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#10 仮面ライダー龍騎5周目だから蓮視点で鑑賞してみる(第22話〜第25話+蓮と手塚)
今回は、第22話〜第25話と、蓮と手塚について考察していきます。
まずは蓮はなぜ北岡と戦ったのか? です。第22話の最後に北岡の元を訪れた蓮は、北岡と戦い始めます。この時の蓮はなぜ北岡と戦うことにしたのでしょうか? 私は蓮は北岡を「自分の為だけに戦い、命を尊重しない人間の象徴」と考えたから戦ったのではないかと考えました。その理由を今から書いていきます。
前回「真司への憧れを取り戻したこと」について書きました。そして、北岡と戦うという行動は「真司への憧れを取り戻したこと=浅倉などの自分の為だけに戦っていて命を尊重していない人間への憧れが無くなったこと」がきっかけになって起こった行動なのでしょう。そもそも蓮が北岡の元を訪れたのは吾郎が浅倉に攫われたからです。そして北岡は吾郎を助けにいかないと断言します。そんな北岡を見て蓮は戦いを始めるのです。このことによって蓮は、北岡は「自分の為だけに戦い、命を尊重しない人間」だという印象を抱いたのでしょう。では、何故「自分の為に戦い、命を尊重しない人間」だったから戦ったのでしょうか。それは、蓮は第21話で出した自分の「答え」を確固たるものにしようとしたからだと思います。つまり蓮は、北岡(自分の為だけに戦い、命を尊重しない)と戦うことによって少し前の浅倉(自分の為だけに戦い、命を尊重しない)への憧れを完全に打ち消そうとした。ということです。
続いては手塚についてです。今回は第22話〜第25話の範囲だけではなく第13話〜第21話も合わせて蓮と手塚について考察します。
まずは第13話から第23話までの、蓮の手塚への印象はどのようなものだったのか? です。
第一印象は「変わったやつだ」だと思います。お世辞というものを知らないし、コーヒーはカフェイン抜きで頼むし(笑)そして、戦った後(第14話の冒頭)には、脅威を感じていたのではないでしょうか。手塚に会うまでは、戦いを止めると言っている人は真司だけでしたが、真司はまだ具体的な行動を起こしていなかったはずです。ですので蓮は真司が本当に戦いを止めてしまうのではないかという恐れは抱いていなかったと思います。ですが手塚はおそらく蓮よりも強く、本当に戦いを止めてしまうのではないかと感じさせるものがあるので、蓮は手塚は本当に戦いを止めてしまうのではないかという脅威を感じていたと思います。
続く第15話、第16話では、鬱陶しさと先程書いた脅威を感じていたのでしょう。第16話の冒頭で手塚に、お前は優しい人間だと言われた蓮は手塚を殴ります。殴られた手塚は、ライダー同士の戦いを止めるために蓮を絶対に変えてみせる。と言います。この、手塚を殴るという蓮の行動は何を表しているのでしょうか。この頃の蓮は人を殺せないかもしれないことに悩んでいて、人を殺せるようになりたいと思っていました。そこに手塚が現れて自分(蓮)の弱い部分を例に挙げ、真司や手塚(ライダーバトルを止める。大勢の命を助ける)の側に引き寄せようと、つまり蓮を変えようとしてきました。そんな手塚には、浅倉じゃなくともイライラしますね。そして手塚は先程も書いた通り自分(蓮)の弱い部分を次々と言い当てていきます(手塚が意図的でなくとも)。ですので蓮にとって手塚は自分の弱い部分を無理矢理思い出させる嫌なやつなのです。つまり蓮は、自分を変えようとする手塚にイライラした。という理由と、自分の弱い部分を忘れたい、克服したい。という理由から手塚を殴ったのではないでしょうか。
第17話、第18話では蓮と手塚の間での出来事はほぼありませんが、手塚の言葉が本当になってしまったのではないかという恐れを抱いていたかもしれません。
続く第19話で手塚は、このままでは蓮は破滅の道を辿ること。蓮の後をつけて、戦う理由を知ったこと。それでもまだ蓮の運命を変えようとしていることを蓮に伝えます。少し話がそれますが、手塚は蓮に「お前まで破滅の道を選ぶな」と言います。この言葉の「お前」は勿論蓮を示していますが、「まで」は誰のことを示しているのでしょう。私は今まで恵里のことを示しているのだと思っていましたが、今回、そうでもないような気がしてきました。この時の蓮と手塚に共通の認識のある人物は、真司とガイと優衣ですが、この三人は今はまだ破滅の道を辿って要るわけではないので違うでしょう。それならば「まで」は誰のことを示しているのでしょうか? 私は「まで」は雄一のことを示しているのではないかと考えました。手塚は運命を変えられなかった(雄一を助けられなかった)ことを後悔しています。だからこそライダーの運命を変えたいと願っている。だから手塚は、雄一と同じように破滅の道を選ぼうとしている蓮を変えようとしているのです。そして、蓮は「お前まで破滅の道を選ぶな」という言葉の「まで」の部分と、自分(蓮)が戦う理由を知ってもなお自分を変えようとしていることに、手塚のただならぬ決意を感じたのではないでしょうか。つまり蓮は、手塚は自分(蓮)が経験したこと(恵里が昏睡状態になり、このままでは死ぬ)と遠くない経験をしているのではないかということ、手塚が真司とは比べ物にならないほどライダーバトルを止めることに本気なことを感じたのではないか。ということです。
