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次の世代へ全てを託す

生徒さんが作品に取りかかる前に何を描くのかを
話し合う時間を設けています。
・こんなに素敵な風景を、こんなにかわいいペットを絵にしたい。
・こんなに哀しかった思いを、絵に残しておきたい。
・こんなに嬉しい事を、みんなに伝える為に絵にしたい。
それぞれの想いや感動や想像があって、モチーフは決まって来ます。
そんな想いのこもった生徒さんの作品を、
ご紹介していきたいと思います。           若林 薫


託す   P100(162.0×112.0)㎝   CSさん


枝ぶりや木肌そして新芽の出方を見る限り
銀杏の古木だろうと推測されます。

作者は以前から目にしていたその木を描きました。
P100号(112×162)㎝の大画面です。
しかもそれは初めてにして いきなりの100号サイズです。
作者の身長をしのぐ大きな画面に挑む姿は
とても勇ましく高い塀を乗り越える戦士の様です。

いざ 描き始めるにあたり 良くこの大木を観察すると
古い枝先に新芽が勢いよく伸び
赤い小さな芽は 春が来るのを待ち望んでいます。
 
作者はこの古木に自分を投影し
「次の世代へ全てを託す」
そんな気持ちで画面に向かったのでしょう。
古木のごつごつとした肌 新芽の伸びやかな姿に
新しい命の息吹を感じながら
8ヶ月の時間を掛け作品を完成させました。
描いて来た時間を振り返って
創作に向かう粘り強さの大切さを学び
命を繋ぐ事 次の世代へ伝える事が
人として最も大事だという事を
改めて意識した作品になったのだと強く感じました。
                
              絵画講師 若林薫 評





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