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収入が増えても幸せになれない人々~幸せと所得は比例しない②

一言でいうと

物的な豊かさと幸せは比例しない

活用シーン

人生

内容

調査会社カンター・ジャパンが、十六歳以上の男女を対象に、財産の所有と幸福感に関し、2012年に21か国で行った調査によると、「もっと多くの財産があれば幸せなのに」と思う人は、

・ロシア 70%
・中国 70%
・日本 65%
・ドイツ 37%
・イタリア 36%
・フランス 35%
・スペイン 27%
・イギリス 21%
・アメリカ 16%

また、プリンストン大学名誉教授でノーベル経済学賞受賞者であるダニエル・カーネマンは「人は所得などの特定の価値を得ることが必ずしも幸福に直結しないにもかかわらず、それらを過大評価してしまう傾向がある」と結論付けました。

米世論調査企業ギャラップが2008年から2009年にかけて実施した米国民の健康と福祉に関するデータを分析した結果です。
カーネマンらは、「感情的幸福」は年収う7万5千ドルまでは収入に比例して増大するのに対し、7万5千ドルを超えると比例しなくなる、という研究結果を得ています。

『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』
前野隆司

まず前段の「もっと多くの財産があれば幸せなのに」調査を見てみます。上位2か国はロシアと中国。私はこれらの国を詳しく知っているわけではありませんが、なんとなくの印象として、「生活環境の悪い人はけっこう悪い」国ではないかと想像します。日本も言っとき程、総中流とはいえないまでもさほど激しくない貧富の差だと思うのですが、ロシアや中国はそのあたりの環境の差がけっこう激しいように思います。

つまり、まともな生活もおぼつかない人にしてみれば、マズローの欲求五段階説を引くまでもなく、そりゃあ財産は大事だよね、ということになると思います。さらに国全体で貧しければあきらめもつくけど、同じ国内に大富豪がいるのでどうしてもそちらに気を取られます。だから、1位と2位がロシアと中国というのはよくわかります。

しかし、日本という国はたぶんその他の国と比べても貧富の格差はさほど大きくないような気がします。明日の食事にも困る人はそうそういないと思うのですが、「もっと、もっと」というわけです。これはあるいは、日本特有の国民性なのかもしれません。満足しないことは、向上心の表れですが、向上心を持つべきであるという考え方が、むしろ幸せを遠ざけている可能性はないとは言えないかもしえません。


後半のお話については、以前、こんなデータも出させていただきました。GDPが何倍に膨れ上がっても、国民の幸福度はいっこうに上がらないというグラフをお見せしました。

カーネマンの言う「7万5千ドル」というのはなかなかの高所得ではありますが、これを超えると感情的幸福度が上がらなくなると言います。この7万5千ドルという金額はもとより、様々な調査において、「収入が一定額を超えると、幸福度と収入の相関関係は途切れる」という調査結果はほぼ一致するようです。


これをいろんな方面から分析する考え方はあるようですが、私は単純にこう思っています。ハーズバーグが衛生理論として提唱した「不満を解消する出来事と、満足度を上げる出来事は違う」ということじゃないかと思っています。所得が低い間は、目の前の不満を解消することが重要で、そのためにはお金が必要。だから一定レベルまでは満足度を上げるというより、不満度を目立たなくするために財産を求めます。しかし一定レベルのネガティブな不満度をクリアしたら、こんどはアゲアゲな要素が欲しくなり、それは必ずしもお金に依存しない、ということかな、なんて思っています。

この理由はまだ学術的にも論争があるようですが、私はそれと全く違う単なる個人の仮説なので、信用することなきようお願いします(笑)

とまあ、真実はともあれ、どこまでも「収入が増えればいつか幸せになれるはず」というのは道が違うということだけは確実だと思いますし、幸福学においてはそれなりに通説っぽいので、お気を付けください。


私はこんな本書いてる人です(^^)/



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田村薫
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