第21話で、手塚は真司に蓮の戦う理由を明かします。自分が戦う理由を真司に知られることを蓮はどう思っていたのでしょうか。この時点で蓮は真司に「何もわかっていないやつ」といった印象を抱いていたはずです。なので真司がライダーの戦いを止めると言ってもあまり危機感は抱かなかった。それに比べて手塚には「ライダーバトルを止めることに本気」だと印象を抱いていました。第16話で真司が手塚に初めて会った時に、蓮が嫌な顔(迷惑そうな顔?)をしていたのは、そんな手塚に会うと真司が触発されて脅威になり得るのではないかと思ったからなのでしょう。それならば、第21話で手塚が真司に蓮の戦う理由を明かした時蓮は、真司に自分が戦う理由を知られることによって真司がライダーバトルを止めることに今までよりも本気になることを恐れていたことになります。私はそれに加えて、もしかすると真司がライダーの戦いを止めようとすることをやめるのではないかという考えと、やっと真剣になったか、という気持ちがあったと思います。ですが、自分が戦う理由が自分の口ではなく手塚の口から真司に伝わるのは真司がライダーバトルを止めることをやめる可能性よりも、ライダーバトルを止めることに本気になる可能性が高くなると思うので、手塚が真司に蓮の戦う理由を明かした時、蓮は穏やかな気持ちでは無く、怒りすら感じていたような気がします。
第22話で蓮は手塚に「お前に見透かされるのももう慣れたな」と言います。これは蓮と手塚の和解を表しているのではないでしょうか。
第23話で手塚は蓮にサバイブのカードを渡します。蓮はこの時、何を感じていたのでしょうか。今まで手塚は蓮にさんざん戦いをやめるように言ってきました。その手塚が自分にサバイブのカードを渡したことに蓮は困惑していたでしょう。そして、手塚が浅倉に因縁があることを知り、蓮は手塚の強さを感じたのではないでしょうか。蓮がなかなか変わろうとしなかったり、神崎士郎から唆されたり、浅倉と戦える状態になっても自分の正義や理念を曲げようとせず、その通りに行動する手塚の強さは、理念をなかなか行動に移せない蓮に手塚を尊重し、認める気持ちを抱かせたのだと思います。そしてそんな手塚からサバイブのカードを渡されたことにより、「自分も戦わなければ」という気持ちが蓮の中に芽生えたような気がします。その気持ちは第15話〜第21話あたりの追い詰められたような気持ちではなく、もっと前向きに自分も自分の願いを叶えるために戦わなければというような気持ちだったと思います。
第24話で蓮は川のほとりで一人サバイブカードを静かに見ていました。これは、先程書いた「強さ」によって死んでいった手塚をのことを考え、自分はそんな「強さ」を持っているのかどうかわからなくなり悩んでいるという気持ちの表れなのではないでしょうか。それに加えて、手塚と蓮はそれぞれの大切な人のため、そして一番は自分のためにライダーバトルに参加しており、たくさん迷って、それでもなお、願いを叶えようとしているという共通点があります。このような「お互いに静かに認め合っていた戦友」の死を蓮は尊重しながらも少し悲しみも感じていたのかもしれませんね。
次に、手塚は蓮を変えることができたのか? です。
第24話の終盤で真司は蓮に、蓮は変わった。と言います。確かに真司の言う通り、第一話の蓮が真司を気にかけて自分が戦いに行くなど考えられませんね。その点では蓮は変わったと言えます。ですが、具体的に蓮のどの部分が変わったと言えるのでしょうか。そしてそれは誰が変えたものなのでしょうか。
蓮が変わった部分。それはやはり真司への優しさという部分でしょう。そしてそれは、花鶏での毎日の生活に加え、第21話の真司のセリフが大きな要因となって生まれた変化なのだと思います。つまり、蓮のこの変化は真司と共に生活し、真司を認めたことによって生まれた変化である。ということです。それならば蓮を変えたのは手塚ではなく真司だということになります。そういえば第20話で手塚は「お前(真司)が秋山の運命を変えたと思ったんだが」と発言していました。そもそも手塚が変えようとしていた蓮の運命とは何なのでしょうか? ……ここまで来てしまうと蓮についての考察ではなく手塚についての考察になってしまいますね。ひとまず今回はこのような考察は置いておき、蓮が自分が変わったと感じているのか? ということについて考察していくことにします。
第24話の終盤で真司は、ライダーバトルを止めるにはライダー一人一人の人間性を変えれば自然にライダーバトルがなくなるのではないかと考えます。そんな真司に蓮は浅倉や北岡が変わるはずがない。そして自分は変えることができない。それはお前(真司)もわかっているはずだ。と言います。この蓮の発言、特に自分は変えることができないという部分は蓮は確かに性格の部分では少しだけ変わった(優しくなった)が、正義や理念の部分んでは変わっていない、もしくは正義や理念を願いのために貫こうとする気持ちがより一層強くなったと蓮が考えていることを表しているのではないでしょうか。つまり、手塚はライダーバトルを止めるために蓮を変えてみせると言っていたけれど、自分は変わらなかった。事実がどうであれ、少なくとも蓮はそう思っているのではないか。ということです。
今回は主に蓮と手塚について考察していきました。過去最長になってしまいました(笑)次回は第26話〜第30話の考察に加え、前半を振り返ってどのような答えが、そしてどのような問題が見えてきたのかを書いていこうと思っています。とてつもなく長く、独りよがりな考察を最後まで読んでいただきありがとうございました。まだまだ続きます!
それではまた今度!