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私の好きな美しいひとたち①和のマエストロ

私は「目の前で」、「いま、実際に動いている」、「(個人的なレベルまで落としてある)専門知識や特殊技能を基に」、「実演で活かす」、「能力発揮に余念がない」、「細部にも注意を払い」、「相手の苦痛を軽減し」、「他人を喜ばせることが好き」なひとたちが好きです

ですから、昔から職人や専門家と呼ばれる職業の方々はもちろんタンドール窯(笑)や実演販売に張り付いている子どもでした。

そんな子が大人になっても、いまだ外ではことある毎にカウンターやオープンキッチンのあるお店や個人のお家みたいなお店を近年、選ぶことがますます多い日々です

なんだかな~

こう書くと、上にあげた条件がどうにも「演劇」の特徴っぽい...。

意図せず、というのが恐ろしいですが。

さて、

私がかつてちょこちょこ通っていた某東京の四谷のお店も例にもれず。

まずお店がとってもキレイ(清潔)だった、明るかった、特化してた(和食)、綺麗だった(ひかえめな美的感覚)

そして、

お食事の味はもちろんなのですが、マスター(大将?)の動きが機敏で、無駄がなく流れるようで、しかし小回りも効いていて、視線も俊敏でよ~く目が届いていて、そんな職人(和食でもシェフ?というべきか?)氏をこっそり心の中で「マエストロ!」と呼んでいたのでした。

そんなある日....

アルバイト(パートというのかしら?)の女性が入れ替わり立ち代わり、交代して登場した月がありました。

私は毎回(密かに)、

「あ!もしかして、こちらの方が!今度こそあまりにも忙しいマエストロの敏腕アシスタントに!」

と思ってマエストロの負担軽減とお店の回転がよくなることを(よけいな御世話)期待していたのですが

なんとなく言動がう~ん.....ムリかもなぁ...........という(勝手な)印象で

こっそり予想を立てていました。

「来週、いるかどうか?」

そして、いなかったのよね~、何人もが...。

そんなある日、マエストロが珍しくひそひそ声をちょっと荒げました(裏です、もちろん)。

私は耳が割と良いらしく(なぜかは不明)、はっきり聞き取れる。

「これじゃあ、出せないから」

というような言い回しで、理由ははっきり発音しないけれども...不穏な空気が...

ということで、ここは私の地獄耳の出番です

チラッと振り返ると、お茶碗にごはんがよそってあったのだけど、

残念なことに、

ぺったりと、つぶれおにぎりのように

ごはんが....ああああああ

確かに、急いで食べてしまえば同じかもしれないけど......

「食感」台無し。「香りも、おそらく台無し」、当然みためもアウト。

しかし、ここは私の(勝手に)マエストロ。

「ほら、はいっ!」と

見本をよそったの様子が............

ふわ~ 美味しそ~う!ほどよく、こんもり盛られたお茶碗の内側に品よく収まるごはん~

なぜ、これだけのことが、こんなにも違うのか?!

恐ろしい限りです。

多くの方々がごはんくらい、給食でも、家でもよそっているでしょうに。自宅でも、お茶碗くらい、あるでしょうに。

しかし、

①「不特定多数の他人に向けて」+②「限られた時間内に」+③「お金も頂いて当然のレベルで」、④「いま目の前で」、⑤「繰り返せるように」となると

違うのですね、レベルが、質が、相手の期待が、判断基準が。

たかがの一杯でも「能力発揮」せずにはいられない(半自動でスイッチ入るのだと思います)のがマエストロ。専門家なのね。

ホッ。

なんだか安堵して美味しく頂きました。



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