ギリシャ2週間<クレタ島クノッソス宮殿とイラクリオン古代博物館>
クノッソス宮殿
イラクリオン到着の翌朝最初に行ったのはクノッソス宮殿遺跡。クレタ島観光で一番のおすすめはここ。イラクリオンの中心部からローカルバスで25分。
まずクノッソス宮殿の歴史を自分なりに理解した範囲で簡単におさらいする。
紀元前2000年頃、クレタ島にミノア文明を代表する宮殿がいくつか建設された。クノッソスはその代表的なもの。
紀元前1700年頃、大地震で宮殿は崩壊する。その後以前のものよりはるかに大きく、東翼と西翼その間の広い中庭で構成された豪華な新宮殿が建てられ、ミノア文明は繁栄した。線文字Aが使われていた。
紀元前1450年頃、また巨大な災害でミノア人の文明は衰退していく。クノッソス宮殿はこの災害で生き残ったが、ギリシャ本土から南下してきた好戦的なミケーネ人の支配下になった。線文字Bが使われていた。線文字Bは解読されている。
紀元前1370年頃、また大規模な災害があって、ミケーネ人支配下の宮殿は廃墟と化していった。
その後、ギリシャ神話としてクレタ島のミノス王とその子ミノタウロスという牛頭人身の怪物がラビリンス(迷宮)に閉じ込められて。。。という伝説がギリシャ人によって語られた。そのミノス王の名をとってクノッソス宮殿で栄えた文明がミノア文明と名付けられた。
こんなふうに大規模な災害に何度も見舞われて、この文明の中心となっていた宮殿や街の建物は崩壊したけど、その後のギリシャ時代からローマ時代、東ローマ帝国、アラブ、ベネチア、オスマン帝国へと移る支配権力のもとで人々はこの島で生き続け、20世紀初頭になって初めてクノッソス宮殿が発掘されて注目を浴びた。
クノッソス宮殿遺跡についてはクレタ島にいる時に少し書いた。写真がまだたくさんあるのでここに掲載しておく。クノッソス宮殿の遺跡にあるのはほとんどが複製で、実際の発掘品は市内のイラクリオン古代博物館にある。発掘者であるイギリスの考古学者アーサー・エヴァンズが、経済力もあってか勢い余って遺跡を復元してしまった部分がけっこうあるのだ。そのため、当時の様子が少しわかって観光客受けはいいかもだけど、考古学的には?となっている。私は嫌いじゃないけど。
リュトンというのは角状の器で宗教儀式に使う液体(神聖な水、ワイン、蜂蜜など?)を上から入れて、儀式の時に下の穴から出すためにこういう形状になっているらしい。動物の頭部の形のものがいろいろあって、この遺跡からの出土品で雄牛の頭の形のものが有名。動物の頭部を通った神聖な液体を飲むことで、より神聖な力を得られるためとか。その写真がこちら。最初はわからなかったけど、調べると以下のような使い方をしたらしい。首の上部に穴があって、そこから液体を入れる。鼻先に別の穴があって、液体を入れるときは鼻先の穴は指で押さえておく。儀式のときに指をはなして液体をお皿のような容器で受けて飲む。
グリフィンは普通だと頭が鷲で翼があって前足は鋭い鳥の爪で描かれている。でもこのグリフィンには翼はないし、前足はライオンのもの。頭から首の美しいカールと胸の渦状のデザインは印象的。その渦巻きがもしかして畳まれた翼なのだろうか?頭部は猛禽には見えない穏やかな凛とした表情。復元されたものだからどこまでオリジナル画を反映しているか不明だけど、このグリフィンにはすごく惹かれる。グリフィンは大女神が人間の前に現れるときに一緒に現れるといわれているらしい。 大女神は、再生する力を持つ大自然を人格化したもの。地母神?大地の女神ガイアに繋がるのか?
ロイヤルロードは整備されていた道路で、中央が盛り上がって雨水を避けられるようになっている。この先にはリトルパレスと呼ばれる宗教儀式に使われていたと思われる建物があった。ここから儀式への参列者が入ってきたと想像される。
イラクリオン古代博物館
イラクリオン古代博物館はクノッソス宮殿遺跡のすぐ隣にあるわけではないので、遺跡に先に行くかこちらの博物館に先に行くか迷う所だけど、私は遺跡を先に見て日を改めてこちらの博物館に朝イチでやって来た。こちらを先に見た後で遺跡を見ると、遺跡にガッカリしたというレビューもあったから、私の選択でよかったのかも。
博物館はイラクリオンの街の中にあって、ここはゆっくり回りたい。やっぱり古代遺跡の博物館にいると落ち着く。3000年も4000年も前に描かれたフレスコ画や儀式に使われた道具や土器、それらを直接目の前に、当時の人々の生き方に想いを馳せる。何度でも行きたい場所だ。
撮った写真はフレスコ画に集中していて、ほかのものあまり撮影してなかったかな。いずれにしろ、ガラス張りの展示品なのできれいには撮影できてないが。石器時代ぐらいから時代順に最後はローマ時代まで見学できるようになっていた。
タコやその他の海のモチーフが気に入っている。
女神がこれらの双斧を持っている図もあった。宗教的儀式に使われたものと思われている。この双斧は「ラビリス」とも呼ばれていたので、そこから派生してラビリンス、クノッソス宮殿が入り組んで複雑な構造で迷宮のようだったのでラビリンス=迷宮となったという説がある。
これはクレタ島ファイストスの宮殿遺跡から出土したもの。丸い粘土版の両面に絵文字が刻印されている。
博物館の2階には遺跡で見た複製品のフレスコ画のオリジナルが展示されているが、これらも多少修復されている。オリジナルの部分は少ないようだ。
右の女神は両手にヘビを持ち、頭にはネコ(雌ライオン?)がいる。左の女神の左右の腕と胴体にヘビが巻き付いている。帽子はよくわからない。腰がギュッとしまったドレスにエプロンを付け、腰をキツく締めているからか胸が大きく露出していてそれが女性性の豊かさ豊穣を表しているという。
フレスコ画の女性たちも同じようにウエストがやたら引き締まっていて、胸が露出している。すべての女性は白い肌で男性は赤黒い肌。ユリの王子だけはなぜか白っぽい肌だけど。位が高いからかな。肉体労働しないから日焼けしてない?それとも別の人種?まだまだわからないことだらけ。
謎に満ちた古代の遺物に圧倒されて、疲れた後はカフェでゆっくりスナックを。
イラクリオン古代博物館の英語サイト:https://www.heraklionmuseum.gr/en/
ビデオもいくつか上がっていて、ギリシャ語読めなくても楽しめる。
クレタ島にはクノッソス以外にもマリア、ファイストス、ザクロスに宮殿遺跡がある。さらに、近くのサントリーニ島はアトランティス伝説のモデルではないかといわれていて、紀元前1600年頃の史上最大級の火山大噴火で埋もれたミノア人の古代都市アクロティリの遺跡がある。クレタ島と交易していたのだ。それらの遺跡も是非訪れてみたい。
続く。。。
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