的な味方ももちろんあったり。
けど、西野さんが言うように4〜5年プランで作品創りをしているタレント・クリエイターさんたちの担当が短期的に変わってしまうのは、確かにタレントの熱量とのギャップが生まれてタレント側のストレスが発生してしまう。
現に、現場マネージャー新人が入ったからと言ってその上司が教えてくれることが全てじゃなくて、タレントさんが自ら新人のために教えてあげるという場面も多々。
いやすごいっすよね。。心広いよねそのタレントさん・・
でも西野さんも多分こういうことが続きすぎて流石にってなったのではと思いますが。
あとは事務所の意向として、長く深く付き合うことで抜け駆けされる可能性があったり、異性だったら恋愛に発展してしまうとか(私個人的にはそれって実は良いことなのではと思いますがw)。
ただそれって
タレントからしたら合うマネージャーが配属されるまでぽんぽん変えて欲しい一方、優秀な人材がきたらその人を手放したくないと言う。
でもそうすると会社としては代謝がまわらないし優秀な人材がそこにとどまってしまうというのもリスク。
その事務所の超一流トップタレントであればそれが通用するのかもしれないけど、これはもう正直、事務所に所属してるからには突き放せない課題だとは思いました。。
私が担当している現場の”声”
私は今、2人のアスリートと、1つのアーティストグループと、多くのYouTuberの担当をしています。
その中でやっぱり思うのは、
この人達の人生を背負っているということ。
この事務所に所属しているということは、私達が仕事を取ってこないと食っていけないということ。
もちろんそれは究極だけど、新人なんて本当にそう。
月仕事0なんてこともざらにあるし。
やっぱりどんなことがあっても、
そのタレントから”ずっとあなたにマネージャーになってもらいたい”と思ってもらえるような人になりたいと私は思ってます。
現に、私が担当している1人のアスリートが、会社の都合で今年3月に契約が終了してしまうんですが、その子と関係者スタッフに言われたのが「もし来年継続していたらもちろん、今後も少しでも手助けしてくれる担当者をつけるとするなら絶対かおしさんにお願いしたい」と強く言ってくれました。
実は私が担当するまで、この会社に所属していながらもほぼ新しいお仕事はもらえてなかったとのこと。けど私が担当になってからは「すごく僕のために動いてくれてて、ようやく事務所に所属しているんだって実感湧きました」と言ってくれて、本当に感謝してくれている態度が感じられました。
実際に、担当する前に比べて案件も10倍以上になってました。
結果としては私の至らない点もあり、担当アスリートの競技自体をマスに広められなかったので、会社としては契約終了という決断になりましたが。
けど、私が独立したり、その子が個人で相談したいとなったら引続き一緒に仕事できる関係値になってるのかなと思ってます。
本来の事務所の価値
ここまでつらつらと、今の事務所の課題点だったり大切なことだったり書いてきましたが、でも結局それってフリーの信頼するマネージャーをつければいいじゃんって話なんですよね。
なんで、「事務所」という箱の本来の価値はなにか?
それは、「タレントを守ること」。
正直、スケジュール管理や営業なんて、
人柄良い優秀な個人マネージャーがいれば事務所に入らずその人にお願いすればいい話ではある。
けど、やっぱり事務所というのはこれまでのノウハウがあって、
この3つが会社だからこその強味なんじゃないかなとは思いました。
・リスク回避
・リテラシーの教育
・問題後の対処
若い子だろうとベテランだろうと、
SNSで投稿しないほうがいい事柄とか案外理解していない人もいて、このあたりを会社の顔としてしっかりコントロールできる=リスク回避をするのが事務所だなと改めて感じた。
そして最強の強味:
問題後の対処。
ドラッグであろうと事故だろうと、不倫だろうと、何かやらかしたら基本守ってくれるのが事務所。(もちろん回数や内容の限度はあるにしろ)
個人の場合、リスク回避も含めて自分で記者会見だったり諸々の対応をしなければいけない。これが大きなポイントだと思います。
今後一切こういう事象が100%起きないという人は個人でいいと思うんです。
ただ事故とかは本当に悪い人じゃなくても起きてしまうこともある。
そのタレントを売るために、
予期せぬ事故も加味して常にリスクを背負ってくれている。
そういう考えも含めて、共にリスクを背負って成功していくという意識をもって取り組めないと、タレントへの価値はないと思いました。
これからどう変わっていくか
これは、永遠の課題ですよね・・。
といいつつも、
やっぱり人として、会社として、いかに信頼されるかでしかないと思います。
ただそれが何をもって信頼なのか。
私はどうしても人と人との仕事なので、人間性が一番だと思ってます。
(もちろん仕事ができるのは大前提)
でも人によっては、この信頼を仕事の出来具合と定める人もいると思います。
その事務所とタレントはそれぞれどこに主機を置いているのか?
しっかり提示することが、今後大きく変わっていく道すじなのかなと。
なんだかんだ、才能があるタレントでも
最初からフリーでやっていくのは難しいことが多い。
売れるかはわらない、けどその成長の手助けを事務所は行う。
めちゃめちゃハイリスクハイリターン。
そんな中で制作費・宣伝費・ギャランティー諸々用意してくれる。
向かうベクトルが同じということを前提に、これをどれだけ理解しあって協業していくか。
ここを互いに理解しあえたタッグじゃないと、なかなか難しそうですよね。
ごまんといるタレントと、ごまんとある事務所。
これがマッチングするって、そう簡単じゃないですね。
っていう話でした。
何も解決はしてませんが、最後まで長々と御覧いただきありがとうございました。
私もマネジメントという誇りをもって、
タレントと一緒に成長していきたいです。
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