「光る君へ」最終話-物語の先に-雑感
最終話「物語の先に」
※ネタバレがあるからお嫌な人は見てから読んでね☆
色々な思いが渦巻いて なかなか感想にならない
いつも今度はこうなるか
こういうシーンが出てくるか
こんなセリフがあるのかな?
とつらつら予想しながら見るのだが
今回はいい意味で裏切られました
一番意外だったのは菅原の孝標の娘!
(本名分らんけど、ここでは「ちぐさ」となっていた)
予告を見て、もっと後の時代になって、
とっくに式部もこの世にいなくなって
苦労して物語を手に入れて
あーだこーだと喜んで読んで
その想像シーンに各シーンの回想が重なって、と思ったら
なんと
同時代で同じ京の町で
作者と知らずに知り合って
嬉々として源氏の物語の「講釈」を本人の前で述べ立てる!!!
アンタ、作者が目の前にいるんですけど
知ったらどういう顔するんだろ
ききょう(清少納言)が呆れていましたね
「作者ですっていえばいいのに」
でもこれって
物語を愛する読者の夢と願望詰めまくりじゃございません??
あーたね、それってね、
コミケでの会場で作者がすぐ後ろに並んでるの知らないで
当人の本の感想なんかをですね、
「アタシ、このお話のここが好きなんですけどおお」
「もーーー感動したんですっ」
「これは男の欲望を描いた世界ですよねっっ」
なんてことをばですね、
オタクらしいマシンガントークで
ありとあらゆる言葉を駆使していかに感動したか
いかに自分はこう読み取った!とまくしたてる!!
そばで聞いてる作者はめっちゃ嬉しいけど
でもハズカシイ
—いや、ちょっとそこチガウ意味だけど
—まあいいか、読み込んでくれてるって証拠だし
聞きながらもにまにましちゃう作者の顔が見えるよう
—ああ
—孝標の娘よ
—現代のコミケに転生しなさい
—あなたこそ推しを大事にして作者にかわいがられる
—良い読者になることでしょう
そういう「推し」を作る力を持った「源氏物語」
それを作らせ、書かせ、応援したスポンサーの
道長の命が尽きようとしている
横たわる道長(柄本佑さん)が静かな印象
余り苦しんでいないのがいいな
でももう目が見えないのだな
視線がうつろなのが「見えない」を表現している
(相変わらず演技が上手い)
冒頭の倫子様とのやり取りで
もう「公認」の仲となったまひろの存在
「三郎」時代からずっと共にいる仲間のような存在のまひろ
倫子様、本当は激しい嫉妬だったのではないかしら
倫子様の招きで、臨終の床に招き入れてもらえるまひろ
そこで静かに「物語」を語るまひろ
最後の命の灯をともすかのように聞く道長
その「物語」は
幼き日に出会った三郎とまひろの物語(泣ける)
「続きはまた明日」
こうやって生きる希望を持たせるところがなんかつらい
語る姿が誰かが「シェーラザード」だといったけど
そんなたとえもわかる気もする
倫子も入り込めない二人だけの世界
まひろにもたれて話を聞く道長の姿にうるうるした
そして―
まひろが去ったあと静かに逝く道長
まひろを求めて伸ばした手が悲しい
そっと手をとって布団の中に入れる倫子様がやさしい
ああ、やっぱり本当に愛していたんだ
—貴方は私の「光る君」でした
思えば倫子の方が積極的だった
衝撃なのは同じ夜に行成まで倒れてしまうこと
そんなに仲良かったのか・・
すごく「儚さ」を感じてしまった
そして―
自宅で筆をとるまひろを呼ぶ声
でも顔をあげると誰もいなくて
まひろチャージしていた道長君はもういないのだ
当時はうっとおしそうだったけど
いざ来なくなってみると淋しいね
ここでもかなり泣けるんだけどね
いとさんが「若様、お出かけの時間でございますよ」
誰に向かって言っているのやら
すました顔で「今日は休みなのだ」と返す為時
為時、まだ生きてたんかい?というツッコミは置いといて、
いとが頭がややこしくなる年齢になったのだという
「時の流れ」がサビシイ
ちょっと泣けるね
そしてすっかり髪が白くなった乙丸が
旅に出るならまた連れて行ってくれと乞う
乙丸のけなげさがまたかわいい
最後までまひろを守って彼もまた逝くのだろう
旅に出たまひろたちの後ろから
馬にのった武者の姿がみえる
あの双寿丸であった
立派な鎧を身に着け、武将として出世した姿が頼もしい
「東国で戦があった」
「これから朝廷の討伐軍に加わるのだ」
調べてみるとこの時期にあった平の忠常の乱であるようだ
上総下総常陸の国の乱だとか
おお今自分がいる土地だ
その昔、平将門が立ち上がった国々だねえ
そういえば菅原の孝標の娘も上総の出身だったねえ
京の都に憧れながらも時代は坂東武者の力が台頭する世に変わっていく
京都の貴族の政治ではおさえきれない勢力がでてきている
武士の時代が押し寄せてくる
いきなり鎌倉時代のような武士の時代が来たのでなく
じわじわと武人が政治をつかさどる世になっていったのだ
「嵐が来る」
まひろの一言が
その荒れる世の到来を告げるように
美しい公達たちの物語
「光る君へ」は終わっていった
それでも
「続・光る君」 希望!!!
スピンオフ、希望!(力説)
スタッフの皆様、
1年間
美しい世界をありがとうございました
追記:
「私たち、大したことを成し遂げたと思いません?」
思いますとも、思いますとも、ききょう様!
1000年たってもおもしろい永遠の随筆と物語
日本の宝を生み出してくれてありがとう!
きっと全国の国文科は競争率が上がるわよお(予言)
追記2:
「光る君へー45話「はばたき」によせて でも書いたように、
「源氏物語」を書き上げた以後のまひろは
もう「イマジナリーまひろ」で、実質はもう亡くなっていて
「旅にでる」=「死出の旅に出る」の表現では?と
自分は考えているので
この最終話のまひろも、乙丸もすでにこの世の人でなく
大石さんの「イマジナリー」世界の住人で
だから「架空」の武者 双寿丸とも出会え
時代の流れをよむ精霊のような存在になっていると思います
一部の感想に
—この時代年取った女性が気軽に旅できない
—大宰府に行くというのもあり得ない
という「まっとう」な意見もありますが
大河ドラマは主人公の誕生から死までを一貫して描くものだと
いうのなら
自分はこの大河「物語」の決着として
もう「死んでいる」まひろを出して、あり得ないセリフをいわせ
時の流れや移ろいを表現したのでは、と思っています。
フィクションとして納得のいく表現だと自分は思います。